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ヒットメーカー、ホン・ジョンウン、ホン・ミラン姉妹(以下 ホン姉妹)が脚本を担当したホラーコメディ、「主君の太陽 주군의 태양 [ちゅぐね てやん] 2013 SBS (水木)」を、お題にしています。
相変わらずあまりにマニアックで細かな事柄ばかりですが、どうかご容赦ください。
また、ここからネタバレ気味での進行となる事を、予めご了承ください。 これまで延々と、日本での放送版の残念な曲の差し替えを挙げてきましたが、今まで数多く観てきた韓国ドラマの中で、個人的に「主君の太陽」の第16話が、最も残念な差し替えでした。そう感じた理由をこれから少々。(延々と?) 今回のお話の中心人物、
右、テ・ゴンシル = テヤン(コン・ヒョジン 俳優名 以下同)−幽霊 *1 が見える
左、チュ・ジュンウォン = チュグン(ソ・ジソプ)−幽霊を消せる *1 「幽霊」
「귀신 鬼神(くぃしん)≒幽霊」(これ以降 幽霊)
「主君の太陽」は当初全16話の予定が、韓国ドラマではよくある途中延長が決まり、全17話に。この増えた1話分の使い方が、ちょっと変わっています。
物語進行は全16話構成を変えず、
14話、テヤンがチュグンから離れる訳、
15話、序盤からの伏線を回収、テヤンが離れる訳をチュグンが納得、
(追加された16話)
最終17話、エピローグ。
15から17話に飛んでも差し支え無く、物語進行を少し離れた挿入句のような16話では、登場人物それぞれが抱え込む「理由」、(自分は)何故そう行動するしかないのかという「理由」を考えたり、少しでも明らかにしようと試みるのです。
いわば、それまでの行動の視点を変えた見直しです。(それって反省会?)
そんな16話、チュグンとテヤン、思惑抜きでの初めての食事が何故か「うどん」。
それを打ち切ろうとチュグンが、「(これを)美味しく食べて、これからはうどんを見る度に(この瞬間を思い出し)苦しむんだ。」と述懐します。
第1話からここに至るまで、様々な出来事があった筈なのに、それらは全て幽霊を巡る騒動に過ぎず、実は何も知らないままだという、苦い思いを噛み締めるのでした。
今まで一緒に食事をしたのはおそらく、第8話のホテルでの一回のみ。
けれどもこれは、プールの幽霊を見つける作戦の一環に過ぎませんでした。
そして、(個人的に)韓国ドラマで最も残念な差し替えシーンに移ります。
公園に流れる歌が、ふたりの足を止めます。
1′50″から2分間、流れるのはその歌だけ。セリフは「テ・ゴンシル、行くな」のみ。
尚、動画は上記うどんシーンの最後から始まります。
(埋め込み再生不可のため、「 YouTube でご覧ください」をクリックし、別タブで再生してください。)
(16-08)
うわあ、これを差し替えるって、もう、い け ず… 公園で歌われているのは、
キム・グァンソク(김광석)の「사랑이라는 이유로 [愛という理由で]」。
しかも、男性が歌うオリジナルではなく、テヤンの視点に向くよう、女性ボーカリスト、チャ・ヨウル(차여울)を起用し、公園で実際に歌うという凝り方なのに。
オリジナル・サウンド・トラック(以下 OST )収録外だからって、普通は切らないでしょうというこの流れ。
こちらがチャ・ヨウルが歌う、「愛という理由で」フルバージョン。
しかも、「愛という理由で」という理由で… が、曲の中にもあるのです。
以下、超絶意訳のいい加減さで(あまり信用しないでくださいね)。
思わず文字が小さくなってしまいます(笑) うわぁ、名曲を無理やり意味取るって強烈に恥ずかしい(^^ゞ
そんな大掛りな反省会を締めくくる最後のひと言が、チュグンのつぶやく、
「『愛している』とは、最後まで言わなかった。」
「愛という理由で」は引き留められない、そしてそうすべきではないと知るのです。
公園で聴いた「愛という理由で」は、言えない、そして言うべきではない言葉の象徴でもありました。
実はこの大掛かりな反省会にはもうひとつの要素、「キャンディ・キャンディ」 *2 問題があるのですが、どうしても長くなりそうなので、今回は省きます。
