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作曲家、網倉一也氏のヒット曲と言えば 「悲しみ2(Too)ヤング」(田原俊彦|作詞・曲両方)、「南風-SOUTH WIND-」(太田裕美|作詞・曲両方)、「サニーサイド・コネクション」(三原順子|以下、作曲のみ)、「How manyいい顔」(郷ひろみ)、「白いハンカチーフ」(堀ちえみ) これらがおもに知られる作品であり、他には、新井薫子嬢の三部作「虹いろの瞳」「イニシャルは夏」「赤い靴」、石毛礼子嬢が唄った「旅の手帖」など、そのメロディーラインはあくまでもキャッチーで親しみやすいのが特長。網倉氏は、大学4年の時点で歌手デビュー。その頃からウエストコーストを意識した、いわゆるアチラの風が吹きまくるような作風を積極的に取り入れていたらしい。あいにく、ソロ歌手としてはこれといった成績は残せずだったようだが、作曲家として歌手に楽曲提供を始めるやいなやヒットを連発。瞬く間にごリッパな作曲家として君臨するようになり、その名を世に知らしめることとなったのである。しかしながら、さすがの網倉作品にも、ヒットチャートの上位に顔見せできず仕舞いとなってしまった、いわゆる“埋もれた曲”がある。
どちらも佳曲でありながら、当時は鳴かず飛ばずのヒットチャート圏外。そして、この度紹介する曲もそれらの一派ということに。ということで、今回はココにコジつけ、網倉氏ワークにおける埋もれた曲の発掘をしてみたいと思うのでありまする。 表題の「君はナチュラル」は、スコッチのデビュー曲として1980年6月25日に発売。スコッチと言っても、またもや「知らん?の嵐」になりそうな気配がムンムンするもので、ひとまずは彼のプロフィールを少々。
スコッチという芸名は、地元・久留米にて組んでいたバンドの名前をそのまま拝借。そして、実家が酒屋を経営していたことにも由来するとの記述も、当時の記事から見てとれる。 それでは、まず本曲の作家陣営をカクニンしていきまショ。 作詞・曲:網倉一也 編曲:馬飼野康二 あら、網倉氏は本作品においてかなりの気合を入れてらっしゃった模様。「悲しみ2(Too)ヤング」や「南風-SOUTH WIND-」と共に、網倉氏が作詞と曲の両方を担当したことは特筆。本作品に関しても、かなりのやる気マンマンモードだったのか?そして、編曲の馬飼野氏に関しては言及する必要もないほど、おもに編曲家として多くのアイドルポップスや歌謡曲に携わった方である。 さて、このような布陣によるスコッチのデビュー曲は、なんともイキのいいロックンロール…いや、ポップなフィーリングが特徴だから、ポップンロールとでも呼ぶべきか。なんでも、デビュー時のコンセプトが“和製エルビス・プレスリー”だったらしいが、というほどにエルビスしているワケではないのがナゾでもある。おそらくは、ポップスに不得手だったテイチク所属ということも、こうなった要因なのかとスイソク。だが、かえってエルビスのしすぎでエセロックンローラー風になるよりも、ポップで、かつスピード感あふれる本作風が、ワタクシメ的にはより「好きよ」でアリマシテ。 それでは、本曲の歌詞を見てまいりまショ。 ♪Oh Baby I love you I love you I love you I love you I need you every day & night 君は僕に教えてくれた 愛の意味を I love you I love you I love you I love you I need you every day & night 夏らしく 僕らしく 君をひとりじめ ショッパナからノリノリ。頭サビから始まる構成で、I love youの連発銃から始まる。しかも、この歌い出し前にも
なる、スコッチによる甘い囁きが入っとるの、ウットリ。しかし、コレには賛否両論アリアリ?「これはいらん!」なるご意見もチラホラと囁かれている模様。まぁ、コレはさておき、本導入部分でのツボについて。 ♪I need you every day & night まさしくココでしょ!I need this every day & night…といったトコロでアリマシテ。半音を上手に活用し、陽光降り注ぐ中でのセンチメンタリズムといった趣き。コレだけでも網倉氏のセンスがキラリでゴザイマスよね。このように節々で現れる哀愁味というのが、いわゆる“あの頃歌謡曲”の特長でもあったワケで。今のウンタラPOPと呼ばれる、和製音楽にはなかなか見られない部分でもある。これこそが、まさにニッポン人の魂をゆさぶるものヨ…と、力説しまくるのはちと大げさかしらん、ナゾ。このテの半音を駆使したコード進行は、米英1950年代末期〜60年代初頭に花開いた、オールディーズという分野にてよく見られるもの。作曲をした網倉氏も、スコッチに与えられていた和製プレスリーというコンセプトを念頭に置き、かなり意識して作られたに違いない。 ♪ねえ 見上げれば 青空は高く そう 限りない 愛を感じないか ♪不思議だね とびきり風はナチュラル さりげなく 君に口づけ 頭サビ→本編→頭サビくりかえしという構成のためか、本編歌詞は驚くほどに短い。しかし、この短さの中でも主人公がお相手との出逢いに喜び、そしてその状況に陶酔しまくっていることは手に取るように伝わってくる。それこそ「喜び」と書き表すよりも「悦び」(にんまりとヨロコぶ)の方がシックリくるくらいのサマ。本曲では男性側の視点でしか心情が描かれていないため、お相手も同じように感じて“相思相愛”のご関係になっていたのかどうかは一切合切ナゾである。やもすれば、主人公の勝手な思い込み…こんなのもひとまずは想定しとくべきかナと…なんといっても恋愛はお相手あってのことだもん。(笑) そして主人公の恋慕(暴走?)