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浅沼友紀子さんと言えば…と問いかけてみても、このお名前でピンと来る方ってのはあまり多くはないのではないかしらん?それでは…
ではどう?こちらのお名前でならば「知っとる!」とお手々を挙げる方もチラホラと出てくるのではないかと思われ。蛯名由紀子ちゃんは子役として名を馳せた少女であり、その代表作が…
だったもの。卯年の今年まで指折り数えて待ってたの、アンタ?といった執念深さに我ながらビックリコンコンしたりもするが、今回のコジつけは何を隠そうココからであることは言うまでもない。(笑) なにはともあれ…この作品と言えば、高木敏子氏による戦争体験を綴ったノンフィクションを1979年に映画化したものとして知られている。正式タイトルは「東京大空襲 ガラスのうさぎ」であり、このレビューを読んでいる方の中にも「観たことがある!」なんて人がかなり多いのではないかと思われ。なぜなら高木氏による小説は当時の小中学校の課題図書として指定され、この作品が授業の一環としても扱われたことが多かったからである。その後もテレビドラマ版(高部知子主演)とかアニメ映画としてもお披露目された経歴があるので、この作品やストーリー自体はかなり知れ渡ったモノ…ということになるか。 ワタクシメなどはこの作品を学校の体育館にて‘体育の姿勢’で鑑賞させられ、その壮絶で哀しいストーリーに目をウルウルと潤ませたものである。泣いて冷やかされるのがイヤな年代だったこともあり、ナミダがこぼれそうになるのを必死にこらえた〜なんて記憶もあったりで^^。おそらくワタクシメと同年代くらいの方ならば、きっと似たようなご体験がおありなのかと思われ。 でもって今回のレビューはこの映画に子役として主演し一躍脚光を浴びた蛯名由紀子ちゃんを…と思うのだが、となるとレビュー冒頭の浅沼友紀子さんとの関連性は?ってな疑問にブチあたる。といってもこのレビューを読まれている皆様は懐アイドルに関しちゃかなりの博識…でも万が一を考慮してとりあえずカマしておくことにする。 浅沼友紀子とは子役だった蝦名姓の由紀子ちゃんが成長してティーンになった1983年…遂に歌手デビューすることになったのだが、その際の芸名が‘浅沼友紀子’だった…というワケである。ただ、なぜに‘蝦名由紀子’として知れ渡っていたお名前をわざわざ‘浅沼姓’に鞍替えする必要があったのか…たしか浅沼姓に変更してからも出演ドラマのテロップなどでは( )書きの追加で‘蝦名’なんて補足っていたもの。視聴者的にコレは困惑キワマリなく…なんだか余計なことをカマしてしまった?といった印象も正直なところあったか。 そんな不必要な根回しをヤラかしてしまった彼女のデビュー曲は、作詞を阿木燿子氏が、作曲を芹澤廣明氏が手がけたもの。阿木センセイに関してはつい最近のレビュー(郷ひろみさんの「禁猟区」)で語ったばかりなので省かせていただくことにする。でもって作曲の芹澤氏と言えば、作詞家の売野雅勇氏とコンビで80年代を中心にブイブイ言わせた作曲家として知られ、中森明菜さんの「少女A」とソレに続いた青い姓モノ楽曲の殆どを一挙に手がけていた…という方である。特に「少女A」で想定以上のブチかましをやってのけた売野氏とのコンビは相性がバッチリコンコンだったもの。そんな彼が阿木燿子という、作詞家としての金字塔をすでに築いていた彼女と組んだのがこの作品である。芹澤氏のご活躍が目覚ましかった80年代初頭の楽曲群で調べてみても、このコンビものってのはこれ以外に見当たらなかったりもする。となると阿木&芹澤コンビ自体がかなりレアなご合体?だった…ということになる。
それではそのレアなるドッキングが一体どんなチューンをお作りになったのか…いつものようにチラ見してみることにする。 ♪まわれまわれ 憧れ オクターブハイの空へ 追いかけて じらされて つかみきれない あなたは風 マイナーコードの短めイントロに引き続きカマされるは頭サビ。当時をトキめいていた両作家陣の作品でもあるので、アイポとしての‘王道狙い’は完璧に押さえられているようである。歌詞の雰囲気から考えるに、ひとりの少女が憧れをつのらせる‘あなた’との格差。その縮めようのない距離感にモンモンとするお歌のようである。その格差や距離を「あなたは遠い」とか、陳腐な言葉で書き記すのではなく…
という、神秘なお言葉からの引用で伝えようとした阿木センセイ…サスガでゴザイマスよね。オクターブなんてのはよく音楽用語として「1オクターブ上で歌うんだよ、きみぃ〜」などと、作曲家の大センセイから叱咤される際などによく耳にするソレだったりもする…ってかそんな経験は一切合財ゴザイマセンけれども。オクターブという言葉自体には…