*2 「キャンディ・キャンディ」
水木杏子原作、いがらしゆみこ作画の1975〜79年のコミック、並びに1976〜79年の TV アニメ。
韓国ドラマのストーリー構造に大きな影響を与えた。
「主君の太陽」ではその構造について、「キャンディは… 」等のセリフを通じ頻繁に言及する。
とりわけ16話では、「キャンディ構造」の可能性と限界について詳細に論じている。
また、正式な題名は「キャンディ♥キャンディ」だが、ここでは便宜上「キャンディ・キャンディ」と表記する。
キム・グァンソク(김광석)が歌う、「사랑이라는 이유로 [愛という理由で]」。
キム・グァンソクは1964年生まれのシンガーソングライターで、32歳の誕生日を目前に控えた1996年01月に夭逝してしまいました。本当に残念な事です。
あまりにも生き急いで去りましたが、彼の残した功績はとても大きく、その曲は今も数多くのドラマや映画に使われ、更にセリフなどでも頻繁に引用されます。
例えば、「空港に行く道 2016 KBS2」の第10話、チェ・スア(キム・ハヌル)に電話の向こうから突然、「好きな歌手は?」と訊ねられたソ・ドウ(イ・サンユン)が、
ドウが、「じゃあ今度聞いて、歌詞を分析してみよう」と応じます。
このやり取りで、ソ・ドウが相当な堅物らしいと分かります。
ちなみにキム・ドンリュル(김동률)は、1974年生まれのシンガーソングライターで、抒情的なバラードの先駆者とされています。
日本で例えたら… さだまさし? (例えが適切かどうかは全く分かりません(笑)
ともあれ、この選択で、スアが乙女な一面を持っていると伝わります。
ドラマ設定では、ふたりは1980年前後の生まれ。
キム・グァンソクの最期、キム・ドンリュルのデビュー時にティーンエイジャーです。
映画で思いつくのは、「클래식(クラシック) 邦題;ラブストーリー 2003」、
「너무 아픈 사랑은 사랑이 아니었음을 苦しすぎる愛は愛ではなかったものを]」
ベトナム戦争が引き裂く、ふたりの心情が… おっと、こんな調子で続けたら延々とリストが続きそうです(笑)
なのでこの続き、キム・グァンソクについては稿を改め、また何時か。
残念な曲の差し替え大ネタ編が一応の決着を見たので、小ネタ編をひとつ。
第7話、
0′00″幽霊ランナーにお願いされてしまったテヤンが、レースを準備します。
(埋め込み再生不可のため、「 YouTube でご覧ください」をクリックし、別タブで再生してください。)
疾走中は、映画「Chariots of Fire [炎のランナー] 1981年」のテーマ。
「Chariots of Fire [炎のランナー]」は、2012年ロンドン・オリンピックで使われ、
「Hand in Hand」は、2018年平昌・冬季オリンピックでも使われた有名曲。
もちろん日本版では、このどちらも使われる事はありませんでした。
「キャンディ・キャンディ」問題と、キム・グァンソクの続きを積み残したままですが、
強引に最終17話、ドラマ序盤から密かな活躍?をして来たごみ箱の幽霊に、実は妻が居た事が判明します。 ([17-07] 0′00″)
この方も、よく見かけるんだよなあと思っていたら、「いとしの『ソヨン』」母でした。
妻と母を演じたのは、キム・ミンギョン(김민경)
1960年生まれで、’80年代から映画を中心に活動しています。
時代劇もこなし、「オクニョ (獄中花) 2016 MBC」ではキム尚宮、文定王后の側近でした。
おまけの話。
韓国語で「김민경(キム・ミンギョン)」と検索すると同姓同名が多く、1981年生まれの女性コメディアンを筆頭に複数の人物が出てきます。
それを避けるため、「김민경 1960」「김민경 1981」など、生年を加えて検索する方法が一般的なようです。
リストや記事に生年の記載が多いのは、年功序列重視が理由と思っていましたが、検索に役立つ意外な効用があるのでした。
とりあえず、この項はこの辺で。 |

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