(旧)フミちゃんのだらだらブログ

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小説『晴れ、ときどき妖怪!?』

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第一章 三、「再」

―――― その昔、京の都には【妖怪】と呼ばれるものたちがうごめいていた。妖怪たちは天から舞い降りてきたとも、人間界とは異なる次元、【異界】から来たとも言われる。しかし、中には人間に使われなくなり、捨てられた物に魂が宿り、生まれる妖怪もいた。
妖怪たちは、町の人間たちをあの手この手で驚かせていた。突然不気味な音を出し驚かせるもの、人間が歩いているときに邪魔をするもの、家の食べ物を食い散らかすもの、目の前に突如として現れ驚かすもの……その種類は数え切れない。

なぜ妖怪たちは人間を驚かすのだろうか?

ただ人間が驚く姿が滑稽で、おもしろがってやっているだけだと言われるが、実は食事をするためだと言われることがある。彼らは【気】と呼ばれるエネルギーを食べて生きている。その【気】は、人間が驚いたときに多く出されるという。妖怪たちは人間たちを驚かせ、【気】を出させるのだ。

そんな妖怪たちであったが、月日が経つにつれ、人間に危害を加えるものが現れ始めた。

人間たちの村を襲い、金品や食料を強奪。さらには人間をさらっていき、人間を殺めるものまで現れた。人々は妖怪たちを恐れ、都には妖怪たちが溢れかえっていった。昼は人間が、夕暮れから夜に架けては妖怪たちが都を支配していった。

そんな中、妖怪と対等に戦うことができる者たちが現れた。

【陰陽師(おんみょうじ)】と呼ばれる人たちを知っているであろうか。
彼らには、常人の理解を超えた特別な力があった。災いを遙か前に予知し、霊や妖怪といった人成らざる存在を見、退治することが出来た。
そんな陰陽師の中でも最強と謳われたのが、【安倍晴明(あべのせいめい)】その人である。晴明は、霊能力や予知能力が他の者よりも格段に優れ、死者をよみがえらせることも出来たという。晴明は、都に溢れかえっていた妖怪たちを全て葬り去り、人々に【神に最も近い存在】として崇められた。
しかし、晴明を境に陰陽師の力は衰退の一途をたどり、その存在は消え失せていった……。









 *


もし、あなたの目の前に突然しゃべるカラスが現れて「妖怪退治してくれ」なんて言ったら、あなたはどうしますか?
私はそういうオカルトな存在は全面的にダメなタチなので、布団にくるまってあれこれ考えます。否、考えています。もうかれこれ3時間……。
(なんであたしの所にくるんだよ? 親戚にだって土御門の名字がいるし、親だって同じじゃん)

(大体、お化けは大大大大ッッッッッッキライだからぜっっっっっったいやんないもん!!)

(映画とかだって怖いやつは絶対見れないのに……ましてや本物だなんて!)

………… コン、コン。

(それにあの白夜ってやつもお化けの類(たぐい)だし……やだ!あたしったらお化けと話しちゃった!)

………… ゴン、ゴン。

(だめだだめだだめだ!! 考えれば考えるほど体が震える!! あぁ夜にまた来るって言ってたからまた来る気だ!)

………… ガン!ガン!!

(どうやって追い出そうか……いや、居留守をつかって帰らせちゃおう……そうしよ……)

「ぁあもう!!!!!何度言ったらわかんねん!!はよ開けんかぁぁぁぁぁあああああいい!!!!!!!!」
「ぁひゃっ!?」
聞き覚えのある声に驚き、くるまっていた布団から部屋を見渡すと、あたりはもうすっかり暗くなっていた。カーテンを閉めているものの、部屋はぼんやりと明るい。月が出ているらしい。そして、月明かりでカーテンに映し出されたあの大きな羽と楕円に突き出たくちばし、そしてあるはずのない【3本目の足】は………………
「びゃ、白夜!?」
「せや!!!!中にいるのはわかっとんねん!!はよ開けんかいな!!」
大きな羽をせわしく上下させ、窓に向かって大声で怒鳴り散らしている。そんなに大声でしゃべってたら近所の人に気づかれちゃうって! でも………
「ヤダッ!!絶対に開けないもん!!! 開けたらあたしに妖怪退治をさせる気なんでしょ!?そんなのぜっっっったいにイヤだかんねっ!!」
「知るかっ!!!わてはただ晴明はんの命に従って、何千年と時を越えて来たまでやっ!!お前に拒否権なんぞあらへんねん!!!!」
「うるさいうるさいうるさ――――い!!!!!!!!!!晴明はんだかチャーハンだか知らないけど、とにかく中には入れないもんねっ!!!!!」
「にゃにおぅ!?お前がその気ならこっちにも考えがあるでぇ!!ちょっと待っとれや!!」
黒いシルエットはそう言うや否や、羽の上下運動を止めて屋根に降り立ったようだ。何をしようとしているのか気にはなったが、カーテン及び窓はかたくなに閉めたままにした。

