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今回は対称座標法をテーマにします。

レベルは電験二種クラスです。

cesが最初に対称座標法を知った時の第一印象はめんどくさいなと言うものでした。ほかにもっと簡単な方法がないのと思ってしまいました。その後、じょじょにわかってきましたが対象座標法を使っている場合はほかの方法でするより対称座標法を使う方がシンプルでわかりやすかったのです。電験二種の勉強を始めたばかりの人はどういう場合に対称座標法を使う必要があるのかないのか?そして、そもそも何故、対称座標法を使う必要があるのかよくわからない人が大半だと思います。具体的に対称座標法の説明に入る前にまずはそのことについて触れたいと思います。

1.どのような場合に対称座標法を使う必要があるのか?、そして、そもそも何故、対称座標法を使う必要があるのか?

1-1.送電線路の線路定数
イメージ 1
送電線路には線路定数と言うものがあります。線路インピーダンスZ,抵抗R,リアクタンスX,角周波数ω,インダクタンスL,静電容量Cとします。

Z = R + jX = R + j(ωL - 1/ωC)


送電線路、簡単に言うと電線は1本の直線です。しかし、抵抗RはともかくインダクタンスL即ちコイルでもあり、静電容量C、即ちコンデンサでもあると言うことです。コイルと言うと導線をくるくる巻いたものと言うイメージがあります。そのイメージは別に間違っているわけではないのですが、直線と言うのは半径が無限大の1巻のコイルと考えることができます。そして、実際に電線のインダクタンスを測定することもでき、確かに電線はコイルなのです。コンデンサと言うとある程度面積をもった電極が2つあると言うイメージです。そのイメージは別に間違っているわけではないのですが、電線は細いながらも多少は面積があります。そして、ある電線の周囲にまったく何もなければ電極、即ちコンデンサにはなりません。しかし、送電線路は通常3線(場合によれば3線2回線とか4回線)なのでその2本の電線間がコンデンサになり静電容量もあります。そして、電線と大地間にも同様なことが言えます。

補足:電線の線路定数

抵抗R:電線上R、電線大地間 漏れコンダクタンスG
インダクタンスL:電線上L、電線間M,電線大地間M'
コンデンサC:電線間Cm,電線大地間Cs

1-2.対称座標法を使う理由

いきなり、結論から言いますと送電線路を流れる電流によって線路インピーダンスが変わる場合があるからです。本当は実際の送電線路で変わらない場合はないのですが、電験の簡単な問題の場合はその影響が小さい場合は無視しているだけです。

1-3.流れる電流によって線路インピーダンスが変わる理由

1-3-1.流れる電流によって線路インピーダンスが変わる理由
イメージ 2
この回路で線路定数は前の回路と同じとします。そして、拡張オーム則も成立するとします。

起電力E=1[pu]を線路に印加したとします。その時線路に電流I=1[pu]が流れるとします。線路インピーダンスZ=E/I=1/1=1[pu]となります。

ここで起電力E=2[pu]を線路に印加したとします。オーム則が成り立つなら線路に電流I=2[pu]が流れそうに思えますが実際にはI≠2[pu]となる場合があるのです。

1-3-2.1線送電線路と2線送電線路
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この回路図のように1線しかない場合はI=2[pu]になります。
この場合は対称座標法を使う必要はありません。

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この回路図のように2線あり、Eb≠0の時はI≠2[pu]となります。
この場合は対称座標法を使う必要が出てきます。

もう少し詳しく説明すると
イメージ 4
この回路では静電容量Cは無視していますが、線路インピーダンスZは抵抗RとインダクタンスLと静電容量Cからなっています。

この回路では次の式が成立します。

Ea=(R+jωL)Ia+jωMIb
Eb=(R+jωL)Ib+jωMIa

この式が成り立つのはコイルの相互インダクタンスを理解している人ならわかると思います。
この式をもう少し変形すると

Ea=(R+jωL+jωMIb/Ia)Ia
Eb=(R+jωL+jωMIa/Ib)Ib

ここで次式を考えると

Ea=ZaIa
Eb=ZbIb

すると次の式が出てきます。

Za=R+jωL+jωMIb/Ia
Zb=R+jωL+jωMIa/Ib

この式がどういうことかと言うとZaとZbは定数ではないと言うことです。Za,Zbは電流Ia,Ibの関数になっています。a相で言えば、EaとIaの間にはオーム則が成り立ちません。そのため電流が変化したとしても対応できる対称座標法を用いる必要があります。

結論:電線間に相互インダクタンスがあるためEaとIaの間にオーム則が成立しないため対称座標法を用いる必要がある。


電験の問題では電線間の相互インダクタンス等が無視できそうな時はオーム則・キルヒホッフ則・テブナン則で計算が可能です。

元の式を2線から3線に拡張すると次のようになる

Ea
=(R+jωL)Ia+jωMIb+jωMIc
=(R+jωL)Ia+jωM(Ib+Ic)

Eb
=(R+jωL)Ib+jωMIc+jωMIa
=(R+jωL)Ib+jωM(Ic+Ia)

Ec
=(R+jωL)Ic+jωMIa+jωMIb
=(R+jωL)I+jωM(Ia+Ib)

