|
桜舞うこの季節…巷では「卒業式」や「お別れ会」などなど、セレモニアルな催し物があちらこちらで開催されるシーズンでゴザイマスよね。ワタクシメにおける「卒業式」の思い出と言えば…やはり小学校のソレかナと。あの日は3月下旬にもかかわらず、小雪が舞い散った寒い1日。会場である体育館では卒業生を送る下級生たちの歌声、そして卒業生全体で歌うお別れの歌が響き渡り、父母の皆々様方がすすり泣くお声などなど、これぞ「ザ・昭和の卒業式」といった趣をたたえていたものでゴザイマス。 卒業と言えば、70〜80年代アイドルたちもこぞって取り上げたモチーフであったことは、このブログのご訪問者さまなら十分ご承知のことかと思われ。今回取り上げようと思っているこの方のこの曲も、実はソレをちょこっとしのばせてみましたの!なんて趣をたたえるソレだったりもして。だけれどもソレが中心モチーフではないがために、意外と見逃されていたりも? そんなワケで今回は、毎年この時期がやってくると思い出してしまうというこの方が…1985年の冬から春にかけて放ったあの1曲を取り上げてみたいと思うのでありまする。 表題の「二人だけのセレモニー」は岡田有希子さんのシングル第4弾として、1985年1月16日に発売された楽曲である。これ以前のユッコと言えば… 「ファースト・デイト」 (オリコン最高20位、14週、10.6万枚) 「リトルプリンセス」 (オリコン最高14位、9週、9.4万枚) 「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」 (オリコン最高7位、12週、12.9万枚) の計3枚をデビュー年にリリースし、順調に売り上げを伸ばしていたもの。そして年も明けたこの頃と言えば、トップアイドルの座をめざし、スターダムを着実にかけあがるべく時期…ということになる。それこそ前年度の勢いを持続させつつ、更なるジャンプアップを狙おう!という…もしかしたらデビュー曲よりも大切な一枚?だったようにも感じたりで。なんせこうしたタイミングでケ躓くと後は急坂を転がるのみ!そんな失敗をこいてしまったアイドルさんもたくさんいらっしゃいましたからん。 そんな新年明けての大切な一発目のために作家陣として迎え入れたのは、作詞が夏目純、作曲が尾崎亜美というコンビ。デビュー年は竹内まりや一辺倒で押し切ったユッコ陣営。尋常なら売り上げ増を達成できた第3弾の作家でもう1枚!ってな手法も考えられたかと思うのだが、ユッコの場合はソレを一新して挑んできたのである。大冒険…というほどのものではなかったけれど、1年目に築いたユッコの「ステキの国からやってきたリトル・プリンセス」なるイメージをちょっとだけ背伸びさせる戦略に出てきたかな?といったものを感じさせたもの。 夏目&尾崎のコンビにより紡がれたアイポ…実は85年から86年にかけて何曲か存在する。 「PIRA★星物語」若林加奈(1985年3月1日) 「素敵な休日」堀ちえみ(1986年10月21日) 「内緒で浪漫映画(ラブストーリー)」新田恵利(1986年11月14日) これらの他にもアルバム曲で岡本舞子さんの作品に同コンビによるクレジットが見つかる。こうしてそれら該当楽曲を並べてみると、なにかこう…うん、ユッコの香りが芳しいというかなんというか。もしかしたら全部がユッコのボツ曲だったんじゃないの?と勘ぐりたくなるような作風なのである。まぁ、上から二番目の作品に関しては「実はそうだった」とまことしやかに囁かれる楽曲だったりもするのだが、実際のところはどうなのかよく分からない。たしかにその曲も「おや?」っと思わせる作りではあるのだが、三番目の作品の方が表題曲とより近い感じもして…なんといっても賛美歌風ってところに共通点がゴザイマスからん。編曲はそれぞれ違う方の手によるものなのだけど。 さて、その賛美歌風に味付けされたという「二人だけのセレモニー」の話に戻すことにする。教会、ミサ、パイプオルガンなるものを連想させられるようなイントロが、のっけから印象的になっている。実はこの表題曲にはシングル盤とは異なる別バージョンも存在する。それはユッコの2ndアルバム(「FAIRY」)に収録されているのだが、荘厳さで比較すれば後者に軍配が上がる。おそらくは発売時期の関係で制作時間も限られていたであろうシングル盤を発売した後、陣営側の反省も含めてやり直し?をカマしてみたのがアルバムバージョンだった…のかもしれない。いずれにしても聴き手のお好みもあると思うが、より賛美歌風味が味わえ、音の厚みが増しているのは後者の方である。 ♪あ…重ねた指の十字架でも キラキラする…なぜ? ねえ…3本きりの花束でも ときめいてる 恋したらビンボーだって平気なの。ガラス玉も光る宝石になるの〜と高らかにその悦びを歌うアイポも存在していたけれど、コチラに関してもソレとほぼ同じ?アナタがいれば百万本のバラも、純金製の十字架クルスもいらないわ…という、恋の仕業によるマジックといったところなのかと思われ。ここでこのカップルがお指で作っている十字架…その形状を考えると男性がタテ、女性がヨコ…という役回りか、おそらくは。 ♪キャンパスのお別れに 約束してたの パーティーは2人だけ ともしたキャンドル 誘われて踊るのは あなたが最初決めてた とまどいも卒業よ あふれるほどにあなたが好き この楽曲における中核部分を成すココにて「卒業」ソングとしての主張がカマされる。ただし前述したようにソレが中心テーマではなく、あくまでも主人公のお相手さんが「卒業」する設定となっているため、そういうお色は薄くなってしまっている。