…………音がしなくなった。バサバサという羽の音も、あのバカラスの怒鳴り声も、気配さえも消え失せた。晴香は窓に近寄った。あきらめて帰ったのだろうか?…………いや、そんなはずはない。まだ知り合った(認めたくはないが)ばかりだが、あいつはそんな性格ではない気がする。執拗に追いかけてくるタイプだ。でもカーテンは開けてはダメな気がする。ましてや窓は絶対にだ。…………まさか体当たりして壊す気とかじゃぁ………



ボン!!!!!!!!!!!



「はぅぁあっ!?」
突然、背後で大きな爆発音がしたかと思うと、部屋の壁の一部が、丸く、銀色の液状に変化していた。液状とは言うものの下にこぼれ落ちたりはせず、ただうねうねとしているだけだ。でっかい銀色のスライムが張り付いている感じ。
「なっ、何……、これ………?」
突然の爆発音による驚きと、恐怖とであたしは動けなかった。ただ、その突如として出現した銀色のうねうねを見つめ続けた。なんか今日は動けなくなる日らしい(泣)もうヤダっ!!!
不意に、その銀色スライムが盛り上がったように見えたのは気のせいだろうか?否、盛り上がってきた。ゆっくりと、どろどろした液体が突き出てくる。そしてべっちゃっと、床に人の頭くらいの銀色の液体がこぼれ落ちた。そのこぼれ落ちた液体は、だんだんと何かの形になっていくようだ。ぐにゃぐにゃとうごめいて、鳥のような形になったかと思えば、銀色が薄れて黒くなっていった。そして目の前に姿を現したのは……………
「フッフッフ………白夜さまをなめんといてもらいたいもんやなぁ……なぁ晴香はん?」
黄色っぽい丸みを帯びたくちばし、闇夜を思わせる真っ黒な体、流暢で耳に残る語り口、そして異様な3本の足。晴香曰く、バカラス見参。悪夢再来。
「なっ、なっ、」
「ぁあ〜〜〜、はいはい。晴香はんの言いたいことはよ〜わかりまっせ?『なんであんたがあんなところから来はったんや?』て事やねんな?……あれは【門(もん)】っちゅ〜て、異界と人間界をつなぐ入り口なんや。わては一度異界へ行って門をこの部屋に繋いで来たっちゅ〜わけですわ。月が出てるから、わての【魔力】も使えるようになったからなぁ。」
「う、ぁの……えと、」
「それに『なんでまたあたしの所に来たの?』でっしゃろ?それは後々話すことにして、さっさと行きましょか。時間もないことですしなぁ」
白夜は、そう言うと両方の羽を胸の前で重ね合わせた。すると、紫色の丸い光が、合わせた羽の間から出てきて輝きだした。あたしはまだ何かを言おうと口を開きかけたが、あたしの意識がはっきりとあったのはそこまでだった。

「まったく……こいつは自分の力にまったく気づいてないんやなぁ。………まぁ力使う機会なんてあらへんし、ムリもないけどなぁ」
「……さて、【空間透過移動】は魔力の消費が激しいから使いたくあらへんのやけど、人間を異界に連れて行くわけにもいかへんしな。しゃーないなぁ………」
むんっ、と白夜は全身に力を込めた。すると、意識を失っている晴香が白夜の念力で宙に浮かんだ。白夜は何か呪文のようなものを唱えるや否や、晴香と白夜は、音もなく一瞬で消えてしまった。

第一章 二、「会」

「いや〜、さっきはホンマ危なかったわ〜。ありがとぉなねぇちゃんw」

そいつは心地よい関西弁で流暢に語った。誰でも、どんな人でもお礼を言われると嬉しいものだ。''ありがとう''という言葉には人を笑顔にさせる力があるとあたしは思う。例えば、道路を渡れなくて困っているお年寄りがいたとする。自分は何気ないつもりで手を貸したんだけれども、満面の笑みでお礼を言われると、その日1日がとってもハッピーになる。そんな魔法のような力があると思うんだけれども…………

