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This is Chad Mullane's Blog!
チャド・マレーンのチャド・マレーンの「自分、鼻の下になんかデキてんで」

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季節の変わり目で、猫の様子が変。

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再び寒くなるまで、くっついてくれないでしょうね。
ディオニュソスのカインドネスにはしばしグッバイ。

さて、"Midnight in Paris"
2011年(米)94分
監督・脚本:Woody Allen(41作品目)
第64回カンヌ国際映画祭・オープニング作品
第84回アカデミー賞・脚本賞受賞
ウディ・アレン監督作品で最も興行収入が良かった奴や!

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ウディ・アレンが好きな人ならもう観てはるでしょうけど、これは、収入興行的な成功からも分かるように、初対面でも割と誰が買っても損しないウディ入門でしょう。

可愛くて
可笑しくて
ファンタスティッくて

この作品は割と「薄い」方だけど、それでもやっぱり溢れてしまう、ウディの捻くれた、ネガティブながらもポジティブな、しょうもない人間の滑稽さが好きな度合いがたっぷりなので、ピンと来たら、もっと色々と観てみることをオススメします。

なお「分かりやすすぎるやろ!」というような前フリや、どストレートな状況説明的言い回しは、吉本新喜劇やと思って、その「敢えて」感も楽しんでください。本人もきっとそのつもりです。

ちなみに、ある程度の知識とインテリジェンスがあると、尚更、やっぱおもろいおっさんやな〜、って思わせてくれるのがウディ。今回でいうと、Lost Generation がいっぱい出て来ます。ヘミングウェイが流行らせた言葉で「第一世界大戦中に青春を迎えた世代」のことをさすんだけど、そんなロスジェネな芸術家たちが1920年代のパリにいっぱい集まった訳です。ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ピカソ、マン・レイ、ダリ、ブニュエル、ポール・カーター、スタイン等々が登場するんだが、この辺の「名前」だけじゃなくて、作風や人柄について最低限のことを知らないと、面白さは2割減でしょう。もっとも、そこら辺を知らないと、人生において、2割ぐらい損してると言えるでしょう。誰やねん!

な訳で、お固い感じで、客を選びそうな作品、と見せかけといて、ウディが見事なウディ節でそんなのをぽろぽろぽろぽろと崩してはるので、ちゃんと、誰でも楽しめるものになっています。

ただの豆知識として、Carla Bruni(当時の大統領・サルコジの嫁)がちょこっと出てます。La Seydoux(「レア・セドゥ」と読むらしい)も出ているが、なんか、いいかどうかは分からんまま終わってます。そんな、よく分からん引っ掛かりが僕の中にありました。そして、Marion Cotillard(マリオン・コティヤール)が!実に!いい!次回フィーチャーしようと思う作品『君と歩く世界』の主人公ですが、分かりやすい良さと、分かりにくい良さの両方を持った、ズルい奴や!!!

背景的な説明として最後ですが、基本的にウディ作品の主人公はウディ自身なんです。しかし、もう、1935年生まれのウディはめっさ爺ちゃんや〜ん。物語として無理が生じることは多々あるけど、今回はちゃんと他人に演じてもらっています。Owen Wilson です。限りなくウディですが、Owen は当たりが柔らかくて、「万人ウケ感」に大きな一役を買ったと言えるでしょう。しかし、やっぱ、「今のセリフは、絶対ウディ本人が言った方が面白く決まったんやろな〜」ってちょいちょい思ったのは、日本では僕だけでしょう。とにかく、ウディの愛しい人生観を伝えるウィットに飛んだ独特な言い回しがやっぱおもろい。英語を勉強して!

な訳で、本題!

テキトーにセリフTop9!

"They are your friends and I have to admit I'm not quite as taken with them as you are."

「彼らは君の友だちだし、認めるよ、僕は君ほど彼らに好意を寄せていません。」

う〜ん、この、主人公がフィアンセに言うセリフの、イヤなことを言わないように気ぃを遣いながらも何とか最後まで自分の言い分をちゃんと言い切ることが出来た、って感じが、うまく伝えられない。なんせ、そんな面白さ。

"Sex and alcohol.  Fuels the desire, kills the performance, according to the Bard."

「セックスにお酒か。「欲望」には火がつくけど、「実践」には水を注ぐよ。あの詩人も言ってた。」

お酒を飲むとエッチな気分になるけれど、フノウになってしまう場合もある、ってなことをすごく簡略な言葉で言えてるんですね!
ちなみに The Bard =「あの詩人」、つまり『シェイクスピア』のこと。
実はよく似たセリフが『マクベス』に登場する。
ただし、原作では "performance"は「全ての働き」を意味するけど、
「これはセックスにも言えることやな!」ってな、ベタなウディ節である。

Hemingway "Picasso only thinks that women are to sleep with, or to paint."

へミングウェイ「ピカソは女のことを『ヤルもの』だとしか思っていない。もしくは『絵にするもの』」

ピカソに対してバカみたいな悪口をヘミングウェイに言わせてるのがちょっと面白いし、最後にたったの3音節でオチっぽく「or to paint」と、発言を可愛くしてる辺りが、ウディやな。

Man Ray: "A man in love with a woman from a different era. I see a photograph!"
Luis Buuel: "I see a film!"
Gil: "I see insurmountable problem!"
Salvador Dal: "I see a rhinoceros!"
 

マン・レイ(写真家)「異なる時代の女に恋する男。これは写真になる!」
ブニュエル(映画監督)「これは映画になる!」
ジル(主人公)「これは乗り越えられない難関である!」
ダリ(シュルレアリスムの代表)「これはサイです!」

これほどキャラがハッキリしていて、テンポが良い流れはやっぱり、新喜劇ですや〜ん。

Hemingway: "I think a woman is equal to a man in courage. Have you ever shot a charging lion?"
Adriana: "Never."
Hemingway: "Would you like to know how that feels?"
Adriana: "I don't think so."
Hemingway: "You ever hunted?"
Adriana: "No."
Hemingway: "You?"
Gil: "Only for bargains."

ヘミングウェイ「勇敢さでいえば女男に差などない。君は迫り来るライオンを撃ったことある?
エイドリアナ「一度も」
ヘミングウェイ「どんな気分なのか、知りたくないか?」
エイドリアナ「別に」
ヘミングウェイ「狩りの経験は?」
エイドリアナ「ない」
ヘミングウェイ「、、、お前は?」
ジル「バーゲンなら狙うぜ!」

あのヘミングウェイをイケイケすぎる滑りキャラにして、女性はクールにして、最後はどうしょうもないシチュエーションを可愛らしいボケでまとめるのは、もう、ウディすぎますな。

"The artist's job is not to succumb to despair, but to find an antidote for the emptiness of existence."
「芸術家のお仕事とは、絶望に屈するのではなく「存在そのものの虚無」に効くお薬を見つけることだ」

何格好つけとんねん!やかましいわ!

"You always take the side of the help.  That's why Daddy says you're a communist."
「アンタはいつも召し使いたちの味方になる。だから父に共産主義者と呼ばれる。」

ここは、「まだまともな所見 → そんな結論になる?」という、たったの二言で、発言した者の浅さと酷さの全てが、さりげなく表に出て来てはスルーされる、というのが面白くて、ウディっぽいな!

そして ②、①、 はご自分で見つけてね!

SHIBILETA?

大変長くなってしまいました。

それでは、先日、緊急来日をし、高円寺で新作の打ち合わせを矢部太郎さんとやっていた際、途方に暮れてしまったウディ・アレンご本人の一枚で、お別れしましょう!

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