は、2番へ移行してもとどまることを知らず。 ♪ねえ 少しだけ 困らせてもいいかい そう そのかわり 僕は君のものさ ♪その瞳 まぶしすぎるよ Close your eyes このままじゃ 抱きしめられない かなりのエスカレート気味^^;。困らせてもいいかい?と聞いて「そのかわり僕は君のものさ」と自身を差し出してくる。一体差し出してくるものがナニなのか、ちとコワイ気が…。しかし、これが愛だの恋だのにおける醍醐味とおっしゃるのであれば、おとなしくソレを受け入れるべきなのかと。コレを歌唱するスコッチも、この部分には禿同でかなりノったのか?曲の前半では見せなかった、ネットリ声をお披露目しとる。このような多少のキモチ悪さも含ませながら ♪Oh Baby I love you I love you I love you I love you I need you every day & night 君に会えてよかった まるで夢のよう I love you I love you I love you I love you I need you every day & night 夏らしく 僕らしく 君をひとりじめ 頭サビを何度も繰り返しガンガン突いてきては、聴き手を哭(ナ)かせまくる。まさに夏らしく?情熱的に迫ってくるのである。要は、コレが“僕らしく”の愛情表現ということでゴザイマスね。 それにしても、スコッチは歌がとても上手い。ところどころでおコエが裏返りそうになりながらも、そうはならずに維持…というテクニックもお持ちのご様子。コレは、かのエルビスも使用していた匠級の技。スコッチの場合、和製プレスリーというコンセプトがあったからこそ披露したのかもしれないし、地元・久留米にて活動していたバンド「スコッチ」時代から売りにしていたものだったのかもしれない。ねがわくば…その頃にナマ「スコッチ」のステージを見た!という方からのコメントKiテ…とキ・ボ・ン・ヌしておく。それこそ、久留米と言えば太陽の女王様こと松田聖子嬢のご出身地。彼女とスコッチは同郷もさることながら、80年組デビューとして同期の桜という間柄。なんだか、聖子さまにお話をお伺いする方がてっとり早いような気も?それこそ“アイ・ニード・ユー・ジャスト・スコッチ”もとい
といったトコロでアリマシテ。(笑)スコッチご本人さま的にも、聖子嬢と同期で、しかも同じ舞台に何度も立ったということは、それこそ自慢のネタくらいにはなっているはずであるからして。 まぁ、本曲はとにかく良い!聴いているだけで自然とノリノリになる!要は「君はナチュラル」をジでイケる曲ということになる。そして、ナツウタとしても申し分なく…もしかしたらソレの最高峰に立てるのでは?といった出来栄え。網倉氏の、一度耳にしただけで自然と脳内に入り込んでくるメロディーライン…これこそが、まさに彼ワークにおける最たるものでアリマシテ。これは、後の新井薫子嬢の楽曲におきましても大開花…でゴザイマシタよね。 これだけベタボメしておりますがネ…当時のオリコンでは圏外。ってことは、1〜100位の間には入れず撃沈してしまったという意味である。原因は定かではないが、いずれにしても「ありえへ〜ん」結果である。こんな素晴らしい曲を埋もれさせておくのは間違っている。ネット配信でもなんでも、なぜもっと音源へ容易にアクセスできるようにしないのか?
デビュー日の6月25日は80年組としては特に遅くもない。むしろ、6月デビューがわんさかと存在していた年度である(例:河合奈保子、柏原よしえ、浜田朱里等)。所属したテイチクと新栄プロによる宣伝もそこそこに行われ、テレビの歌番組にも多く出演。更に「歌謡大賞新人祭り」においては、優秀新人として選抜されるという名誉も早々に手にした。しかし、1980年と言えばトシちゃんのソロデビューもあったし、後にマッチのデビューも控えていた頃。横浜銀蝿の活躍もぼちぼち始まる頃合いだが、スコッチはやんちゃな兄さん程度の雰囲気ということで、ソチラの時流とは異なっていた感じ。それこそ、リーゼントヘアはキマっていたけれども。81年にはザ・ヴィーナスが「キッスは目にして」を大ヒットさせたので、オールディーズの香り漂うスコッチの曲も、その狙いは外していなかったはずである。ただ、歌姿に関しては、曲のノリノリ加減とは反比例する仁王立ち。頭サビ部分でのマイクぐるぐる回しはイカしていたが、情熱をぶつけまくって歌ってこそ…サマになるサマーソングだったように思うから、もちっと動き回ってほしかったか。だけど
1980年の夏にこの曲に会えてよかった。まるで夢のよう…って歌詞そのまんま拝借してしもうたワ。それくらいに「好きよ」な1曲だったりで。(笑) なにはともあれ、最近のスコッチのことも少々。現在は地元にて居酒屋を経営。ってことでソコにお客としてお邪魔すればお会いできるということに!そして、地元仲間と「武士道」という名のバンドを組んでらっしゃるご様子。なんでも、2010年には「日経おとなのバンド大賞」というコンテストに於いて全国大会まで駒を進めた実力派だそうな。ネット上では近影として、スコッチ本人の歌唱場面を拝むことができるが、なぜか「武士道」と名乗りながらおひとりでのパフォーマンス。コレはたまたまなのか?はたまた「武士道」はスコッチひとりになってしまったのかしらん、ナゾ。
しかし、どのような状況になろうとも、スコッチの素晴らしき歌声は必須でアリマシテ。たとえひとりぼっちになったとて、歌の活動はずっと続けてほしい!彼の歌声を聴くたび、こんな風に“ナチュラル”に思いをめぐらせるワタクシメなのでありまする。 ☆作品データ
作詞・曲:網倉一也 編曲:馬飼野康二(1980年度作品・テイチク) |

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