コパンのうら

熊本県北部の山鹿市にあるちいさなフランス料理店「ビストロ シェ・ル・コパン」の舞台裏です。

本筋に関係ないことを脇役が話すシーン。

どうやらわたしは、本筋にまったく関係のないことを脇役が熱をこめて話をするシーンが大好物みたいです。あ、映画の話です。

たとえば、すでに30回以上(笑)観た『君の名前で僕を呼んで』のこのシーン。

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ティモシー・シャロメ演じる主人公エリオの家族に招かれた夫婦が、イタリアの政治、そしてブニュエルの映画について熱をこめて議論します。かなりアグレッシブに、夫婦でケンカしながら機関銃のように喋りつづけているので、エリオたちは一言も口を挟めず、呆れてそのようすを眺めています。

これがめちゃくちゃおもしろくて、何度観ても笑います。くどいようですが、本筋にはまったく関係ありません。でもものすごく熱がこもってますし、印象に残ります。ちなみに、夫婦を演じてるのはイタリアでは有名な俳優さんだそうです。


そして、思いだすのがこちら。ゴダールの『気狂いピエロ』の最後の方のシーン。

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ジャン=ポール・ベルモンド演じるフェルディナンが、アンナ・カリーナ演じるマリアンヌを追っている最中、南仏の港でひとりの男に出会います。男は脳内で同じ曲がぐるぐる回って止まらなくてイライラすると言い、その原因となった出来事を語ります。3人の女性にプロポーズした時にいつもこの曲が流れていた、というのです。ベルモンドはその話を黙って聞いています。

くどいようですが、本筋にはまったく関係ありません。でもめちゃくちゃおもしろくて、何度観ても笑います。ちなみにこの男を演じてるのはベルギー出身のコメディアン、レーモン・ドゥヴォスという人です。


さらに思いだすのがこちら。リヴェットの『北の橋』のラストシーン。

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パスカル・オジエ演じるバティストが、彼女と友人のマリー(パスカルの母であるビュル・オジエが演じる)を追う秘密警察のマックスと一対一で戦います。得意の空手で挑むバティスト。ところがマックスは実は空手の上段者。「おい、なかなか筋がいいじゃないか」となぜか突然バティストに稽古をつけはじめます。おもむろに上着を脱いで、「いいか、空手の『型』というのはそういうものじゃない」と本気モードに。バティストもノリノリで指導を受けはじめ、真剣に「型」の練習を繰り返します。

くどいようですが、本筋にはまったく関係ありません。というか、脱線しまくりです。だってそのままふたりが礼をしてこの映画は終わるんですから(笑)。でもめちゃくちゃおもしろくて、何度観ても笑います。ちなみにマックスを演じてるのは、フランス人俳優のジャン=フランソワ・ステヴナンです。


そして最後がこれ。同じくリヴェットの『ランジェ公爵夫人』のこのシーン。

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ギヨーム・ドパルデュー演じるアルマンが、ジャンヌ・バリバール演じるアントワネットに会いに行こうかと迷っている間、勝手にアルマン宅に押しかけて酒を飲んでいる友人ふたりがくだらない話で盛り上がります。意訳するとこんな感じです。

「いまどき、『すごい』とか言わなくね? やっぱ『超』だろ、『超』」
「いやいや、『超』ももうダサくね? 今はやっぱ『ばり』だろ」
「いやいや、『めっちゃ』じゃん? 『こないだの歌手がめっちゃかわいかった』みたいな」
「わはは、そうそう」
……という、心の底からどうでもいい話を、アルマンは心ここにあらずの状態で聞き流しています。

くどいようですが、本筋にはまったく関係ありません。この映画、19世紀のバルザックの小説が原作で、セリフの90%以上が原作そのままなのですが、ここはさすがに原作にはありませんでした。でも力が入ってるんです。めちゃくちゃおもしろくて、何度観ても笑います。演じてる二人はいずれもフランス人の主に舞台で活躍する俳優さんです。


上の4作品、いずれも何度も繰り返し観ている大好きな映画ばかりです。本筋に関係ないことを脇役が話すシーンがあることが、わたしの映画の好みに直接関係があるかどうかは謎ですが、なぜか好きな映画にはそういうシーンがあることが多いです。


『ランジェ公爵夫人』は、2009年に観てすごく好きになり、バルザックの原作も読んだのですが(このブログにもその感想を2回も書いてますhttps://blogs.yahoo.co.jp/chezlecopain/38687905.html  / https://blogs.yahoo.co.jp/chezlecopain/38687929.html)、今回、『君の名前で僕を呼んで』を観ている間にどうしてももう一度観たくなり、ネットで500円(!)でレンタル落ちを購入。わたしの「一生に何度も繰り返し観たいDVDライブラリー」の仲間入りしました。いやあ、毎日のように観てます、今。

『君の名前で僕を呼んで』は、遺伝子レベルですべてのシーン、すべてのセリフ、すべてのディテールを記憶して、DVDがなくてもいつでも脳内再生できるようにしたかったのですが、『ランジェ公爵夫人』もそのレベル。もはやこのふたつの作品はわたしの体の一部です(笑)。

映画監督フィリップ・ガレルは、興行的には失敗に終わったこの作品を「フランス映画史上最高傑作のひとつ」と絶賛したそうですが、わたしも心からそう思います。ちなみにフィリップ・ガレルの娘エステル・ガレルは『君の名前で僕を呼んで』にマルシア役(主人公エリオのガールフレンド)で出演してます。

バルザックももう一度読み返そうと思います。

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