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かつて・・これほど感覚に訴えかけてくる映画を、体験したことがあったでしょうか。
ビジュアルが息を飲むほど美しい。
セピア色とカーマイン・レッドに彩られたスパルタ兵達の残像が尾をひくように目の奥に残る。
それは、古代遺跡の壁画のように、力強く、躍動感あふれる絵画を観ているかのようです。
スクリーン上に、スローモーションと加速されるシーンが交互に映し出される
革新的な映画の手法は、まるで、ワンシーン、ワンシーンが、
ダ・ヴィンチの素描集をめくっているような・・
そんな不思議な感覚に陥ります。
ストーリーは、とてもシンプル。
紀元前480年、ギリシアの一国スパルタの王レオニダス(ジェラルド・バトラー)は窮地に陥っています。100万の大軍を率いて、自らを「神」と崇めるペルシア大王クセルクセス(ロドリゴ・サントロ)がギリシアの地に、攻め込もうとしています。スパルタの議会は、託宣者オラクルのお告げに従い、スパルタ兵の出兵を禁止します。法の抜け穴を見つけ出したレオニダスは、「散歩」と称して、300人の精鋭スパルタ兵を連れて、100万のペルシア軍のギリシア侵略を向かい撃つために、海岸へと旅立ちます。
映画の殆どは、戦闘シーンです。
次から次へ、手法を変えて、襲いかかってくるペルシア兵を、
バッタバッタとなぎ倒していくスパルタ兵達。
赤いマントに革のパンツ、サンダル・・そして兜、盾、武器というお姿。
かなり鍛え抜いたマッチョな身体はこの映画のキャラクターの必須条件!
(たとえば、ジャック・ブラックのナチョ・リブレが、スパルタ兵に混じっていたとしたら・・
かなりマズイ!単なるお笑い映画になってしまいます。)
監督ザック・スナイダーによると、ジム通いが当たり前なアメリカ人俳優と違い、
優れた役者だけれども、パブ通いが好きな、まったく肉体派でない英国俳優が多かったので、
まずは映画を撮る前にトレーナーをつけて身体作りから始めたそうです。
グリーンバックで撮影された戦闘シーンは、切断された足がふっ飛んだりと、
かなり残酷な場面が多いのですが、ほとばしる血しぶきが、
CG処理でグラフィカルな赤い点として描かれていて、
そのせいか、それほど血なまぐさい映像ではありません。
むしろスパルタ兵達の戦闘姿の立ち居振る舞いに、究極の美すら感じてしまいます。
残酷なのに美しい・・この微妙な違いが、この映画の魅力であり、問題点でもあると思います。
つまり、この映画の意図は、「戦争と英雄への賛歌」と取られかねない危険性を
はらんでいるのが気になりました。
私個人としては、この映画は、古代史を基にしたファンタジーであり、
「叙事詩映画」として楽しみました。
映画の始まりから、語り手により、スパルタ人の特質とレオニダスが王になったいきさつが
明らかにされ、王妃ゴルゴ(レナ・へディー)とレオニダスの愛。
その王妃を狙うセロンの野心、レオニダスの苦悩や彼の同僚達のやりとりなどが、
激しい戦闘の合間に、様々なエピソードが丁度よい分量で織り込まれていて
脚色の完成度も高いと思いました。
レオニダスを演じたジェラルド・バトラーは期待以上に素晴らしく、
単なる殺人マシーンのスパルタ人ではなく、スパルタ王としての運命の苦悩と最後の決断を、
研ぎ澄まされた、味のある演技で見せてくれています。
アスティノス役のトム・ウィズダム君、なかなか美青年!
殺されちゃってもったいない!と思わず思いました。今後、注目していきたいです。
そしてロドリゴ・サントロ君は、あの「ラブ・アクチュアリー」のシャイな好青年とは、
うって変わって、とても妖しい魅力を放つペルシア大王クセルクセスを
ピアスまみれになって怪演しています。
フランク・ミラーのグラフィック・ノベル「300」を忠実に映像化し、
原作ファンを充分に楽しませる映像美は素晴らしい。
原作の絵そのままのシーンも幾つかあります。
叙情詩的で官能的。
紀元前の歴史的シーンを21世紀の革新的な映像美で見せる。
まちがいなく新時代の映像美を語るには、はずせない傑作の一つになると思います。
まず、『300/スリーハンドレッド』を五感で堪能してみてください!
