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ミラノで繊維業を営む裕福なレッキ家の女主人エンマは、大家族を支えるために心を砕き多忙な日々を送ってきたが、3人の子供たちが成人した今、孤独を感じ、故郷ロシアへの郷愁に駆られるようになっていた。ある日、長男エドの親友でシェフのアントニオと出会い、彼の料理に舌鼓を打つうちに眠っていた官能が呼び覚まされる。二人はやがて欲望のままに情事におぼれ、それは取り返しのつかない悲劇を招くのだった…。gooより
文化村リニューアルオープンに伴って、この冬公開される作品の中で一番楽しみにしていた
作品ですが、あ〜やはり。すっごく好み!
いわば不倫ではありますが、上流の名家、レッキ家の崩壊の物語でもありました。
 
冒頭、雪のちらつく、寒そう〜〜なミラノ。
おじい様のお誕生日会が盛大に執り行われているのですが、外はほぼモノクロで
室内は豪華絢爛で温かなカラー。
後にして思えばこれはレッキ家および同じ階級の人たちと、
普通の人が住む寒そうな街並みのふたつが大きく分けられて描かれていたのでした。
 
この家の女主人そのパーティの後エンマが主人公ですが、彼女は3人の子を育て上げ、
名家の奥さまとしてパーティーと取り仕切り、気品あるたたずまいでお客様に接する・・
そんな日々をそつなくこなしてきました。
きょうのパーティーも成功です。
 
そんなレッキ家のパーティーの後半自家製タルトを持って現れたのがシェフのアントニオ。
この家には広い広い車寄せのあるポーチを上がっていくとガラス張りの玄関があり
彼は息子さんの友人だからということで中に招き入れられますが、彼はこの時決して玄関から
中に入りませんでした。
身分の差をわきまえていたのだと思います。
 
最初はそんな彼を一瞥しただけのエンマでしたがなんとなく気になり始め、次のパーティの
打ち合わせも兼ねて彼のレストランに食事に行くのですが、その時彼女が着ていたのは
真っ赤なワンピース。
そして口に含んだのが真っ赤なエビで両方の”赤”が相乗作用を生んで、彼女のパッションが
ほと走る瞬間を見事にとらえていました。
 
それからサンレモへ彼を訪ねるようになり・・
 
これは決して安易な不倫ではありません。
エンマの義理のお母様がよく出てくるのですが、彼女はかなりのおトシなのに
エンマもかなわないほどの完璧なマダ〜〜〜ム!!
子供をしっかり育て上げ、自分もスキのない上流階級の夫人を演じることが彼女の使命でした。
でも・・エンマはロシアの修復画の家の娘で多分決して上流の出ではないのでしょう。
今までの結婚生活でこらえてきたものが彼と出会ったことで噴き出てしまったのです。
 
それは映像ではサンレモの緑豊かな畑と美しい山並みによっても表現されていましたが
彼女の居場所は重厚なインテリアの豪邸ではなく自然たっぷりの簡素な家だったのでしょうね。
 
そしてラストはかなり衝撃的で・・
 
ちょっと反転します。
ある事故があったあと、ダンナさんはやさしくエンマに上着をかけますが、彼女の告白を聞いて
無言のままその上着を取ります。
そして言ったのは君は存在しないものと思う
という言葉。
ああ・これほど冷静で冷たい言葉ってあるでしょうか
 
またこの家族のことをずっと見守ってきたお手伝いさんの存在も重要。
ほとんど親戚の叔母さん状態で、誰よりも家族それぞれのことw深く理解し、守ってくれます。
彼女の旅立ちの手伝いまでも・・
 
悲劇でもあります。
でも私はこれは解放にもとれて、見た後清々しいものを感じました。
 
あ〜こういうテイストの作品はやっぱり一番好みだわ!!
 
 
先週、東京ファッションウィークのディレクターさんとお話する機会があったのですが
彼女によるとこの衣装デザインはジル・サンダーのラフ・シモンズというベルギー出身のデザイナーさん。
最初は深い紫やグレー系の蛍光色のモノトーンな色あいが多かったのに
恋に落ちる瞬間は赤で、その後オレンジ、パンツだけオレンジ・・
と色が彼女の心の動きを表現したということですが、まさにその通りでした。
しかしそのデザイナーの意図を汲んだスウィントンの洗練された着こなしと、美貌には
ほんと驚かされました。
 
主演のティルダ・スウィンドンはスコットランドの旧家の出身。
ケンブリッジ大学時代に演劇を始め、卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに所属。
デレク・ジャーマン監督作品に多く出演し、「エドワード II」(91)でベネチア国際映画祭の女優賞を受賞。
サリー・ポッター監督作「オルランド」(92)では、男性から女性へと変化しながら400年生きる貴族の青年を
演じたのですが、これ、見た後、映画の世界から抜けられなくなったほどでした。
あまり見てる人はいないと思いますが・・
その後ハリウッド系にも出ていて、「コンスタンティン」(05)、ジョージ・クルーニー主演の
「フィクサー」(07)でアカデミー助演女優賞を受賞しました。
透明で不思議な魅力がありますよね。
 
 
監督:ルカ・グァダニーノ
脚本:バルバラ・アルベルティ、イバン・コトロネーオ、ウォルター・ファサーノ、ルカ・グァダニーノ
撮影:ヨリック・ル・ソー
美術:フランチェスカ・ディ・モットラ
衣装:アントネッラ・カンナロッツィ
音楽:ジョン・アダムス
 
ティルダ・スウィントン 
フラヴィオ・パレンティ 
エドアルド・ガブリエリーニ 
アルバ・ロルヴァケル 
ピッポ・デルボーノ 
 

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