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「運び屋」という職業がある。誤解のないよう最初に断っておくが、ここでいう運び屋とは、マリファナや“スーパーK”(アメリカドルの偽札)などを密輸入する人たちではない。食材や雑誌、日用品などの合法的な物品だけを扱う商いだ。
東南アジアの大都市には、日本人がたくさん住んでいる。外務省の統計をみても、バンコクやシンガポールには2万人以上。マニラやジャカルタ、クアラルンプールなどにも7千〜8千人の日本人の生活者がいる。れっきとした日本人コミュニティーもあり、その中では当然、日本人を相手にしたニッチ(すき間)なビジネスも成り立つ。
そんなニッチビジネスのひとつが運び屋業だ。その名の通り、彼らは、ひとりで運べるものならなんでも運ぶ。イクラをはじめとするすしネタ(高級ネタはやっぱり日本から輸入する)から、カップヌードル(日本製のほうがおいしい)、カレールー(たまには日本のカレーを子どもに食べさせてあげたい)、みそやしょうゆ、マヨネーズ(キューピーの味はぴかいち)といった調味料、お茶やのり(おみやげの定番)、お菓子(工夫が凝らされていておいしい)、男性・女性・子供向けの雑誌(活字を無性に読みたくなる)、かぜ薬や正露丸(外国の薬はきつい)など――までが基本的なラインアップだ。
ただ注文さえ入れば、それこそ離乳食だって、生理用品だって、マイナーな雑誌だって、日本で人気のおもちゃ(かつての「たまごっち」など。これを持って学校へ行けば一目置かれる存在になる)だって持ってくる。東南アジアの日本人社会を“縁の下の力持ち”のごとく支えているのは、まさに運び屋たち。彼らのきめ細かい仕事なくして、日本並みの生活は送れない。
日本とフィリピンを往復する、ベテラン運び屋のT氏(日本人)は定期的に毎週1回マニラ〜成田を飛んでいるという。
「だいたい火曜日にマニラに来て、土曜日に日本に行く、というのが最近のパターンだね。火曜日は朝4時ごろ起きて、成田近くの魚市場で新鮮な魚を買い込み、その足で成田空港へ直行。午前の便に乗る。30〜40キロの荷物を抱えているから、JALのファーストクラスを使うんだけど、毎週乗っているから重量オーバーでどうのこうの文句を言われることはめったにないね」
VIP待遇。それはそうだろう、何年にもわたって毎週1回マニラと成田を往復しているのだ。飛行機を頻繁に使う商社マンだって、個人としてはここまでのお得意さまではない。侮るなかれ、運び屋は空飛ぶビジネスマンなのだ。
「だけどね、こないだ成田でチェックインしていたとき、いきなり『重量オーバーです。20キロ分の超過料金を払ってください』って言われて、ちょっとキレたね。『毎週乗っていて、突然、それはないだろう。どうしても払えって言うんだったら払うけれど、だったらもう2度とJALは使わないぞ』と言い返して、事なきを得たけど‥‥(払ったらすごい料金になるからちょっとびびったね、ホッ)」
T氏はマニラに到着すると、取引先の日本食レストランや日本食スーパーなどに仕入れた鮮魚などを配達していく。これが終われば一段落。日本に発つまでに、注文を取ったり、集金したりとまったりして過ごす。
マニラに4泊し、土曜日には日本へ出発。手ぶらで飛行機に乗るのはさすがにもったいないから、日本に住むフィリピン人向けに、バナナケチャップ(バナナを原料にしたケチャップ)やマグノリアアイスクリーム、フィリピン料理の缶詰、タガログ語の雑誌などを買い込んで、フィリピン人の多い錦糸町付近の雑貨店でさばく。
ちなみにこのT氏、フィリピン人女性と結婚していて、子どももいる。家族はマカティ(マニラ首都圏の中心部)のコンドミニアムで暮らす。「フィリピンでは家族もいて楽しいけれど、(週の半分滞在する)日本ではけっこうひまなんだよね」
運び屋の仕事でカネを貯め、T氏は、自分の家族のためにこのコンドミニアムを買った。購入価格は聞かなかったが、物件のレベルと築年数をもとに勝手に想像すると、おそらく1千万円強。一流企業の幹部駐在員が住んでいる超高級コンドミニアムにこそ及ばないものの、“プチセレブ”な暮らしを送るには十分なレベル。T氏とライバル関係にある別の運び屋のひとり(日本人)は、マニラ郊外の戸建て住宅を手に入れたという。
日本人の数が少ないだけに、市場のパイは小さく、もうけは薄い。またフィリピンでは小売業が外資に開放されていないこともあって、大手の商社やスーパーも手を出さない。しかし、それは見方を変えると、個人で手がける商売としてはぴったりサイズのビジネスチャンス。運び屋業は、体力的にはハードだが、案外、儲かる商売なのかも。東南アジアにはいろんなチャンスが転がっているのだ。
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毎週フィリピン成田の往復で、payするんですね?マイルも貯まりそうですが。しかし肉体労働ですね。まあ確かに、アメリカにいたときは1.5倍の値段でマンガ買いましたねえ。
2005/11/2(水) 午後 9:53
こもねさん、お元気そうでなにより。付加価値の高いものを多く運んでいるので、ペイするようですね。マイルは、距離の短いアジア路線といってもガンガンたまりますね。でも仕事で使っちゃうでしょう。そのときの利幅は大きい。ところでこもねさん、アメリカのどこにいらしたんですか?
2005/11/3(木) 午前 8:41 [ cas*bon**a202 ]
こんばんは。元気ですよ〜。遊びすぎてお金が貯まらぬ毎日です。casabonitaさんもお元気?ですか?私がいたのはマサチューセッツ州のアムハーストっていう所です。ものすごい田舎ですが、平和な学園都市で、キャンパス内にリスがたくさんいる所でした。
2005/11/6(日) 午後 8:38
僕? 元気ですよ。ちょっといろいろ立て込んでいて、更新はままならない状態ですけれど、もうちょっとしたら復活します。マサチューセッツですか〜〜。僕も子どものころにちょっと、カリフォルニア州のオレンジカウンティーに住んでいました。家の周りにはリスやウサギ、水鳥がふつうにいて、いま思うと、これってLOHAS的な生活でしたね。
2005/11/7(月) 午前 9:17 [ cas*bon**a202 ]
オレンジカウンティーってどの辺ですか?水鳥やウサギなんていいなあ〜。家の回りに野良猫・雀・鳩がいるか、または水鳥・リスがいるかで生活の質が違ってくるような。気がします。
2005/11/10(木) 午後 10:18
オレンジカウンティーは、ディズニーランドやナッツベリーファーム、ラグナビーチがある郡です。ロサンゼルスの南ですね。僕が住んでいたのは、ロサンゼルスとサンディエゴの中間にあるミッションビエホという町(オレンジカウンティーの南部)。水鳥やウサギだけでなく、コヨーテがいるといううわさもありました‥‥(1度も遭遇しなかったけれど)。それにしても最近、野良犬は見ないけれど、野良猫はおおいですねえ。
2005/11/11(金) 午前 8:02 [ cas*bon**a202 ]
2012/11/12(月) 午前 9:55 [ g ]
すごく面白い記事ありがとうございます!私も海外投資をするなかで、移動は運び屋として移動費くらいは稼げないか模索している最中です。とても良いヒントをいただきました。感謝です
2014/3/19(水) 午前 10:57 [ bor**oro_v*d*o ]