コパンのうら

熊本県北部の山鹿市にあるちいさなフランス料理店「ビストロ シェ・ル・コパン」の舞台裏です。

人間力。

今年の春は二度バラが咲きました。

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5月の初めに一度、そして今、つまり6月下旬にもう一度(上の写真は今日撮影)

鉢植えなので、一度に3輪ずつくらいしか咲きませんが、それでもとてもうれしい。お花、しかも一番好きなバラが咲いてくれれば、その日いちにち中気分が上がります。

そして、ふと、思い出しました。
そういえばむかしは、自分が植物を育てるなんてとても考えられなかったなあ、と。

「女子力」ということばがありますが、わたしに足りないのは「女子力」どころか「人間力」。人間としてのセンス。というか、パワー、実力。

ついさいきんまで(具体的には30代前半まで)、わたしは自分の「人間力」をまったく信じていませんでした。

わたしが植物を育てると枯らしてしまう。
わたしが動物を飼うと殺してしまう。
わたしが料理をすると火事を出してしまう。
わたしが車を運転するとひとを轢いてしまう。

本気でそう思っていました。なんていうか、そういうセンスがゼロで、むしろ自分から出てくるネガティブなエネルギーが悪いことを必ず引き起こしてしまう、と。そういう宿命なのだと。

だから、ずっとそういうことを避けてきました。観葉植物は買わず、ペットも飼わず、極力料理もせず、車の免許も取らない。そうすれば、何かを、誰かを、傷つけたり、苦しめたり、自分も苦しんだりしないで済む、と。

ところが、わたしのそんな思いなどつゆ知らず、「おれ、植物が好きなんだー」と、次々と観葉植物を買ってくるシェフ。かれこれ20年近く前の、知り合って間もないころです。

そのときの、わたしの内心のとまどい。

「えーー、わたしが観葉植物なんか育てたら、絶対に枯らしちゃうのに……」。
でも、当時はまだシェフに対して多少は猫をかぶっていたので(ああ、そんな時代もあった……遠い目)、困っていても口には出しませんでした。そして、たぶん枯らしちゃうだろうけど、まあなるべくがんばろう、と、せっせと水をやり、肥料を与え、適宜土を変えてやりました。

そして数年。

あれ? 観葉植物たち、わりと元気じゃん?

ちょっとだけ自信がついたので、鉢植えを少しずつ増やしていきました。オリーブ、トネリコ、ロシアンオリーブ、バラ、アジサイ、チューリップ……意外なことにみんなわりと元気です。さいしょのころは、水やりや肥料やり、土替えなどが面倒だったのに、今はむしろ楽しい日課に。元気がないとすぐに根っこを調べます。虫が大嫌いなわたしが、植物を守るために、アブラムシやネキリムシを素手で駆除できるようになりました。

こうして「植物を育てると枯らしてしまう」の呪縛から解かれたのです、いつの間にか、気づかないうちに。

今思えば、ネガティブエネルギーを発してるというより、関心がない、興味がない、愛情がないのが原因だったんでしょうね。当時、音楽や文章やアートには比較的親しんでいて、愛情を感じていましたが、植物、動物、料理、車にはまったく興味がなかった。だから、扱いに自信がなかった。

猫を飼いはじめたのも、そもそもはシェフが野良猫を手なづけたためでした。でも、結局ごはんやトイレや病気の面倒をみたのは主にわたしでしたし、愛情も生まれました。そのおかげで「動物を飼うと殺してしまう」呪縛もクリア。そして、毎日料理の現場にいるおかげで、料理呪縛もゼロに(まあ、自分ではあまり作りませんが)。

ん? てことは、ほとんどの呪縛はシェフによる荒療治(?)のおかげで治ったってこと?

あとは運転かあ。

ただし、この呪縛はかなり手ごわく、いまだに「わたしが運転したらきっと事故を起こす」と思いこんでいます。ええ、「運転にはまったく自信がない」と、自信を持って言えます(←なんのこっちゃ)。

もしかして、この呪縛からは一生逃れられないかも? とりあえず、シェフが運転好きで助かりました。



おまけ。

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上の写真は、ある日のシェフの置き手紙。……暗号か。

これはなかなか解読が難しいでしょう。答えは以下。
答え)「杏行く」:杏を仕入れに行く、の意。「豚は外」:業者が豚肉を配達に来るので、常温解凍したいから外に出しておいて、の意。



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