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8月6日の64回目の広島の原爆忌に臨み、秋葉広島市長は平和宣言の中で、「今年4月には米国のオバマ大統領がプラハで、『核兵器を使った唯一の国として』、『核兵器のない世界』実現のために努力する『道義的責任』があることを明言しました。核兵器の廃絶は、被爆者のみならず世界の大多数の市民並びに国々の声であり、その声にオバマ大統領が耳を傾けたことは、「廃絶されることにしか意味のない核兵器」の位置付けを確固たるものにしました」と述べた(YOMIURI ONLINE)。 また、宣言の最後には、「We have the power. We have the responsibility. And we are the Obamajority. Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can」と英語で世界に呼び掛けた(同)。 アメリカのオバマ大統領は、4月5日、チェコのプラハで行った演説で、秋葉市長が指摘したように、「核のない、平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」とし、その具体的な道筋として、(1)核軍縮(2)核不拡散体制の強化(3)核テロ防止を柱として挙げた(asahi.com)。 手始めとしてオバマ大統領は、7月7日のロシアのメドベージェフ大統領との会談で、「12月5日に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約について、両国の戦略核弾頭の上限を1500〜1675個とすることで合意した」。これは、両国がモスクワ条約(02年)で定めた戦略核弾頭の上限1700〜2200個を下回るものであり、両国の核削減を前進させたといえる。 とは言え、核廃絶への道のりはあまりにも長い。インド、パキスタン、イラン、北朝鮮のような、NPT(核拡散防止条約)非加盟国やルール違反国へどう対応していくのか。また、中国、イギリス、フランスなどの核軍縮はどうするのか、といった問題もある。それでも、オバマ大統領が「核のない世界の追求」を明言し、それに取り組むために努力を続けることは、核廃絶の機運を高めるためには非常に重要なことだ。今後の更なる尽力を期待したい。 オバマ大統領自身、核廃絶については「自分が生きている間には無理だろう」と語っているらしいが、核についても、そしてもっと言えば戦争についても、人類が地球に生存した状態でなくなるのか、と考え溜息をついてしまう。結局、戦争がない世の中になれば、必然的に核兵器も必要なくなるであろうことは確かなのだが。 戦争のことを考えて、ふとアメリカ留学中にインターンで新聞記者をしていた時、ある教授を取材した時のことを思い出した。彼は大学で「戦争と平和の哲学」という科目を教えていて、第二次世界大戦に従軍していた。彼は戦争について、「少なくとも3つの考え方がある。ひとつは政治的現実、そして平和主義、最後に両者の中間」と説明した。 「政治的現実主義者は戦争を国益のためと割り切って受け入れ、モラルを考えることはない。平和主義者は全ての戦争を悪とみなす。そして中間層は、戦争には正しい戦争と誤った戦争があると考える」と続けた。 彼自身の経験について、「第二次大戦中に海軍にいた時は、その戦争が間違っているなんて全く思っていなかった。みんなが愛国的だったからね。ただ、ベトナム戦争の最中、我々は時には間違いも犯すし、誤ったこともすると分かったんだ」と語ってくれた。 そして彼自身の戦争観について、「私には全ての戦争が正しいとも、あるいは誤っているとも言えない。正直一概には言えないと思うんだ。ただ、少なくともベトナム以降アメリカが起こした戦争は、ほとんどが間違ったものだったのではないかと思う」と正直に述べてくれた。 私も彼同様、全ての戦争が悪だとは言い切れない。例えば、自国が侵略されたとき、その敵と戦うのは主権国家であれば止むを得ない選択であると思うからだ。 ただ核は違う。核兵器を持つことは絶対的な悪だと考える。「核抑止」という考え方があるが、それは核を持つ2国間で成立するだけで、それ以外の戦争の抑止力にはなり得ない。また、「核の傘」についても、実際、例えば日本が核攻撃にさらされた時、アメリカが自国兵を犠牲にしてまで核による報復を行ってくれるかどうかは、起こってみなければ分からない。 核も戦争もなくなることが理想ではあるが、それが10年や20年で達成されるものではないことは誰もが考えるところだろう。ただ、たとえ難しいことではあっても、それらを無くすために地道な努力を続けていくしかない。少しずつでも前進していくことによりいつか変化が生まれ、現在よりは良い状況が訪れ、徐々に理想に近づいていけるのだろう。あきらめなければ必ず世界も日本も変わる。あきらめたら全て終わりなのだ。そんなことを考えながら、8月6日を過ごした。
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国際
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上写真:父が枯葉剤を浴びた17歳の少女(JAN JAN) |
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6月13日の大統領選挙結果発表以降、イランでは改革派が治安部隊等と衝突し、選挙に不正があったかどうかを含めて今に至るまで国際ニュースで大きく報道されている。 |
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