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まず冒頭にズバリ。
不思議の国のアリスの作者 ルイスキャロルは片頭痛もちだった。 皆が一生のうち一度は経験する症状の一つに頭痛がある。 頭痛も実にさまざまな原因で起こり、その種類も多種ある。 頭痛を専門に診るのも神経内科だ。 誤った認識でよく知られる片頭痛。 よく巷で「私は片頭痛持ち」とか「医者に片頭痛と言われた」など 耳にするが、正確に診断されているものは案外と少ない。 片頭痛は頭の片側のみに発作的に発生し、 脈打つような痛みや嘔吐などの症状を伴うのが特徴。 女性に多く家族性があり、思春期前の初発がほとんどだ。 片頭痛の発作を起こす前に「前兆」を伴う人が約半数でみられが、 この前兆は 視野がだんだんと狭くなる視野狭窄 や まぶしいジグザグの閃光が視野を傷害する閃輝性暗点(せんきせいあんてん) が多い。 他にも幻聴や運動麻痺(半身が動かない!)が起こったり耳鳴りや めまいなど本当に前兆も様々である。 ルイスキャロルは前兆を伴う片頭痛だったのだ。 原作にアリスの体の一部が大きく膨れ上がったり 遠くに行ってしまったり、床の下に足が沈んでしまったり… 映画でもアリスの体が大きくなったり小さくなったりするシーンがある。 時間感覚の異常や距離感の喪失もそうだ。 実は全てキャロル自身が前兆として実際に体験したことである。 この前兆。 最初にLippmanという医者が片頭痛発作の前駆症状として 奇妙な身体イメージの変形や歪みを経験する幻覚があるのに注目し 「不思議の国のアリス」のアリスの体験にそっくりである事に気がついた。 その後、精神科医Toddがこの種の幻覚は片頭痛患者にもっとも特徴的だが、 てんかん発作、薬物中毒、発熱時せん妄、統合失調症などでも起こりうるとして 「不思議の国のアリス症候群」の名を与え、 一躍有名になった。 ルイスキャロルが最初に頭痛を報告したのは彼が50歳代になってからであり、 「不思議の国のアリス」はそれより20年以上前に書かれたものであることから キャロルの経験とアリスは無関係と論じている人もいる。 しかし若輩者とはいえ神経内科の私が診る限り、 片頭痛発作が50歳代になって初発したとは考えにくく、 やはりキャロルの片頭痛発作がなければ アリスは生まれなかったのではないだろうかと考えている。 次号へ続く。 |
女医どれ
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まずは今話題の映画の中に診る神経内科。
徐々にupのつもりだったけど、ブームなうちが面白いだろう。
ティム・バートン監督の「アリスインワンダーランド」の上映が スタートし巷で話題を呼んでいる。 原作はご存知にようにルイス・キャロル。 彼は元々オックスフォード大学の数学教官であった。 よく上司(数学教授)の子供達と川遊びをしていた時に 子供達にせがまれ即興で童話を作っていた。 その子供達の一人「Alice」を元にし、彼女にクリスマスプレゼントとして 出来上がったのが後に「不思議の国のアリス」になる。 彼は作家であり詩人。そして数学者、論理学者、写真家、聖職者。 とされている。 非常に静かで内気な性格でかなりひどい吃音(きつおん:言葉がどもること)を持っていた。 写真は少女を被写体とした多くの写真を残しているそうであり、 また独身のまま生涯をとじたが、幼女嗜好の性癖があったのではと論じられている。
「アリス」が生まれる背景には彼の性格なくしては書けないと思うが、 物語中に時々出てくるさまざまな現象が 実は神経内科の疾患が関与しているのではないかという人も多い。 長くなるので彼の神経内科疾患の話は次回に。 予告編だけでも強烈なインパクトを与えるのは やはりジョニーデップ扮するマッドハッターだろう。 このマッドハッター=狂った帽子屋は オレンジ色の髪を持った白塗りの顔にクマといういでたちだ。 マッドハッターは17世紀の帽子屋をイメージしたと考えられている。 17世紀、帽子の生地はフェルトが主流だった。 この頃、フェルトを生産する際に水銀が使用されたようであり、 長期にわたり帽子を着用する事で、経皮的に水銀が体内に吸収され、 「水銀中毒」になった。 金属水銀での中毒症状は口内炎や企図振戦(動作を起こした際に振るえる。この際は手指や舌など)や その他に精神過敏症が出現する。
