チャコティの副長日誌

いよいよヤフーブログお別れです….

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原題:THE BOOKSHOP
制昨年:2018年 制作国:スペイン/イギリス/ドイツ 上映時間:112分


残業をしない水曜の夜には柏のキネマ旬報シネマへ.公開されたばかりの欧州
作品を本年累積48本目に鑑賞.

ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの『ブックショップ』を
「死ぬまでにしたい10のこと」「しあわせへのまわり道」のイザベル・
コイシェ監督が映画化.

保守的な時代のイギリスの田舎町で、激しい妨害に遭いながらも、町で初めて
の本屋を開こうとした女性の奮闘の物語を丁寧な筆致で綴る.

スペインのゴヤ賞では、みごと作品賞・監督賞・脚色賞の3冠に輝いた.
主演は「メリー・ポピンズ リターンズ」のエミリー・モーティマー、
共演にビル・ナイ、パトリシア・クラークソン.
 
1959年、イギリスの海辺の小さな町.戦争未亡人のフローレンスは、
夫との夢を実現するために動き出す.それは、これまで町に一軒もなかった
本屋をオープンさせるというもの.

精力的に準備を進めるフローレンスだったが、保守的な町ではそれを快く
思わない人も少なくなかった.そして地元の有力者ガマート夫人の執拗な
嫌がらせを受けるフローレンス.

それでもどうにか開店にはこぎ着けたものの、なおも続くガマート夫人の
妨害工作で、次第に経営が立ち行かなくなっていく.そんな中、町外れの
邸宅に40年も引きこもっている読書好きの老紳士ブランディッシュ氏が、
フローレンスの本屋経営を支援し始めるのだったが….

以上は<allcinema>から転載.
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天候の移り変わりの激しいイギリスの港町の出来事.
一見穏やかそうな住民の心内も実は天候のように荒だたしいのかもしれない.

戦死した夫との約束で本屋を営もうと尽力奮闘する未亡人に、
エミリー・モーティマーは適役かもしれない.

彼女の陰の支援者ブランディッシュに名優ビル・ナイ、近頃のイーストウッド
を連想させる老け方だ、途中志半ばで逝ってしまう残念な役柄.

敵役のガマート夫人にパトリシア・クラークソン、美しいのだけど、陰湿
極まりない魔性の女を演ずる.シルクを中心にしたドレスの美しさも
金満とおごりの象徴に見える.

比して対照的に、コットンの肌触りを感じさせるようなフローレンスの服装や
お手伝いの少女クリスティーンが身に纏う素朴な風合いの日常着、ゴブラン織り
のケープ、雨の多い気候に合わせたコートやブーツ姿は、また素晴らしい素朴な
生活における衣装センスを魅せてくれる.

それに、手編みのポットカバー、本を包む紙や紙紐といった日用品や、
雑貨好きにはたまらないアイテムも満載だし、“オールド・ハウス”と称する
書店を営む古家の内部も何とも言えない良い雰囲気を醸し出している.
これは美術担当が手を抜いていない証拠.

さて、レイ・ブラッドベリの著作「華氏451」で老ブランディッシュの心を
わしづかみにしたフローレンスは衝撃作「ロリータ」の販売で順調な売り上げ
を重ねていったが、次から次のガマート夫人の画策で徐々に追い込まれていく.

大事な盟友少女クリスティーンに去られ、相次ぐ知人の裏切りに合い、
唯一の支援者:ブランディッシュの急死で万事休すになり、
さてこれからどんな逆転劇が来るのだろうと期待していたら…、甘かった.
ブッカー賞をとるよな英国小説だものね、そんな結末ではなかった.

ラストの関係者がガラス越しにフローレンスの退却を見つめる表情がすさまじい.
ある者は憎悪をたぎらせ、ある者は冷淡に、ある者はただ傍観するように….
それぞれがフローレンスの敗北に力を寄した人々の眼だ.

古い因習に縛られた島国根性.排他的で、回顧的で、個の自由を認めない風習.
今EU離脱を目指して大紛争している英国の姿そのものに見えた.
追いやられたフローレンスの後姿は英国のメイ首相にダブって見えた.
そんな英国だからこそこんな原作が生まれるのだね.

映画を彩る哀愁漂うロンドンの歌姫、アラ・ニのジャジーな歌声も、
作品の世界観をうまく表す.余韻を残す音楽だ.

サッド・エンドなのだけど、お手伝い少女:クリスティーンが数十年後に本屋を
営んでいるのが、唯一の安堵なシーン.





閉じる コメント(14)

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本好きというか本屋好きには堪らない、そしてノスタルジックな雰囲気のインテリア・車・ファッションも細部までこだわりがありましたね。
いつも良い役のパトリシアが珍しく嫌な女を演じていましたがそれも上手いし、大好きなビル・ナイも渋い役どころで満足でした。オマケのようなラストで少しホッとできました
TBさせてくださいね。

2019/3/15(金) 午前 6:26 アンダンテ

> アンダンテさん
パトリシア・クラークソン、綺麗でしたねぇ.それにかなり悪かった(笑).ビル・ナイも孤独な読書好きの良い役柄でした.
トラバとナイスありがとうございます.

2019/3/15(金) 午前 8:16 チャコティ副長

英国らしくてシニカルで良いですね(^^♪
こういう映画好きです。観たいな〜。でも来ないでしょうね(泣!)
エミリー・モーティマの飛びぬけた美女でないきれいさも
パトリシア・クラークソンの上手さも好きです♪

2019/3/15(金) 午前 10:38 風森湛

こちらは明日から公開です。
観たいです‼️

2019/3/15(金) 午前 10:39 こに

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いや〜恐いですね

2019/3/15(金) 午後 1:34 きみちゃん

> 風森湛さん
シニカル過ぎて、やんなっちゃうんですよ。
正義の欠片もないんです…(泣)。
それも、英国なんでしょうね。
ナイスありがとうございます。

2019/3/15(金) 午後 3:04 チャコティ副長

> こにさん
是非っ!
感想楽しみにしてますね。
ナイスありがとうございます。

2019/3/15(金) 午後 3:04 チャコティ副長

> きみちゃんさん
ああいう追い詰められ方したら、何も太刀打ち出来ませんね。悲しい結末でした…。
ナイスありがとうございます。

2019/3/15(金) 午後 3:06 チャコティ副長

大阪では情報が見えない・・・・調べてみます。
>古い因習に縛られた島国根性.排他的で、回顧的で、個の自由を認めない風習.
ムムム・・・日本のことかと思いました。

2019/3/15(金) 午後 7:44 じゃむとまるこ

> じゃむとまるこさん
そう、英国と日本はその島国根性という意味では極めて類似性が見られます。でも首長の出来がまるで違うのです。この辺りは土曜の記事に打ち込みました。
ナイスありがとうございます。

2019/3/15(金) 午後 7:57 チャコティ副長

観てきました♪
期待通りの内容で嬉しかったです。
トラバお願いします♪

2019/3/19(火) 午前 8:29 こに

> こにさん
サッド・エンドなのですけど、本好きを美味くとらえた作品でしたね.
トラバありがとうございます.

2019/3/19(火) 午後 8:33 チャコティ副長

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安易なハッピーエンドでないところが、この作品の秀逸さなんでしょう。
逆に安易さがないから、印象強くなるんだと思います。
TBお願い致します。

2019/4/24(水) 午前 8:37 atts1964

> atts1964さん
本当に印象深いラストでしたね。
佳作と思います。
トラバありがとうございます。

2019/4/24(水) 午後 0:20 チャコティ副長

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