こんな意味がある。さしずめ基本の「ド」の鍵盤から1,2,3と数えていくと、8番目にくる鍵盤は高い方の「ド」の音となる。これが1オクターブと呼ばれている音階の幅である。ということはこのお歌の主人公様と、その彼女が憧れつのらせる‘彼’との立ち位置が少なくともこれくらいはある!ということを表すために使用したのか。ただ、なぜに阿木センセイが‘オクターブハイ’と変形エビ固め的な技をくりだしてきたのか…うん、おそらくは「2オクターブまではいかないけど、ソレに近いくらいに‘彼’ったら遠いの。お空のずっとずっと上の方だから見上げなければならないの…ジレジレ」ってな焦燥感でも描きたかったのだろうか。ナゾめいてナマめく歌詞を得意技とされていた阿木センセイのことだから、今回もまたナゾめきまくっちゃうのネ。(笑) ♪返事がほしいなんて思いません 遠くで見てるだけでしあわせなの ♪あなたには特別ね 夏の光 太陽も片想い オーラは虹の色 太陽が片想いするほどのオトコなぞがこの世に存在するのかどうかはナゾだけれども、とにもかくにも今の彼女にとっては‘世界一のいいオトコ’にしか見えないらしい。恋は盲目「あなたしか見えない」とは言うけれど、太陽サンもこんなトコロにまで引っぱり出されてさぞお忙しや…といったトコロかしらん。(笑) ♪まわれまわれ 憧れ オクターブハイの空へ 誘われて さらわれて 飛んでいきたい ここまで解読してみて思ったこと…阿木センセイの作品にしちゃ割とおとなしめなお作り?でも‘ナゾめいてナマめく’のがお得意な方だったでしょ〜こんなんでエンドるハズがないのね。(笑) ♪気まぐれなくちづけは罪だけれど もてすぎる人だから仕方ないわ ♪噂はらせん状の階段なの 伝説は作られる そのためにあるの ほらね、キタキタ。(笑)1番の歌詞では「遠くで見てるだけでしあわせなの」などと謙虚ヅラしてた少女。しかしながらここにきてそのナマめき加減を暴発させるんだから。「仕方ないわ」なんて言っときながらも内心はメラメラと燃えさかる。「噂なんてアテになるもんか」と己に言い聞かせておきながらも「見てらっしゃい!伝説はアタシが必ず作ってみせるわ!!」と気を吐きまくる。もうこの時点で「好きと言いなさい」はもちろんのこと「愛の執念」の域にまで達し、少女からオンナへとその姿を見事に変貌させているのである。 ♪駆けて駆けてペガサス オクターブハイの空へ 最後にはペガサスまでチャーターして意地を見せつけてくるあたり…「聴き手の諸君よ!単なるラブコメポップスと思うなかれ!」と阿木センセイの雄叫びが今にも聞こえてきそう〜!やはり一筋縄ではイカないのね、センセイったら。それはそうとペガサスという小道具は1983年同期の‘あの方’第二弾でも???さしずめ‘使いまわし’かしらん、センセイ。(笑) ソレを尻目に編曲を手がけたのは元SHOGUNの大谷和夫氏。楽曲全体的に攻撃的なエレキやブラスの音色を中心に構成しており「少女A」っぽい匂いがプンプンしたりもするのだが、彼は後に「春色のエアメール」(松本典子)や「Temptation(誘惑)」(本田美奈子)の編曲を手がけたご経歴のある方。ソレラに比較するとやや物足りなさを感じさせるコチラに関しては、もうちょっとガムばってほしかったところか。 この楽曲はオリコンの100位以内にはチャートインなし…200位には入っていたと記憶するが、果たしてソレがどの位置だったのか失念中でもある。ちなみにこのチューンはフジテレビ「どっきり天馬先生」の主題歌、そして映画「プロ野球を10倍楽しく見る方法」でも主題歌という豪華(?)なダブルタイアップ付き。コレはキャニオンとフジテレビによるお家芸…といったトコロか。友紀子さんのシングルは残念ながらコレが1枚コッキリでもあるのだが、どさくさにまぎれて(?)「ラッキー・レディ」なるミニアルバムを残してくれたのが救い。女優としては一足早くにその才能を開花させていた友紀子さんではあったが、歌手活動にはまだ不慣れだったせいかその歌声は「女優が唄ってます」風。ただ、このデビュー曲における頭サビ後の語り部分などでは、その味わい深さを十二分に見せつけており、伊達に子役から女優やってません!と言わんばかりのソレ。磨きこめばグングン上手くなりそうな声質である。テレビでの歌唱も1回コッキリのみ…という泡沫加減が「哀しくて哀しくて」〜もっともっと彼女の歌声を聴いてみたかったものである。
「ガラスのうさぎ」で子役時代は将来の大器と目されたものの、ティーン時代に出演したドラマ(「愛のABCD」→内容が過激すぎて打ち切り)&(「激愛・三月までの…」→初回出演のみ&屋上から飛び降りる役で実際にも骨折)では「星めぐり」の悪さを露呈しまくり…どうしてなの、友紀子!アナタは「ラッキー・レディ」だったハズ。
オクターブハイの空へ出発シンコ〜!したはいいけれど、お馬さんが途中でまさかの失脚。アナタは芸能界で数々の伝説を作るべき人だったのに…。 ☆作品データ
作詞:阿木燿子 作曲:芹澤廣明 (1983年度作品・キャニオンレコード) |

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