これこそが見逃されがちになっている要因なのかと思われ。 でもってなぜにこの部分が中核なのかを書くことにする。 この楽曲は序盤もそこそこに切り上げ、この箇所で急展開をけしかけるの、しかも大胆な転調を伴いながら。つちやかおりさんにおける1982年6月発売のデビュー曲「恋と涙の17才」(オリジナルは「You Don't Own Me」 レスリー・ゴーア|1964年1月)の大胆転調にも相通じる部分もあるか。あちらはあちらでオリジナルのキーからどんどんつり上がっていく…というタイプの楽曲だったが、ユッコのは逆に下がっていくのである。そう言えばつちやさんのソレにも鐘の音がキンコンカンコンと鳴り響き、ソレっぽい風情をたたえていたもの。一方でユッコの転調部分に注意深く耳を傾けてみると…あらら! ♪キンコンカンコン〜 もしかして効果音としてではなくて、メロそのもので♪キンコンカンコンをやってのけてしまったの?といったことに気がついたりもして。コレを読んでる皆様!学生の時分に耳にされていたであろう始業や終業を知らせるあの鐘の音の音運び…思い出してみてよ。ほらっ…似てるでしょう?と半ばコジつけ気味に説得しまくるワタクシメ。(笑)作曲をされた尾崎さんとしたらば、それまでのアイポに見られた効果音により賛美歌風を演出するものではなく、メロディー自体でこういうのを作ってみたい!なんて思惑をお持ちだったのカモ。そもそもそういう発注があったからカマしてみた…のかもしれないけんど。だからこそこの部分が楽曲のイメージを司る大切な中核…なのである。お相手さんにときめいて…そしてはじめてのことで少し慌ててしまっている主人公さまのキモチを表現した、いわば早鐘のチャイムと言えようか。 このチャイムを表現した転調効果によるものなのか、この楽曲は神聖で荘厳、そしてミステリアスな雰囲気をしこたまに湛えている。なんせこの部分を歌い終える頃には、元々のオリジナルキーがなんだったのか…サッパリコンコン分からなくなったりもする。そういう意味では賛美歌風味にちなんで…ネ申がかった1曲と評してしまってもよいのかもしれない。 ♪目を閉じていい? そして甘いセレモニー ミステリアスと言えば、この楽曲の歌詞にも注目である。なぜならソレは非常になまめかしい色であふれかえっているからである。他のリスナーさんはこの歌詞に関してどのように感じておられるのだろうか? ワタクシメの調査によれば、男性陣における多くの方々は「彼と交わすオトコとオンナの儀式直前心情を歌ったもの」とする解釈が非常に目立ったのである。だけれどもその男性的解釈のみで本当に良いのだろうか? 1番のみならず、2番の歌詞を確認してみると… ♪あ…背中に届く私の指 ドキドキする…なぜ? ねえ…言えない言葉 あなたの背に 書いてもいい? ♪夢ならば さめないで 心の鍵を渡すの お願いよ このままで 夢よりもっと あなたが好き ふむ…このお歌に出てくる女の子の年齢設定、おそらくは歌唱者であるユッコと等身大の17才くらいか。大学を卒業するとおぼしきお相手さんは22歳?いや、早生まれも考慮すれば21歳か。まぁ、浪人せずにストレートでいった場合の想定になるのだけんど。 歌詞を読み進めて感じること…ソレは主人公はこのお相手さまとはアレどころか接吻もしていない段階なのではないかと。 これまでは彼との色々を「夢」のようなものとして大切にしてきた。そしてついに二人だけのパーティーが。キャンドルの炎がゆれる中、ロマンティックな調べにのせて彼と踊ってみたい。言えない言葉は…「好き」の二文字。そして…もしもそういう瞬間(とき)がやってくるのだとしたら、あなたと甘いくちづけを交わしてみたい。とまどいを感じることもあるけれど…もうそれは卒業するの。だってあふれるほどにあなたが好きなんだもの。 主人公さまはこんな道程におり、彼と唇を重ねること…ソレがこの時点での彼女における「二人だけのセレモニー」なのではないかと…。あらっ、やだん。ワタクシメったらばいい年ぶっこいたオヤジのはずなんだけど…ここにきて清純少女へトランスフォームかしらん、ナゾ。(笑)♪男は狼なのよ〜気をつけなさい〜なる教訓もあるくらいだし、それこそいきなり押し倒されて××?ってネタがこのブログにおけるお家芸だったはず。イヤヨイヤイヤ…そんな四畳半的で下世話なお歌なんてユッコには似合いませんものね。あぁ、女の子の気持ちはムズカシ…こうなったら元処女(オトメ)?である女性読者のみなさまに教えを請うしか、手立てはないようでゴザイマス。 この曲はオリコン最高4位、100位以内に10週間とどまって14.7万枚を記録しヒットへと結びつけた。前3作品と比較してみると、実はこの曲で最高位ならびに最高売上(この時点での)を達成しているのである。賛美歌、早鐘のチャイム、セレモニー…芸能界の黒さに染まらず、奇跡的にも雪のような白さと神聖さを保っていた少女。そんな彼女が少し背伸びしながらも、気持ちを込め丁寧に歌い上げた作品。はじらいのようなものが見え隠れする歌声も実に良い!それこそアイドル、岡田有希子としての真骨頂ここに見えたり…である。 しかしながら白色には‘黒色にめっぽう弱い’という哀しき性質が…。
あれが悪夢であるのならば今すぐにさめてほしい。今でも胸をギュっとしめつけるユッコの哀しい幕切れ。ソレは悪夢以外のナニモノでもないのである。 ☆作品データ
作詞:夏目純 作曲:尾崎亜美 (1985年度作品・キャニオンレコード) |

>
- エンターテインメント
>
- 音楽
>
- 邦楽






