The House of Nomad

暫くお休みしていましたが、始動しました!宜しく

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

ブーリン家の姉妹

イメージ 1

英国史の中でも、最も興味深く、ドラマチックな時代が、
ヘンリー8世の時代から、エリザベス一世の統治時代である
テューダー朝(スコットランドではスチュワート朝)時代と言われています。
特に、このヘンリー8世という王様は、今でも英国民のアイコン的な存在で人気があります。
ハンス・ホルバインの肖像画から、感じられるように“強い英国”の象徴と喩えられるのでしょう。

ヘンリー8世は、語学、武芸の才能に秀で、英国史上でも、際立って洗練された王様でありましたが、
同時に、自分に背く者は、たとえ長年の親友でも処刑するという非常に残忍な面も持っていました。

『ヘンリー8世と6人の妻』はあまりにも有名で、この6人のうち2人が、処刑されています。
その処刑された2人の妻のうちの一人が、この映画の主人公の一人であり、
後のエリザベス一世の母となるアン・ブーリン。
そしてその妹であり、ヘンリー8世の愛人だったのが、もう一人の主人公である
メアリー・ブーリンであります。

あらすじ:
最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンとの間に、男の子の世継ぎが生まれないヘンリー8世に、
ブーリン家は、出世のために、娘のアンを王のベットへ送りこもうと画策する。
けれども王は、純粋なメアリーに魅かれ、愛人にする。
その後、フランス宮廷仕込で、すっかり洗練されて帰国したアン。
妹に先を越され、姉妹の絆が壊れて行く中で、陰謀渦巻く男性が支配する世の中を、
女が生き抜いていくための知恵を習得し、大胆で魅力的でカリスマ的なアンは
英国宮廷で、廷臣達の人気の的になる。
そんなアンに、王はすっかり魅せられて、翻弄される。
アンを手に入れるため、王は、王妃キャサリン・オブ・アラゴンと離婚するために
ローマ教皇庁と決別し、(現在の)イギリス国教会を設立し、アンを正式な妻に迎える。
ここからが、アンの転落の始まりであった。
アンに最初に生まれたのは女の子(後のエリザベス一世)、
その後、また身ごもるが、男の子を流産。
王の愛の感心は、もはや新しい女官へと移っていて、
王の世継ぎを産まなければ破滅する・・という思いに憑つかれたアンは、
やがて王との間に決定的な心の亀裂を生み、断頭台へと送られる。

映画を観る限りでは、筋書きが分かりやすく、メアリーの純朴さが、
アンの性格のキツさと対比されていて、思ったほど悪い出来ではないと思います。
主役のアン役のナタリー・ポートマンとメアリー役のスカーレット・ヨハンソンの
ゴージャスな掛け合いも楽しめたし、やや力強さに欠けるものの、エリック・バナの
ヘンリー8世の苦悩ぶりも合格点でしょう。
特に後半のナタリー・ポートマンの危機迫る演技は、この映画の中でも印象に残るシーンです。

衣装も素晴らしく、アンのクールでシャープな印象のブルーとグリーン系。
メアリーの優しい性格を現したレッドとオレンジ系。
信心深いキャサリン・オブ・アラゴンの堅苦しい黒。それぞれの性格が反映されていました。
テューダー朝時代の家具や、ウッドのパネルなどインテリアや、
ロケに用いられたお屋敷も、それぞれ時代考証がしっかりしていて納得のいくものでした。

ただ問題は、(これはどうしても歴史映画について回ることなのですが・・)
歴史的に正確ではない。
また、ベストセラー小説の映画化でありながら、オリジナルの良さを再現できていないので、
オリジナル本を読んだ人に不評であること。
このことに加えて、この題材は、今まで何度も映画化ドラマ化されていているので、
目の肥えた欧米のこのお話のファンには、いまひとつだったかもしれません。

BBCドラマでも同じ題名で2003年にドラマ化されていますが、
こちらの方が、この映画よりは評判が良いようです。
他には、有名な映画『1000日のアン』の印象も未だに強いです。
そして何よりも、新しいヘンリー8世のイメージを打ち立てた、
ジョナサン・リース・メイヤーズ主演の画期的な超人気ドラマ『テューダー』などもあり、
そういう様々な意味からも、この映画が欧米で登場した時、
いまひとつ反応が良くなかった理由かもしれません。

確かに歴史的な正確さは、大切だとは思いますが、
映画という観点からすれば、ある程度史実をドラマチックに描くことや、
起こりうるであろうことは、喩え想像であっても描かれてもよいのではと思っています。
実際、当時の証人など、今現在生きてないですし、
歴史をいろいろ考察するのは、ミステリー小説を読んでいるようで楽しいものであります。

ですが、歴史的な正確さでも、別に変える必要もないのにと思う所が、
この映画にはあります。
変えても物語の進行には、無意味な気がするのですが。
たとえば、実際は、アンが妹で、メアリーが姉。
映画で描かれている事と事実の時代と期間にズレがある。
若い頃から姉妹は、フランス宮廷でフランス王妃に使えていた。
最初にメアリーが帰国し、ヘンリー8世の愛人になる。
ヘンリー王との間に男の子は、もうけていない。
アンとヘンリーが出会ったのは、アンが帰国してから。
アンが王妃になってから処刑されるまでは、もっと期間がある。など・・

また、後半のアンが、王妃になってから処刑されるまでの成り行きが、
30分ほどで急いで結末へ至る展開は、ちょっと速すぎるし、単純すぎる気がします。
アンが王妃になってから処刑されるまでは、もっと複雑な陰謀や、策略があり、
アンが、近親相姦と反逆罪の罪で訴えられて処刑される前に、
弟(ジム・スタージェス)を含む4人の男が実際には、尋問され処刑されるのに、
その辺が単純化されすぎています。
この映画だと、アンの処刑に関して、ヘンリー8世は、何の陰謀にも関わりなく、
やや良い人物に描かれすぎているのも気になります。

全体的には、映画にしては、こじんまりと、まとまりすぎた印象をうけます。
どちらかといえば、少女漫画を読んでいるような・・

今の時代、このあまりにも有名な悲しいお話を映画化するのであれば、
もっと新しい切り口と、迫力のある展開と映像が必要だった気がします。

*おまけ*
アンが最後に処刑されるシーンですが、アレッと思ったのが、
処刑に剣が使われていることでした。
英国の処刑では、通常は、斧が使われます。
調べてみたら、アンの処刑は最初、火あぶりだったのですが、
ヘンリー8世が、斬首に減刑したそうです。
しかも痛みが瞬間で済むようにと、剣の腕の立つ処刑人を捜してきて執行したそうです。

全1ページ

[1]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事