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8月14日付日経新聞によると、エコカー減税導入を受け、今年5月に開かれた自動車業界首脳との「政策懇談会」で、自民党の古賀前選対委員長は「従来通りはダメ。全300の小選挙区で子会社や取引先の名簿がほしい」と迫ったという。「自動車業界のための政策を行ってやったのだから、選挙に協力しろよ」ということだろう。業界に有利な政策を行い選挙に協力させる、まさに、典型的な旧来型の自民党の選挙手法だ。
また、麻生首相も、7月24日、「政権交代は景気後退だ。支持を頼む」と、日本土木工業協会会長の鹿島社長の中村氏に訴えた。これも上述の古賀氏と同様の行動だ。中村氏は「できる限り自民党を支援します」と応じ、急きょ選挙運動を始めた。
他方、沖縄建設業協会は7月13日、従来の自民党支持ではなく、自主投票にすると決議した。中央は自民党支持の意向であっても、地方はそれに従う状況ではもはやなくなっている。また、実現してほしい政策を抱える企業も、従来のように自民党べったりではなく、民主党にも政策説明を行っている。
議員個人の後援会が主体となり、党が各業界に会員企業の締め付けや金の無心を行う。ざっくり言えば、それが典型的なこれまでの自民党型選挙の手法だった。解散後、麻生主首相が各種団体回ったのも、上記の古賀、麻生両氏の行動もそうした手法の一環だ。政財癒着の構図である。
しかし小選挙区制の下では、特に1区では、浮動票が多数を占めるため、仮に支持団体が期待どおりに動いてくれても、選挙結果は、それをはるかに凌駕する浮動票に負うところが大きくなる。また、今回のように政権党に激しい逆風が吹いている状態では、与党が頼りにする支持団体も、選挙後のことを考えれば無条件に与党の応援一本槍とはいかない。
つまり旧来型の選挙手法はもう通用しない時代になりつつある。もちろん、規模の大きい支持団体があれば、基礎票としては大きな意義がある。公明党における創価学会を考えれば分かりやすい。しかし、どの小選挙区でもそうした基礎票のみでは勝利できないし、政党に吹く風が小選挙区にも大きく反映される。
こうした状況により、自民党と業界の政財癒着の構造による政策決定、および選挙は崩壊しつつあると考えられる。「民主党が政権につけば、今度は民主党が業界と癒着するのではないか」と考える向きもあるだろう。その可能性はゼロではない。一部の議員が族議員化する可能性もある。ただ、民主党は3年後の「企業・団体献金の禁止」を公約しているし、彼らに少しの学習能力があれば、制度疲労を起こし崩壊しつつある自民党の二の舞にはならないだろう。
また、民主党は、政権交代後の目玉として霞が関改革を挙げているので、仮にそれが順調に進めば、これまで日本の政治を歪めてきた、政官財のトライアングルを断ち切ることも可能となるだろう。
低成長・少子高齢化時代を迎え、日本の政治は、これまでのように企業の方を向いて政策を立案し、彼らに利益を与え、その代わり与党が企業に選挙協力を求める、といった形では進められなくなった。そうではなくて、少子化対策、子育て支援、貧困対策などの社会保障を重視し、税金の無駄遣いを徹底的に排除し、行政・政治改革を進めることにより、コストパフォーマンスの高い政策を実現する政治を目指さなければならない。
政治は机上で論じているように理想的に進んでいくとは限らない。しかし、今の日本には、これまでのような停滞を続けている余裕はもうない。新しい方向を目指して歩み始めなければならない。かと言って、古いものがすべて悪いものだとも限らない。各種改革を進めつつ、一方では温故知新の精神も持ち、国民の生命・財産をしっかり守り、国民に幸せを与える政治を期待している。そうした意味で、貴重な1票は必ず行使するよう努めよう。今行動を起こさなければ、一生後悔するかもしれない。そう言っても言い過ぎではないと私は信じている。