今のあたしは違っていた。

ついさっき自分が窓から部屋の中に入れてやったそいつを見つめ、じっと動かないでいる。動かないというよりは動けないといった方が正しいかもしれない。全身の筋肉が言う事を聞いてくれないのだ。きっとあたしの眉間にはシワがよっていて、口元は引きつっているだろう。背中には、嫌〜な汗がしたたり落ちている。きもち悪いったらありゃしない……でも動けない。
「どうしたんでっか? そんな変なものを見るような目でわての事見んといて〜な」
こいつは何なんだ? どうしてしゃべってるんだ? だってどこからどう見たってカラスじゃん。カラスがオウムみたいに、言葉を教えればしゃべるってことは知ってるけど、それにしたってしゃべりすぎだよね? ろ、ロボットかなんか……なのかな?
「わかったで! わての顔があまりにもかっこいいんで見とれとるんやな。いや〜照れてまうがな〜」
冗談じゃない。カラスにかっこいいもなにもあるわけないじゃんか!みんな同じ顔に見えるっつーの!それに、さっき受けた傷はどうしたんだろ? あれ、なんかもう治ってる??
あたしは声を出す事ができなかった。つっこみたいところがたくさんあるのに声が出なかった。人間、驚きすぎると体は硬直し、声が出なくなるんだなぁ。そう思った。一方の謎のカラスはと言うと、自分の羽根をくちばしで突いて毛繕い?をしていた。あたしは、動かない体に鞭を打ち、全身全霊をかけて声を絞り出した。
「ぁ……あの……」
「うん? なんでっしゃろ?」
「あ……あなたは…………誰なの?」
「あぁ!! こりゃ失礼してもうた! 命の恩人に自分の名前も名乗らんとは!」
カラスはオーバーアクションで自分の手(羽根?)を額にぺちっと打ち付けた。と言っても額なんて小さいから顔が隠れちゃったけど。それにしてもやけにしゃべるよね、こいつ。
するとカラスは、すばやく正座の格好になり、両手を揃えて深々とお辞儀をした。あたしもつられて正座するかっこうになっちゃった。あ、動けた。
「先ほどは危ないところを助けていただき、ホンマ感謝してます。わての名は【大和烏之助白夜(やまとからすのすけびゃくや)】いいます。先日のカミナリで封印から目覚め、あるお方の命で人を捜しとったんです。あちこち探して飛び回ってるうちに奴らに絡まれまして、ここまで飛んできたっちゅーわけですわ」
「白夜さん?」
「せや。わての使えていたお方にもらったありがたぁ〜い名前なんや」
「へ〜……。あ!あたし【晴香(はるか)】。あたししゃべるカラスって初めて見たよ」
「かっ、かかかかかカラス!? 誰がカラスでっか!?」
「へっ……え?」
「わてをそこらへんの野蛮な連中といっしょにせんといてーな!! わてはカラスじゃあらへんで! わては【八咫烏(やたがらす)】っちゅ〜神の使いなんや! 証拠に……ほれっ!!」
白夜と名乗ったそいつは正座の格好からいきなり空へと舞い上がった。そしてあたしの目の前に足を突き出して見せた。………ん? え!? 3本足!?
「あっ、足が……さっ………3本あるぅ!?」
「せや! だからわては奴らと違うねん。覚えときぃや!!」
「えっ……あ、ごめんなさい。なんかごめんなさい……」
あまりの威勢の良さに思わず怯んでしまった。自分より明らかに小さくて非力そうなのに怯んでしまった。その気になれば焼き鳥にでもしちゃうのに。へへっ。あっ、そういえば………
「そういえば白夜さん? 人を探してるって言ってたよね。探しに行かなくていいの?」
「……それなんやけどなぁ…………わての知ってる都とはもうずいぶん変わってもうて右も左も全然わからんねん。それで、ここでおうたも何かの縁や。ねぇちゃんに手伝ってもらえたらうれしいなぁなんて思てなぁ……」
「なんだそんなことか。いいよ、あたしでよければ」
「ホンマでっか!? いや〜やっぱりわての命の恩人! 心が広いでんなぁ」
「そりゃどうも」
「……なんや、せっかく人が誉めてんのに嬉しそうでないやんか。……まぁええか。そんでなぁ、探してる人なんやけども、わての使えていたお方の子孫なんや」
「へぇ〜……」
「そんでその子孫の手がかりっちゅ〜のが、名字が【土御門(つちみかど)】ってことと、この町のどこかに住んどるっちゅ〜ことだけなんや。誰か知り合いにおらへん? 土御門さんっちゅ〜やつ」
「………………へ?」
「だ〜か〜らぁ〜! 土御門って奴を探しとんねん! 知ってないでっか?」
「………………あ、あたし、」
「へ? なんやて?」 
「あたし、【土御門晴香(つちみかどはるか)】だよ……さっき言わなかったっけ……?」
「な、なんやてぇ!! ねぇちゃんが土御門でっか!? なんでそれを先にいわんねん!!」
「何でって……別に名字まで言わなくていいと思ったから……」
「やかましいわぁ! いちいち口答えせんと!」
「ご……ごめんなさい」
「まぁええわ。これで探す手間が省けたっちゅ〜もんや。わてはホンマ運がええなぁ〜ウフフ……」
白夜は1人でぶつぶつ言い始めた。ときどきニヤニヤもしている。ていうかあたしって探されてたの!?こんなへんちくりんな奴なんかに? なんでだろう……? あたしなんかしたかなぁ……?
「ほんじゃ、探し人も見つかった事やし、後で練習に行きまひょか」
「へ? れ、練習?」
「せや。まさかいきなり妖怪退治なんてさせるわけにもいかないやろ」
「よ、よよよよよよ妖怪ぃぃいい!!!?????」
あたしはバァン!と壁に背中を押しつけた。壁に掛けてあった時計ががたがたと揺れる。やだ、妖怪なんて死んでも嫌だ!!見たくないし聞きたくもない!第一なんであたしなの??あるお方の子孫だから??おいあたしのご先祖様!!なに子孫に押しつけてくれちゃってるんだっ!ムリムリムリムリムリ!!!!お化けとか妖怪とか絶対ムリ!!!
「………大丈夫でっか? そんなに脂汗流して……?」
「ムリ!あたし絶対ムリ!!妖怪退治なんてぜっっっっったいにムリぃ!!!」
「まぁまぁそう言わんと。……まだ明るいから今夜また来るで。術は月が出てるときしか使えんさかい」
「来るなっ!絶対に来るなっ!!……………はっ! そう言えばお前も妖怪じゃないか!!!」
「ぁあん? わては妖怪とちゃうわ!! れっきとした神の使いゆーとるやろがぁ!!」
「うるさいうるさい!! とっとと出てけーっ!!」
あたしは白夜の首根っこをひっつかみ、窓の外へ放り出してやった。……時刻はすでに1時を回っていた。はぁはぁと息を切らしながらカーテンを勢いよく閉め(ちらっと白夜が見えたが無視した)、心を落ち着けるために深呼吸を2〜3度した。今夜また来るだって? 冗談じゃない。
あたしは、今までの事はひとまず置いといて、お昼ごはんを作るために一階へと下りていったのだった。