羞恥心が強まる。苛立つ。不安感など水銀過敏症ともいう。 水銀中毒(有機水銀化合物)は日本では水俣病で有名だが、 脂溶性で中枢神経に移行しやすく、一般臓器症状は起こらないとされている。 症状は知覚障害や視野狭窄、失調(体のバランスがとれない)、構音障害、難聴など そして面白いのが水銀中毒患者は肌がオレンジ色に見えるという。 この精神症状まで考えて狂った帽子屋にしたかは不明だが、 髪がオレンジ色でマッドなのは実に興味深い。 という私自身が先日映画を観に行ったのに DVDが発売されているとはいえ、アバターを観てしまったのだけど。 いいじゃん。アバター好きなんだもんww ちゃんとアリスインワンダーランドも観に行きます! 本日偶然にも水俣病犠牲者の慰霊式が行われている。 今後、世界(特に中国!!)で同じような犠牲者が出ないことを祈ります。
ではアリスの中の神経内科 後編へ続く。 明日からマカオへ行ってきます〜〜♪
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私が専門にしているのは「神経内科」
医療従事者の中では治りにくい病気ばかり、難しい、 神経内科医は暗い、変人が多いなどイメージはよくない。 専門は神経内科というとかなりの人が「へぇ、、意外…」と答える。 (ここには頭が良い人が選ぶという意味が含まれている) 全く失礼だわ。 私がお世話になった医局のメンバーははっきりいって明るく かつては大学のイケメン医師ベスト5のうち二人が所属するほど かっこいいし雰囲気も良い。 しかも少数精鋭で人数は少ないのにとても優秀で人間性も素晴らしい人が多い。 まぁ私は例外だけど。 医療従事者以外には神経内科は心療内科や精神科のイメージで、 「神経内科」そのものを正確に知っている人は残念ながらほとんどいない。 堂々と「最近眠れなくなって」「食欲が…」などを主訴に受診されると 「専門外です」とわざわざ足を運んだ患者を邪険に返すわけにもいかず、 「はぁ…」と一通り話を聞いて、神経内科は違うのですよと 説明し、専門医を紹介する。 「何かを専門にされているのですか?」の質問には 「脳梗塞やパーキンソン病など脳や神経・筋肉の病気を診る 『神経内科』です。今はやりでは認知症も専門です」 とここまで答えている。 そうでないといつのまにか相手の記憶が心療内科にすり替わって 夜中に「うつっぽいんだけど」など電話がかかってくる。 そこまで答えてもいまいちピンと来ていない人ももちろん多い。 私は神経内科としては出来も悪く、未だに選択科を間違った? と思う事もしばしばあるけれど、 最も医者らしい医者、それが神経内科医だと信じて疑わない。 データ社会の現在、医療でもその傾向が強いが、 優れた医療機器や採血データから診療するのではなく、 まず患者の話を聞き、診察し、身体全ての中でどこに病巣があるかを 考える。 まさに患者と接さずには診療が始まらない科それが神経内科。 医師の身一つで画像やデータを診ることなく 相手の病気の場所を探し当てるのは、私は一番かっこいいと思う。 そして一般の方々にも医療者にも知っておいてほしい。 一番罪深い事。 それは患者が訴える神経内科領域の病気に気付かず、 早期に気がつけば軽くすんだものが不可逆的な損傷になり、 後戻りできないようになってしまう事。 気がつかれないまま亡くなってしまう事。 神経内科は確かに難しい。 だけど興味深い症状や症例も多く、 高齢者社会の世の中では誰もが神経内科の患者に接している。 そして未知の部分がまだまだ多く、発見も年々あり、 更なる発展が期待できるのも、神経内科が一番ではないだろうか。 私の経験を含め、女医どれシリーズの一つとして 「神経内科のススメ」を徐々に書き足していきたい。 ってか元々昔女医どれ書いてたのは神経内科の事を 書きたかったからなんだけどね〜w 二年目にしてやっとっす。 |
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70代男性。 |
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超ご無沙汰っww |