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この映画、私はかなり単純に楽しみ、その単純さゆえNomadさん的には辛口のレビューを書かれるかと思っていました。 …が、レビューを読ませていただいて、そんな見方があったのか…という思いです^^。
で、私が英国俳優が好きなのは、虚弱な感じがするところだったりするのですが(笑)、この映画でマッチョも好きになったかも(爆笑)
トム・ウィズダムくんは、レオニダスの腹心の部下の息子役の俳優さんですよね? UKプレミアでもモデル風でカッコ良かったです^^。
TBさせてくださいね。
2007/6/15(金) 午後 0:30
ムム・・・これは是非見てみたい!スパルタ兵もの好きなんです。
映像の美しさと言えば、最近もう一度見てみようとDVDを買ったイージー・ライダーも美しい。
今見ると、なるほど、そういうメッセージがあったのかと結構面白いし。
(でも後半が記憶によるとちょっと怖いので現在途中でポーズ中!アハハ)
2007/6/17(日) 午前 2:29 [ - ]
この解説を読んでいたら、ますます観てみたくなりました。なるほど、21世紀の革新的な映像美ですか。
2007/6/18(月) 午後 2:55
kimさん、パイレーツ〜などで複雑なストーリーにちょっと食傷ぎみだったんで、このくらいシンプルな構成が、なんか程良かったのかもしれません。英国俳優は確かに虚弱な感じですよね(笑)けれども鍛えればガッツリきますね!トム君は、いいですね〜!また新しい掘り出し物を発見した気分ですよ;;TBありがとうございました!
2007/6/19(火) 午後 11:13 [ nomad ]
zombieさん、スパルタ兵ものが好きならMUSTな映画ですよ!「イージーライダー」なんてまた渋いDVDを買いましたね〜;;ジャック・ニコルソンもあの頃は、スリムでした!ピーター・フォンダもコレで日本でブレイク。デニス・ホッパーも良かったですよね。今思うと、アメリカって超保守的な国だったんですね。たしかに後半は悲惨な運命が・・;;
2007/6/19(火) 午後 11:19 [ nomad ]
nzさん、ストーリーは単純なので、どっぷりと映像の美しさを楽しめます!スローモーションと高速なカットを交互に入れていて、それが独特の映像を作りだしています。人間の視覚的な印象に訴える映画です。
2007/6/19(火) 午後 11:23 [ nomad ]
フランク・ミラーの原作ですから、バイオレンス度はやはり高そうですね。
でも、映像がやはり見どころそうですね。
こう云う感じのCGの使い方はおもしろそうです。
確かに最近、妙に?複雑な映画がハリウッドは多いですよね。
catpurrさんのレヴューも歯切れがよく楽しめました。
2007/6/20(水) 午前 1:04 [ miskatonic_mgs_b ]
miskatonicさん、歯切れが良かったのは、トム・ウィズダム君♪のおかげでしょうか。単純なんです^^;
バイオレンス度は高いですが、見せ場はいろいろ用意されています。でも画像がセピアなので、それほど血なまぐさくないです。そこがちょっと危険な魅力なんですね。
CGの使い方も独特で映像関係が好きな方は必見です!早い動きをスローもッションで見せるのはゴールデン・ルールですね。
ただ、この映画、イスラム社会から批判を受けてたり、人種差別的だのと騒がれました。また歴史背景なども正確さには欠けるらしく・・そのあたりで批判されているようです。
2007/6/21(木) 午前 11:11 [ nomad ]
え??そうだったのですか。。
せっかくスパルタに興味があったし、なんていったってジュリーさま
だったのに、戦闘シーンが厳しいという噂で見なかったのです。
でもcatpurrさんがそう言われるならきっと美しいのでしょうね。
ただ。。やはりどうせなら上のコメでも書かれているとおり、
歴史的背景を描きこんでほしかったです。
2007/6/25(月) 午前 9:37
cartoucheさん、ジュリーさまのファンなら必見です;;
戦闘シーンは激しいけど、絵画的なので、なんとか耐えられると思いますが。
歴史的な背景ですが、この映画の世界はファンタジー武勇伝であり、神話的に描かれていますので、美化された部分も多いと思います。
2007/6/26(火) 午前 11:07 [ nomad ]