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政党政治の歴史でイギリスの初期のころの政党政治は、あくまでも個人のお金持ちや有力者が個人的に集めたもので、それは「お友達クラブ」的政党政治でしたが、それが組合や組織になっていっていくと政党が個人の思想を支配する形となったと言われていますが、今の時代はそうした意味で政党政治の新しい形ができつつあるのかも知れませんね。つまり不特定多数の思想や利害が一致する個人が集積した形の政党政治、
これはある意味、政党政治の理想的形とも言えるのではないでしょうか。自民党のように第2期政党政治が拡大した形、つまり政党が利害団体と接触している第1次世界大戦前の政党政治からの進化とも思えますが、どうでしょうか。
2009/8/15(土) 午後 8:00
オールドパッションさん、こんばんは。
まさにご指摘のとおり、今の日本は政党政治の理想形への過渡期にあると思います。自民党は利益団体とズブズブの関係で身動きが取れない状態にあり、現代的政党として生まれ変わるための相当の努力をしない限り、消え去っていく運命にあると思います。
ただ、方や民主党も、連合等との関係がありますので、少なくとも現在は、純粋に思想で一致した個人による政党ではないと思います。
ただ、今後民主党、あるいはその他の野党が理想的な政党政治を形成していけるかどうかは、結局我々国民次第だと思います。民主党中心の連合政権が少しでも自民党的発想に立った行動をしようとした場合、我々国民が厳しくそれを指弾する。そのようなプロセスが確立できれば、日本の政治も、決して悲観すべき状況ばかりではないと思います。
2009/8/16(日) 午前 2:21
政治は一部の者の為の物ではありません。全ての国民の為の政治でなければ成りません。一部の企業や団体との結びつきに組みする政治は、一部にのみ光を当てる政治であり、光の当たらない人々の不満を産みます。難しい事だと思いますが限りなく最大多数を対象にした政治をしなければ成りません。
2009/8/16(日) 午前 11:21
かつては経団連や商工会に指示すれば、企業を通じて多くの人を動員できました。
でも今の非正規、失業、ニート時代、そもそも企業経由で動員できる人の絶対数が大きく減っています。
いくら業界団体に働きかけても工場の職員さんは派遣社員、休日に旗振って応援してくれるとは思えません。
自民党は、経団連の要望に応えているうちに自らの選挙基盤を破壊してしまったようです。
まだそれに気付かず既に失った仕組みにすがる姿は痛々しい。
ひとつのシステムの終焉の姿だろうと思います。
民主党になればどうこうというよりも、こんな仕組みはもはや続けられないもの、だから変化が必要なのでしょう、自民党はその必要すら認識しようとしていません。
2009/8/17(月) 午後 2:48
さんりゅうさん、こんばんは。
ご指摘のとおり、政治は「最大多数の最大幸福」を目的に行われなければなりません。そのためには、様々な利害調整が必要ですよね。
子供手当てを充実すれば、相対的に子供のいない家庭は不利益を被りますし、高速道路を無料にすれば、高速を使わない人は実質増税と変わらない状況になる。
いずれにせよ、万人が納得する政策など存在しませんから、収入が最低レベルの人でもきちんと暮らしていけ、病気になれば誰でも治療が受けられる。そのくらいは保証される国家であってほしいですね。
2009/8/18(火) 午後 9:20
こんばんは、Yadaさん。
確かに経団連、企業団体などをフル動員しての選挙というのは、現代の選挙の姿ではなくなりつつありますね。同じように、組合頼みの選挙というのも衰えているのでしょうね。
今後も、その影響力の大小は別として、各種団体が選挙に絡み、各党がそれを基礎票と考えるシステムはしばらく残ると思います。選挙先進国のアメリカでも、各種利益団体は大きな力を持っていますからね。ただその影響力が相対的に低下すれば、そんな組織に関係ない国民の意思が大きな力を持つようになるでしょう。当面は、そういう方向性に進んでいくのかもしれませんね。
2009/8/18(火) 午後 9:22