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70&80年代アイドルが放ったナツウタで、サビあたりでメジャー調にパァ〜っと転調する歌と言えば… 「ガラスの夏」 柏原よしえ 「青い水平線」 和泉友子 「燃える渚」 小川みき 「赤道直下型の誘惑」 渡辺桂子 「恋と涙の17才」 つちやかおり 「明日草」 清水由貴子 「Love Light」 早見優 「誘われて南南西」 渡辺めぐみ(←青好き様、サンクス!) などなど…度合いはそれぞれ違うけれども色々存在するもの。このように実際の楽曲を挙げてみると、こうした手法は意外にもナツウタに数多く取り入れられていたことが判明したりもして。今回レビュろうと思っているこの曲もそれらのお仲間さんということになり、サビの部分で夏空みたいに明るいメジャー調へと転調するのが特徴の1曲である。
歌いだしはバラード?とおぼしき…実にゆったりとしたペース。イントロのキラキラしたシンセ音がにぎやかなイメージの夏における…実はその側面だったりもする‘蒼い夏’を想像させる。 こんな歌いだしで始まるこの曲は、1981年6月21日に矢野良子さんのシングル第2弾として発売された「はらはらサマータイム」である。 作詞を担当したのは阿久悠氏、作曲は中村泰士氏の「スタ誕」審査員コンビである。矢野良子さんと言えば、同年の3月21日に同じコンビによる「ちょっと好奇心」でアイドルデビューをカマされた方。このブログでも彼女のデビュー曲はすでにレビュっていたりもする。なにを隠そう、同じく「スタ誕」出身の男性アイドルだった水谷大輔さんがこのブログを見つけて直コメを下さったのも、矢野良子さんのその記事がキッカケだったのでゴザイマス。 そんな良子さんはデビュー曲もそこそこ売れて、なかなか好調な滑り出し。そのデビューからちょうど3ヶ月後を経た6月21日にシングル第2弾の発売と…かなり計画的に進んだリリースといった印象である。1981年にデビューした女性新人歌手は軒並み苦戦を強いられていたことは、以前にもこのブログで何度か記事にしたことがあったが、そんな状況下でも本レビューの主役である矢野良子さんは、下馬評においても女性新人アイドルの中では頭1つリードといった…そんな好調気流に乗っていた頃合いだったのである。 そこで‘夏の陣’にむけてその好調を更に決定打にすべく野望と共に発売してきたのがこの楽曲だった…ということになる。 アレンジを担当したのは後藤次利氏。彼がお得意とされていたベースが唸りを効かせる重低音サウンドにのって… ♪多分 あの日の私 少しばかり渇いていた 空があまりに青く 海の色も まぶしすぎたわ 良子さんはこのように唄い出す。イントロといい、この出だしといい…スリリングさあふれる展開にはガクガクブルブルである。デビュー曲「ちょっと好奇心」ではアイドル風味であふれんばかりのさわやかポップスを歌い上げていた良子さん。しかしこの第2弾はそれに反したややオトナっぽい風味がウリ。要はタイトルどおりの「はらはら感」がしこたまなのである。しかも歌詞だって…結構意味深でゴザイマシタよね^^;。 ところでこの「渇く」という漢字…「乾く」との使い分けに関しては、コレを読んでる皆さんにとってはNo Worriesなんだろうか。ダメ〜って方もいるかもしれないので‘ちょっと’ばかりのお勉強‘タイム’をここで。
