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今頃の季節になると思い出す人、小学校の同級生の一人。
べつに特別親しかったわけではでない。
同じクラスだったかどうかも、覚えていない。
なのになぜ、思い出すのか?
学芸会の歌が
「がーん!」と心に残っているのです。
なんの歌だったかも、覚えていない。
学校の勉強はみんな嫌いだった。
なかでも、音楽の授業は怖かった。
私にとっては文字通りの拷問のような時間。
大げさにいえば
途中で気が遠くならないように、
こっそり膝をつねったりしてその時間を
耐えていたこともあった。
それなのになぜ、歌に、そんなに感激したのか?
そのころ学校には講堂なんてなかったから、
小さな芝居小屋を借りて、三月三日に学芸会がひらかれた。
その一階の古い畳敷きの桟敷が、
彼女が歌い始めると光で溢れた。
舞台の上の彼女は、輝くばかりのうす紅色のばらの花でした。
それから数十年も経って、同窓会で彼女を見かけた。
「大学生の娘が就職で、がんばっている」
と話しているのを耳にした。
輝く「ばらの花だった六年生の少女」が、
充実しお母さんの顔になっていました。
赤い実をつけた、たくましい薔薇の樹、みたいな。
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