ここで平衡三相回路を考えると

Ea
=(R+jωL)Ia+jωM(Ib+Ic)
=(R+jωL)Ia+jωM(-Ia)
=(R+jω(L-M))Ia
=ZIa

同様にして

Ea=ZIa
Eb=ZIb
Ec=ZIc

Z=R+jω(L-M) 定数

が成立します。

このことから平衡三相回路ではオーム則が成立するので回路計算ではオーム則・キルヒホッフ則・テブナン則等が使えるので対称座標法を使う必要はありません。

平衡三相回路に慣れているとこれが当たり前に思ってしまいますが、電線が2本以上[本当は電線1本でも大地があれば同様です。(笑)]あれば、かならず相互インダクタンスが存在するのでオーム則は成立しないので対称座標法を使う方が基本なのです。平衡三相回路ではたまたま相互インダクタンスの部分が電流Iaに比例するため対称座標法を使う必要がなかっただけなのです。

文中でオーム則が成立しないと書きましたがこれはEa∝Ia,Eb∝Ib,Ec∝Icが成立しないと言っているだけでオーム則自体が成立しないわけではありません。

不平衡三相回路では通常は対称座標法を使うのが定石になっていますが、別に相互インダクタンス等を考慮して普通?に交流の電気回路として計算してもなんら問題はありません。確かに対称座標法はめんどくさい側面はありますが、普通に交流の電気回路として解くよりは実はうーんとわかりやすく計算が楽なので通常は対称座標法を使っているだけなのです。

2.対称座標法

2-1.対称座標法の基本公式
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対称座標法で使う公式は派生公式や実用公式は他にもありますが基本公式は上の行列式4つと普通?式3つの7つだけです。

2-2.公式の覚え方
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a→0公式[上の方の公式]を基本として覚えます。
覚え方は上の通りです。

零相: 1 1 1

正相: 1 a^2 a

逆相: 1 a a^2


正相が相順(相回転)a→b→cとすると逆相は相順a→c→bとなるのでa^2とaが入れ替わる。

イメージ 8

覚え方は上の通りです。

とにかく、正相にだけEが付いているだけ覚えておけば大丈夫です。
このEはEaと覚えておいてもいいです。

注意:右辺にはマイナス-が付いています。

2-3.不平衡三相回路と対称分回路の重ね合わせ
2-3-1.不平衡三相回路と対称分回路の重ね合わせ
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││

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上の零相回路・正相回路・逆相回路を対称分回路と言います。
添え字が数字のものを対称分と言います。

(不平衡)三相回路 = 零相回路 + 正相回路 + 逆相回路

別に不平衡三相回路に限定されないのですが、三相回路はこのように3つの対称分回路の重ね合わせで表わされます。

簡単に言うと

正相回路:平衡三相回路と同じ。


零相回路:大地を基準とした時のシフト(上乗せ)分です。


テストで出題ミスをして全員に無条件に10点上乗せしたようなものです。
よって、三相回路が大地と切り離された状態の時は零相回路は考える必要はありません。

逆相回路:不平衡分です。


電圧・電流で正相の相順abcとすると逆の相順acbになったものです。

不平衡率=│V2│/│V1│ あるいは 不平衡率=│I2│/│I1│


2-3-2.電圧と電流の対称分

Va = V0 +  V1 +  V2

Vb = V0 + a^2 V1 + a V2

Vc = V0 + a V1 + a^2V2


Ia = I0 +   I1 +   I2

Ib = I0 + a^2 I1 +  a I2

Ic = I0 +  a I1 + a^2 I2


三相回路の電圧・電流はこのように対称分で表わすことができます。

この対称分はどこからきたのと思う人もいると思います。

V0 = (Va +   Vb +   Vc)/3

V1 = (Va +  a Vb + a^2 Vc)/3

V2 = (Va + a^2 Vb +  a Vc)/3


I0 = (Ia +   Ib +   Ic)/3

I1 = (Ia +  a Ib + a^2 Ic)/3

I2 = (Ia + a^2 Ib +  a Ic)/3


この公式を使って三相回路の電圧・電流から対称分の電圧・電流を求めることができます。

このようにすれば三相回路の電圧・電流がどのような値を取ろうとも対称分に分けることができます。

a→0公式から0→a公式、そして、0→a公式からa→0公式を計算で出すことが可能です。
基本公式として4つあげましたが、2つあれば後の2つは計算から求めることもできます。
ただ、計算するのは大変なのでとにかく、この4つの基本公式は行列式の形でもこの3元連立方程式の形でもいいので覚えておきましょう。

□電圧・電流

○零相:大きさ同一、位相同一。

○正相:大きさ同一、位相差120°ずつ。相順abc

○逆相:大きさ同一、位相差120°ずつ。相順acb

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一線地絡電流の計算に必要との事で理解しようとしたけど、初めてのやり方で、腑に落とすのが難しいですね。じゅっくりとネットで検索しながら使えるようにしたいです。(1-a) (1-a^2)のベクトルが分かりません。

2019/8/17(土) 午後 1:15 [ yma*a21*p ]


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