「うさ晴らしにお昼は焼き鳥にしてやる……」

第一章 一、「客」

ざぁーっ………――――――――

テーブルから見える大きな窓。そこに映し出されている風景は見慣れた庭。友達んちよりもでっかい庭。見慣れた風景。ただ昨日と違うのは、雨が降っている事と、柿の木の葉っぱが雨に打たれて落ちちゃってる事くらい。

昨日は二学期の終業式だってのに雨が降ってくるんだもん。やんなっちゃう。急いで走ったはいいけど、雨に濡れて制服はびしょびしょになっちゃったし、泥がはねて靴はよごれちゃった。ホント憂鬱な冬休みの始まりだったなぁ………。

私はそんな事を考えながら朝食をとっていた。
目の前にはきらきらと輝き、まるで深雪を思わせるような真っ白なごはん、食欲をそそる香りをのせて立ちのぼる湯気の下には温かいお味噌汁………
いつもの私なら、眠気はどこかへと飛んでいき、テンションゲージは天井知らず、目の色を変えてかぶりつく………はずなのだが。
昨日からずっとこんな調子だ。「出鼻をくじかれる」ってやつ?ホントにくじかれたわぁ……骨折級?
なんかこの気分を吹っ飛ばすおもしろいこと起こらないかなぁ………


――――――― 警察では、たばこの不始末などが原因と見て捜査しています。それでは、次のニュースです………


………ここんとこ多いよなぁ山火事。今日は雨が降ってるからよかったんじゃないかな。ま、近い山みたいだし怖いなぁ……


――――――― 昨日、鈴鳴町(すずなりちょう)にある「晴明神社」内のご神木にカミナリが落ち、ご神木が割れるという事態が起こりました。


……ん?鈴鳴町??それって………………………!!

