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1982年3月21日にビクターレコードより「私の16才」でデビューしたキョンキョンこと小泉今日子さん。彼女もこのブログの草創期に一度レビューしたことがあったので、今回で2回目の登場となる。

表題の「素敵なラブリーボーイ」はシングル第2弾として同年の7月5日に発売されたのだが、当時、この曲のタイトルを見て「あらっ?」っと思った方はおそらく自分と同年代か、それ以上の方だったのではないだろうか?なぜならこの曲は(←今さら書くまでもないが、念のため…)70年代アイドル、林寛子さんが歌ってスマッシュヒット(オリコン最高31位、9.1万枚)し、割と一般に知れ渡っていた楽曲だったからだ。林さんと言えば、かつては「がんばれ!レッドビッキーズ」の女監督役で人気を博し、そして近年では大場久美子さん等と共に‘女盛りケサデレタ’を結成したことも記憶に新しい。ちょっと耳にした噂によればキョンキョンがこの曲をカバーするにあたって「挨拶が無かったわっ!」とご憤慨されていたとか、いないとか…。真意のほどは定かではないが…。

さて、話をキョンキョンに戻そう。

この曲は作詞を千家和也氏、作曲を穂口雄右氏という、おもに70年代にご活躍されたお二方によるペン。(←当たり前か、だって70年代の歌謡曲のカバーなんだし...)70年代独特のイノセントで乾いた感じのサウンドに、これまたちょっと懐かしさが漂う横文字が並ぶ…。

♪ミスタースイート ラブリーボーイ

こんな言い回しは最近の英語圏ではあんまり使われてないな…。いわゆる死語ってヤツなのかもしれない。(笑)ただこのいかにも70年代〜な言葉並びが歌謡曲マニアの心をくすぐるってのもありか...。これを80年代にやらされたキョンキョン、ちょっと気恥ずかしい〜ってのもあったのかもしれない。(笑)ただ、ここら辺りの雰囲気はおそらく、アメリカの50年代末期〜60年代初頭にかけてのいわゆる、オールディーズ...バブルガムでシュガシュガな甘いサウンド、ソーダホップとかジュークボックスとか、ポップなワードがビシバシ飛び出す、あの世界観を妙に感じてしまうところ。そういった世界観の液体の中に日本の歌謡曲エッセンスを一粒、二粒たらしちゃったのよん…みたいな、そんな印象のする楽曲なのである。日本の70年代はまさにアメリカのその時代と相通ずるものがあったのだろう、おそらく...。

これを歌ったキョンキョン。デビュー時よりもちょっと短めになった聖子カットもバッチリきまって、しかもいかにもアイドル〜な感じの水玉模様&リボン付きのミニスカート...。今じゃ土下座してお願いしたって絶対にこんなの着てくれないだろうなぁ。(笑)

この曲はオリコン最高19位、12.4万枚を売り上げ、前作でデビュー曲だった「私の16才」のそれを売上、順位共に上回ること成功した。しかし、キョンキョンはこのようにデビュー曲から2曲連続のカバーを宛がわれた。しかも2曲とも70年代アイドルサウンドだった。これに関して一部では「2曲ともカバーとは…また随分と手を抜かれたものだな」と囁かれていたりもした。ただ自分が記憶してる限りでは、ビクターはこの時点で松本伊代というニューフェイス&ドル箱アイドルの輩出に成功し、すでに大きな弾みがついていた。そしてその弾みを更に大きなものに…ということで82年の春の目玉として、このキョンキョンと同じスタ誕出身、中野美紀さんの二人を強力プッシュしていく方針で決まっていたようにも思う。キョンキョンは‘微笑少女(びしょうじょ)’というキャッチフレーズと少女マンガのキャラ風トレードマークを宛がって大プッシュ、一方の中野さんは衝撃的なデビュー曲「未経験」とそれのTV告知スポットが大々的に打たれていた…という具合だ。

「じゃあ、何でわざわざカバーなの?」と思った方もいるかもしれない。あくまでも自分の予想になるけれど、これはおそらくあえての作戦だったようにも思えてくる。なぜなら前年の81年からこの頃にかけて、アイドル界にはちょっとしたカバーブームが押し寄せていたのである。すべて70年代の歌謡曲、若しくはアイドルポップスからの焼き直しだったが、キョンキョンの2曲連続カバーはおそらく、石川ひとみさんの「まちぶせ」や岩崎宏美さんの「すみれ色の涙」などのヒットを見据えての知能犯といったところだろうか…。

●「まちぶせ」石川ひとみ|「三枚の写真」石川ひとみ
●「すみれ色の涙」岩崎宏美
●「色づく街」三田寛子
●「芽ばえ」水谷絵津子
●「わたしの彼は左きき」新井薫子

※以下、POPSCONEさんよりご教示の追加分
●「ハロー・グッバイ」柏原よしえ
●「あの場所から」柏原よしえ

三田寛子さんから後はすべてキョンキョンより以降の後発組。要は「素敵なラブリーボーイ」の小ヒットに触発されての後追い便乗組ということになる。カバーは概してオリジナルに勝てないと言われるのが常だが、石川ひとみさんの「まちぶせ」のように元歌をお〜きく凌ぐヒットになる場合もあるし、このキョンキョンが歌ったのだってなかなかどうして、結構良い仕上がりになっているのだ。それでもやっぱりオリジナルに限る!と思われている方もいるかもしれないが…。

この後、キョンキョンはレコ大新人賞落選&タマゴぶつけられ事件で痛恨の1曲になった「ひとり街角」、そして「春風の誘惑」とデビュー曲の「私の16才」似のちょいと古臭い歌謡曲を歌わされながら、ブレイクする機会を虎視眈々と狙い、そしてついには‘あの曲’で最初の噴火を巻き起こすことになったのである。‘あの曲’についてはまたいつかここでレビューできればなぁ…と思いながら今回はペンを置こうと思う。


☆作品データ
作詞:千家和也 作曲:穂口雄右(1982年度作品・ビクターレコード)
注)林寛子さん歌唱、オリジナル発売は1975年度(キャニオンレコード)

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