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・山陰に夕日の入れば 空写し北国の海はブルーグリーン
・春の夜をポルトのグラス重ねつつ娘と話しおり学生にもどりて
・密かごと低き声音に話継ぐ時に男を千々にくだきて
・小舟にて漂う浅き宵闇に言葉にならぬ愛もありしか
・抱くべきものを全て残しきて宇宙の闇に独り漂う
・我が想い遥かの星にかけゆけど小舟の速度はゆうきゅうの歩み
・舵もなく無線機もなき小舟ゆえエマージェンシー伝う術なし
・齢など数えず過ごす小舟にも地球の自転に一日と知らさる
・人恋うる一夜のありて光り受く地球の蒼に涙溢るる
・無音なる宇宙空間吾が歌う哀しきアリア届けよ地球に
・独り居の小舟の闇にいつの日か星雲の明かり届き来るのか
・吾が独り小舟に乗りて漂うは地球の最後見届けんため
・民族の争いとうもシナリオの一部に過ぎぬ「地球の一生」
・金星に生命体の存在せし痕跡ありと聞こえくるなり
・吾が舟に近づきやがて遠ざかる宇宙ロケット冥王星に向かう
・地球より出しもいまだ心残り月のごとくに漂う吾の舟
・生も死も善しも悪しきも吹き飛びて元素となりて漂う日来らん
・汝が敵と思えるものといつの日か同じ命を生くる場合も
・汚れしも清しも共に混じり合いて新しき星の一部になるらん
・我等死して元素に戻り漂えば新しき星に生命を得らん
・戦争も飢餓天災も地球とう星の命の必然の運命
・新しき星となるには100億年元素のままに漂う我は
・独り居の小舟に会話とだえいて地球に向かい歌う舟歌
・人間の人間である証とは言葉によりて意志伝うること
・人間の人間である証ゆえ人を恋うる涙流せる
・共に地球出でこし人のみまかれば宇宙に葬り離れゆくを見ぬ
・その昔ラスカンパネス高原の一夜を共に満天の星見き
・地球人と波長異なる我等ゆえ小舟に乗りて漕ぎ出しものを
・宇宙線雨のごとくに降り来たり我が身も舟も刺し抜けゆけり
・君なくて独りの闇に空間の無限はひしと身を包みきぬ
・遥かなるアンドロメダに着きしとき言葉をいかに伝承すべきや
・新星に新しき生命生まるれば新しき言葉芽生えくるらん
・吾が子らよ愛することを恐るるな有限の時を全力で生きよ
一九九三・九
・マグマ吹き氷河となりしこの星のカオスを伝えし生物ありき
・冥王星の外に彗星の巣があると’93年4月の紙上に
・太陽より飛び出せし惑星の原形か冥王星の外なる星の巣
・無限とも思ゆる宇宙に有限の我等瞬時を愛しみて生きん
今日の歌
・わたくしの心の闇を不意に破り生協の人運び来る物もの
・沈黙の私の頭を突き破り電話のベルの不意にひびける
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