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1973年にタカラから発売されたパットちゃんというお人形を憶えている方はいるだろうか?この子は二代目リカちゃんのなかよしトリオの一員(「なかよしトリオの歌」という曲も存在。唄は堀江美都子)として登場したギミックドール。設定としてお父様はMrデビットという名前で活躍する外人マジシャン。その血をタップリコンコンに受け継いだ実娘のパットちゃんは変身がお得意。このため腰の部分にはギミックが仕込んであり、上下させて身長を自由自在に変えられるという「技」を完備!関連商品として変装するためのお面やリバーシブル仕様の衣装、そして「へんしんハウス」なる仕掛けが組み込まれたお家(ビックリハウスのようなもの)までもが発売され、外人のパパ&ワクワクの「ちょっとHENSHIN」技などで…昭和の少女たちをトリコにさせるコンセプトでいっぱいのお人形(後にオーディションに合格して歌手になったとして「タレントパットちゃん」という種も存在|麻丘めぐみを模したお姫さまカット)だったのである。
それはそうと「ちょっとHENSHIN」と聞けば…80年代のニッポンアイドル王国にもそのような方がおられましたよね。しかも同タイトルの楽曲でデビューしていたりもして。その方とは…
といったところでこのお名前でのとおりはあまりよろしくないのかと。おそらくはワタクシメのようなアイポファンでないと「知らないぜ」ってなお方が多数なのかしらん、ナゾ。で結局のところ小原靖子って誰なのよ=相原勇なのね…ってなワケで。相原勇さんと言えばバンドブームの火付け役になったとも言われているテレビ番組「三宅裕二のいかすバンド天国」(通称:いか天)でアシスタントを務めていたボーイッシュで明るい女の子。要は小原靖子は相原勇名義に改名する前の、アイドル歌手時代のお名前ってことになる。「そんなの知っとるわい!」という方...クドクド説明ゴメンなさい。(笑) さて、そんな彼女のデビューは1986年4月10日。作詞が秋元康、作曲が後藤次利というコンビ。このふたりの名前を見ると頭をもたげてくるのは「おニャン子」か。なにせおニャン子プロジェクトではヒット曲の量産コンビ。このふたりがデビュー曲を手がけたと書くと「彼女っておニャン子出身?」と余計にこんがらがってくるもの。事を整理する意味で書いてみるが、彼女はおニャン子出身ではない。だけれどもおニャン子入りのオファーをデビュー前にもらっていたというご経歴を持っている。も〜っ!こんなんだからややっこしくなるのよん。要はおニャン子入りが決定していたにもかかわらずお断りした方…と説明するのがてっとり早いのか。巷に流れているエピによれば、その時点ですでにソロデビューが決まっており、当時の所属事務所の判断によりご丁重に(←かどうかは定かではないけんど)お断りしたらしい。今となってはもったいなか…なる感想が脳裏をよぎってしまうものだが、当時の靖子陣営的にはすでに準備が進んでいた単独ソロデビューにこだわりがあったのかもしれない。 しかも靖子さんの場合は素人時代に「第9回ホリプロタレントスカウトキャラバン」にも出場していたりもするものだから、ホリプロ?おニャン子?まったくもって紛らわしいことのこの上ないのである。ちなみにこの大会での優勝者は井森美幸さんでゴザイマシタの。 それだけ自信マンマン?だった靖子さん陣営は、その順風満帆さをアピールするかのように、彼女をこんなTVコマーシャルにも出演させてみたりもした。
洋菓子業界の大手(当時)、不二家のコマーシャルに主演ということで…うん、これはかなり恵まれたスタートと言えようか。 ♪ちょっと HENSHINさせて! どこかの誰か 魔術を使って私を変えて ちょっと HENSHINさせて! みんながドキッっと 驚くくらいに 変わりたいのよ あなた そんな上り調子の波に乗って放ってきたデビュー曲はこんな感じ。サビがショッパナにくるアイドルポップスにおける王道路線。一度聴いたらすぐに覚えられるようなメロ、そしてシンセ音を散りばめベースの重低音が響きまくる特徴的なアレンジ。それにプラスして靖子さんのやや舌足らずな感じの(いわゆる)アニメ声が独特な耳障りを生み、聴き手を一気に誘い込んでくる。 この楽曲のタイトルは「ちょっとHENSHIN」となっているが、歌詞では「!」(ビックリマーク)が付けられていることにも注目か。その真意はよくは分かっていないのだが、俗に言われているのがこの曲はある楽曲とツインズの関係にあるということ。その楽曲とは… 「おっとCHIKAN!」 おニャン子クラブ コレなのでありまする。確かにタイトル表記がよく似ているし、発売時期もカブっている。おニャン子のソレには「!」が付けられているが、こちらはタイトルにはなしとされており、歌詞には「!」が表記されている。なんだかコレには秋元氏が遊び半分でカマしていたようなニヤリ背景も垣間見れたりもするか。 