コパンのうら

熊本県北部の山鹿市にあるちいさなフランス料理店「ビストロ シェ・ル・コパン」の舞台裏です。

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コパンデビュー。

さいきん、コパンデビューの話題が、お客さまとの会話でちょこちょこ上ります。

コパンデビュー、それは、お子さんが初めてうちのお店にいらっしゃる日のこと。
誰が言いはじめたのか(わたしか?)、いつのまにかお客さまの間でそう呼ばれるようになりました。

「うちの子、そろそろコパンデビューさせたいのだけど……」
「コパンデビューが可能なのは小4からでしたよね?」
「うちの子は生まれたばかりだけど、ぜひコパンデビューさせたいのでそれまで頑張ってくださいね」


実は、うちのお店は、ちいさなお子さんをご遠慮いただいております。

ご来店いただけるのは、1〜2時間テーブルについて飽きずにお食事ができるお子さんです。フランス料理という性質上、なるべくならナイフとフォークを使えるほうが望ましいでしょう。お店のスタッフ(わたしですが)も、子どもだから……と料理のご提供を優先したり、歩き回るのを許容したりはいたしません。男の子はちいさな紳士、女の子はちいさな淑女として、一人前のおとなとして対応させていただきます。目安として(オープン当初にお子さんをお入れしていた経験上)、小学校高学年(4年生)以上とさせていただいております(ただし個人差はあると思います)。詳しくは、当店ホームページの「お知らせ」をご覧ください。http://www.chezlecopain.com

コパンデビューの時期は上を目安にお客さまにご判断いただくとして、その上でぜひともお願いしたいのは、まずはおとなのかただけでご来店を、ということです。うちの料理の味や店の雰囲気をあらかじめわかっていただけば、「これならうちの子も大丈夫」「まだ早いかな」など、きちんと判断していただけると思います。その点、常連のお客さまから「そろそろうちの子も連れてきたいのだけどいいかしら?」と尋ねられれば、「お客さまならうちのお店をよくご存知ですから、お客さまが大丈夫だと判断されたのなら構いませんよ。どうぞご一緒にいらしてください」と、わたしも安心して申し上げることができます。

また、わたし個人の希望としては、おとなのかたが「これこれこういう雰囲気で、こういう料理を出すレストランだけど、行ってみたい?」とお子さんに尋ねていただき、行きたそうなら連れてくる……としていただくと嬉しいです。渋々ご来店され、嫌々ながらお食事をされて、そのせいでフランス料理がキライになってしまったら悲しいからです。


もし誤解されていたら悲しいので、念のために申し上げますが、ちいさいお子さんが入店できないからといって、子どもがキライなわけでは決してありません。むしろ、小4くらいの、いかにも「フランス料理初体験」という感じのお子さんにご来店いただくと、わたしのやる気スイッチに火がつきます。「ようし、この子に『フランス料理っていいな。わくわくするな。ドキドキするな。おいしいな。また来たいな』と思ってもらえるように頑張るぞ!」と張りきります。

ついこの間も、きちんとスーツを着たちっちゃな紳士にご来店いただきました(お母さまとご一緒に)。ちいさな背筋をピンと伸ばし、ナイフとフォークを丁寧に使い、だらだらしたりはしゃいだりすることもなく、エレガントに美しくお食事していただきました。わたしがお皿を下げるときには「おいしかったです」と、声もかけてくださいましたよ。唯一、緊張のせいかやや表情が硬いのが気がかりでしたが、さいごに「きちんとお食事してくださってありがとうございます。今日いらしたお客さんのなかで(その日は満席でした)、いちばんきれいに召し上がってましたよ。偉かったですね」と申し上げたら、照れたようにニッコリ笑ってくれました。とても嬉しかったです。


実は、10年以上前、ちいさなお子さんをご遠慮いただくと決めたとき、一部のお客さんは離れてしまうだろうし、残ったお客さんもお子さんが生まれたら足が遠のいてしまうだろうな、と覚悟しておりました。

確かに、そういう側面もゼロではありませんでしたが、今振り返ってみると、それでも残ってくださったお客さまたちが今のうちのお店を作ってくださったのだ、と確信しています。お店の味と雰囲気を確立するのは、お店の人間ではなく、お客さまです。われわれがご提案した味と雰囲気を気に入ってくださったお客さまから伝わって、似たような趣味嗜好のかたたちがご来店くださるようになり、そのお客さまたちが愛して守ってくださった味と雰囲気を、また別の似た趣味のお客さまが支持してくださる……というふうにして、お店は完成されていきます。

いつだったか、あるお客さまが「コパンさんは、たぶん10年経っても、20年経っても変わらないでしょうね」とおっしゃってましたが、それはシェフとわたしの望みである以上に、お客さまたちの意志の力によるのだと思います。


もうひとつ、当時は想定していなかったうれしい誤算として、お子さんがお生まれになっても、ご両親や保育園などにお子さんを預けてご来店くださるかたが少なくない、ということがあります。子育てという、精神的にも肉体的にも大変なしごとを担い、孤独や不安やイライラにかられることもある生活で、時々うちで一息ついてリフレッシュされ、愛するお子さんのところへ元気になって戻っていかれる……そういうお役に少しでも立てるのはとてもうれしいことです。


たぶん、世の中には、いろいろなタイプのレストランがあっていいのだと思います。こういうお店が正解、こういうお店はダメ、というのはなく、それぞれのお店に役割があって、それぞれのお店にファンがいる。

田舎のちいさなフランス料理店として、それなりの困難にぶつかって試行錯誤しながらやってきたけれど、うちはこれでよかったな、この先もこのままやっていけたらいいな、と心から思っています。


あ、話がそれちゃいましたが、コパンデビュー、もし悩んでらっしゃるかたがいれば、ご来店いただいたときにぜひご相談くださいね。

イメージ 1

写真は、裏庭の桑の木。たくさんなった桑の実(仏語ミュール、英語マルベリー)を収穫し、アイスクリームにしました。ご提供をお楽しみに






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