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本日の緊急症例は、バルサルバ洞動脈瘤破裂でした。この疾患は比較的頻度の少ない心疾患ですが、
成人になって突然発症し心不全をきたす疾患です。欧米人より東洋人に多いとされています。バルサルバ洞とは大動脈の基部の大動脈弁上の隆起部のことをいい、そこから冠動脈(心臓を養っている血管)が出ていて、右冠動脈洞・左冠動脈洞・無冠動脈洞の3つの膨隆からなります。この洞の部分が何らかの原因で瘤状に拡張、突出したものをバルサルバ洞動脈瘤といい、このほとんどが無症状に経過します。この動脈瘤がどこの突出するかで分類されますが、一番多いのが右冠動脈洞で、60〜70%をしめ、その中でも右心室に突出するタイプが多いです。今回の症例もこのタイプで、この瘤が破裂し大動脈側から右心室へ逆流が生じ(左→右シャント)、右心負荷から心不全をきたしてきます。
また、発生機序より心室中隔欠損症(VSD)の合併が多く、約30〜50%に合併するといわれます。VSDがあれば同時にパッチ閉鎖を行います。また20%前後に大動脈弁閉鎖不全症を合併すると言われます。
診断が確定すれば、早急に手術を行い瘤化部を切除し正確に閉鎖し、合併疾患(心室中隔欠損症や大動脈弁閉鎖不全症など)があれば同時に修復を行います。重症心不全や感染性心内膜炎を伴っている場合には予後不良となります。
術中写真は、右心室を切り開いたところですが、瘤化し突出したバルサルバ洞動脈瘤の先端に破裂部(直径約3mm)の穴が見られます。この部分を十分に取り除き、周囲組織(大動脈弁・肺動脈弁)に気をつけながらパッチ閉鎖を行いました。
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