しかしながらツインズ関係にあると言っても、その中で唄っている内容は全く異なる。 ♪赤や青のハデな原色 人の波 そっと彩れば 少し早い夏の風まで スカートの裾を誘っている ♪あなたは他の女の子にも もてすぎるからじれったいの こちらはCHIKANもなにも…とある男の子に好意を持っているにもかかわらず、その彼がもてすぎるせいでちっとも振りむいてくれない!と嘆く乙女賛歌。ただ歌詞を追っていくと、この臆病で内気な少女が彼にふりむいてほしい一身により、その性格を徐々に変えてゆく過程も垣間見れたりするからおもしろいことこの上ない。ほら、こんな風にね。 ♪ピンで止めた髪をほどいて 唇を薄く縁取れば 距離を置いたあなたの元へ 微笑(ほほえみ)の粉がふりまかれる いつでも遠くで見つめていた 臆病だった 私じゃない このあたりからにじり寄り体制に突入か。そしてそして曲の最終局面ではこんな風に。 ♪ちょっとHENSHINさせて! いきなり誰か 強く抱きしめて接吻(くちづけ)決めて あらま。。。これってまさしくCHIKANされたい願望というモノになるのかしらん、ナゾ。(笑)しかもその真なる目的とやらが… ♪ちょっとHENSHINさせて! あなたがしまったと 後悔するほどに変わりたいのよ あなた その男の子に現行いちゃいちゃシーンを見せつけ後悔タップリコンコンにさせてやる!というモノだったりで。要はそういう目的のためのCHIKANされたい願望ということになるのか。こうして歌詞を追ってみると「おっとCHIKAN!」とは無関係に位置する作品?のように思わせておきながらも、なんだかソレとの共通点も描いていたりで…コレはやはり作詞をされた秋元氏による確信犯なのか、ナゾ。 実際にこの曲を唄っていた靖子さん自身も「おっとCHIKAN!」と見誤ってレコード買ってくれないかしらん?との売上増願望をお持ちになっていたらしい。そういう願望とは裏腹に…この曲はオリコン99位、0.4万枚(登場週数2)とジミどまり。しかしこの楽曲はその歌詞や楽曲のレベルにおいてはすこぶる良いものとなっており、歌唱した靖子さんにもなにか未知なる可能性を期待させるおもしろいモノを感じさせる。曲の効果として…
こんな風なお声生かしを使っているあたりもお気に入りにしたい理由である。当時の彼女に注目していなかった方にとってはまさしく「しまった!」と後悔させられる素材だったと言えるのではないだろうか。ビジュアルに関しても愛嬌とユニーク性があふれる可愛らしさは申し分のないところでもあるし、衣装も当時の流行を意識した黒白ファッションでキメてみせた。しかも曲中では「ヘンシ〜ン!」とばかりにソレを脱ぎ捨てホットパンツ姿になる…というおもしろいギミックも仕掛けられていたのである。当時の動画によれば稀に失敗こいて脱げなくなる!というアクシデントも勃発していたようだが。(笑)
そうなると、弱小事務所からのデビューなぞ止めてしまい、おニャン子に加入。そして「おっとCHIKAN!」とのツインズ作品として、withおニャン子クラブの表記入りで売り出していたら…おそらくは他おニャン子作品同様に、オリコンの1位などはたやすく獲得できた作品だったのではないかと。先で「おっとCHIKAN!」との見誤り購入願望なるものを説明したけれども…どう考えてもコレは所属事務所におけるビジョンの見誤り?でしかないようにも思えてしまったりで。 この後の靖子さんはデビュー曲の不発にもめげず、第2弾として「恋はBUCHI BUCHI!」の発売に漕ぎ着ける。この楽曲は出身地である広島の方言を歌詞にブチこんだ作品で、まさしくBUCHI BUCHI。元々はこの作品がデビュー曲として予定されていたらしいが、あいにくこちらも不発。そうこうしている内にアイドルとしてニッチもサッチもいかなくなり→所属事務所が倒産→お洋服をお脱ぎになるお仕事…という売れないアイドルの悲劇なる過程を辿ることになる。ようやくブレイクできたのは改名後のイカ天の頃...だったが、相原勇名義になってからは芸能界入りの目的だった「ピーターパン」(ミュージカル)の主役をゲットするなど、順風満帆の日々が続いたものの…例の一件(なんなのかが気になる方はググってね)によりニッポン芸能界からサヨウナラ。と思ったら今度は米国に渡って英語を駆使したテレビのお仕事でご活躍!と…
まさに文字どおりのHENSHINを繰り返し続ける靖子さん。「ちょっとHENSHIN」どころかかなりのHENSHINにビックリコンコン!アイドル歌手としては残念な結果に終わってしまったけれども、逆境にめげずガムばるアナタはスゴイ!今後もどんなギミックのHENSHINを見せてくれるのか…二度と「しまった!」と思わぬよう、彼女を温かく見守っていきたいと思うのでありまする。 ☆作品データ
作詞:秋元康 作曲:後藤次利 (1986年度作品・ワーナー・パイオニア) |
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