この違いである。要はこの曲で唄われている「渇き」とは…おそらくは愛情の渇きなのか、彼女の心の渇きなのか、はたまた唇(○半身のを含めた?)の渇きなのか、なんだかよく分らないけれど…とにかくこの主人公様をブルーにさせているという、いわば‘招かれざる渇き’ということで間違いはなさげなのである。 ♪ROLLIN’ ROLLIN’体までなんだか頼りなくて 煙草みたいなラジオから 歌を聴いてた 作曲をされた中村泰士センセイと言えば、細川たかしさんの大ヒット曲でもある「北酒場」などで名を馳せた方でもあるのだが、この頃はまだアイドルポップスもフツーに書かれていたようである。時に演歌よりの作家がポップスを書くと、なにやら演歌臭さがメロに滲み出てきてしまったりすることもあるのだが、この楽曲に関しては心配ご無用!中村センセイが80年代に残された数少ないアイドルポップスの傑作…と言えそうな作品だったりで。実際にこの筆者も当時…このレコード盤を何度ターンテーブルにのっけたことか。(笑) 作品的な側面から見てもせわしなく動きまくる音符運びなど、唄うにはかなりの難曲となっていたりもするのだが、そこは「スタ誕」出身の安心印!良子さんはこの難解な部分もサラリと歌いのけてしまっているところがスバラシイのでありまする。特に♪歌を聴いてた〜からのお声の伸び加減は実に爽快でキモチがよい。ここら辺りの伸びっこ対決は「おこりんぼの人魚」仁藤優子さんといいとこ勝負?といったところか、おそらくは。そう言えば良子さんが出場した81年度のとある新人賞で「はらはらサマータイム」を大トリとして唄った時も…
と物怖じしない新人らしからぬ感想を言い放ち、司会の桂三枝師匠と片平なぎささんの舌を巻かせてましたもの。(笑) ♪そしてはらはら またサマータイム ちょっと夢見た夏 お〜っ!ついにキましたわ!!レビュー冒頭で挙げた楽曲群とこのチューンがお仲間さんになるという確たる証拠が!!!メジャーコードにて展開する部分は決して長くはないものの、確実に明るくて夏らしいメロがこのサビ部分で炸裂するのである。あたかもそれまで空いちめんを覆っていた暗雲がサ〜っと引いてゆき、色鮮やかな夏空が顔を出した…そんなイメージなのである。 ♪そしてはらはら またサマータイム 今は渇いてない でもって、またもやここで更なる転調をカマし、元のマイナー調へと戻ってゆくの。 それにしても阿久センセイの書かれたこの歌詞…今のJ-POP界における楽曲では殆ど見られないであろう、間接表現モードがマックス状態になりその目盛りをふりきらんばかりの仕上がりっぷりにはビックリコンコンである。それこそ1番の歌詞を見ただけでは一体ナニを訴えようとしているのか、頭の中が?であふれかえってしまいそうな…それくらいのインダイレクト加減なのである。でもこのインダイレクトってのがまさにあの頃ポップス歌詞における特徴の1つでもありましたものね。聴き手の想像力をムクムクっと膨らませ、楽曲を奥深いモノにさせる…コレが職業作詞家のセンセイ方による‘マジック’だったのでありまする。 この後、2番終了後に続く間奏も乙!爽快なる夏空をひしひしと感じさせますわん。この曲、スキっ!(笑) この楽曲はオリコン最高180位を記録して3週間ほど200位以内にランクインを果たした。大きなヒットには至らなかったものの、シングル第2弾を200位以内にチャートインさせることが出来なかった81年組がほとんどだったことを考えると、コレはかなりの健闘モードだった…ということになる。なんせ賞レースに出ていた81年組でセカンドを200位イン達成させたのは矢野良子さんと河合夕子さんくらいのものだったしね。デビュー時はうんと期待された女性陣、たとえば沢田富美子さん、ヘレン笹野さん、杉田愛子さん、和泉友子さん、速水陽子さん、若杉ひと美さん、林紀恵さん、石毛礼子さん、中島めぐみさんなどなど…みなさんセカンドでは揃って撃沈だったのでゴザイマス。 ♪そしてはらはら またサマータイム ちょっと夢見た夏 デビュー曲が100位を目前にして寸止まったから、今度こそは!とばかりに…この爽快なナウウタで勝負してきたのにぃ。それこそ良子さんにとっては100位入りを‘ちょっと夢見て’ネ。だけれども…哀しくも撃沈してしまった夏だったようでありまする。 ☆作品データ
作詞:阿久悠 作曲:中村泰士(1981年度作品・RVC) |

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