「あたしの町じゃん!!しかも晴明神社ってご近所さんの!?え!?」

私はハシをテーブルに叩きつけ、椅子をはねのけ、今にも食いかからんばかりの勢いでテレビを睨みつけた。テーブルのコップがゴトン、といって倒れる音がした。ヤダ、ホントに近所が映ってる!?


――――――― 昨日6時頃、晴明神社内の高さ13メートルにも達するご神木に落雷し、ご神木が真っ二つに割れているのを、通りかかった近所の人が発見しました。警察は、午後6時頃に活発な雨雲が鈴鳴町上空に停滞していたため、木に落雷したと見ています。この落雷による負傷者は出ていません………


………午後6時頃?
あたしが家に入って時計を見たら6時15分だったから………ヤダ、あたし現場にいたの!?ひゃ〜!!

私は急に怖くなり、急いで残りの朝食を流し込み、食器を台所に持っていった後、自慢の運動神経をフル活用して自分の部屋に飛び込んでいった。



  *



いつしか雨はやんでいた。
さっきまでの目の敵にしたような雨脚が夢だったかのように晴れ間がのぞいている。
「……あれ?寝ちゃってたのかなあたし……」
朝食後の階段ダッシュがこたえたのだろうか。それとも昨日のかな?私はベッドに肢体を投げ出す格好でいた。そんなことより今何時?
「げ!?もう10時半じゃん!」
あれから3時間も二度寝しちゃった!今日は冬休みの宿題に手をつけようと思ってたのに……。
「………まぁ、明日からやればいいよねww」
自分の決めた予定を早くもねじ曲げつつ、おもむろに枕元にあったマンガを手にした。何度も読んだやつだ。たいして興味はなかったのだが、友達に勧められて買ったマンガだ。買ってはみたものの、やっぱりたいしておもしろくもなかった。なのですぐに読むのをやめた。

あぁ〜………なんかおもしろい事起こんないかなぁ………退屈ぅ。

時計の短針は「10」を指していた。
何気なく外に視線を移せば、カラスが5、6羽で飛んでいる。しかし、飛んでいるというよりは、互いに落としあっているようにも見える。あれ?ケンカでもしてるのかな?
ぼんやりとその光景を眺めていると、だんだんとその黒い“カラス玉”が真っ直ぐこっちに近づいて来るではないか!
「え?ちょ、なんでこっちにくんの!?え、ちょ、なんで??」
近づいて来るにつれ、ぎゃーぎゃーという鳴き声が耳に届く。どうやら1羽のカラスが他のカラスに攻撃されているようだ。あのー、いじめはよくないよー?うん。
そして、部屋の窓のすぐ外で合戦が始まってしまった。1対5の圧倒的な戦力で。

「ぎゃーぎゃーぎゅー!!!」
「………さん、………けて」
「があぁああ!!」
「……ど、あけ…………い」

ん?今何か鳴き声に混じって聞こえたような……?

「たすけ……まど………けて」
「がーすぎゃーしゃぁぁああ!!!」

んんん???やっぱり聞こえるぞ??どこから?気のせい?


バンバンバン!!!!!!!!!!


キャアアアア!!!!!!!何!?何この音ぉ!?

「さっきから開けてって何度もゆーとるやろがぁぁあああ!!!!!!!!!!!!!(怒)」

そこには、カラスたちに攻撃されながらも窓をたたき、怒鳴り散らしている1羽のカラスがいた。
「はよ中に入れてーな!!!死んでまうわぁ!!!」
私は床に手をつけた座る体勢で目を丸くしていた。

序章

空は暗く、雲が一面を覆っている。
今にも雨が降ってきそうな空だ。……あっ!カミナリも鳴り出した。弱ったなぁ……傘持ってないし、早く帰らなきゃ。ここが神社という事は家が近いって証拠だもんね。走って帰ろっと!
背負ったスクールザックががちゃがちゃと鳴く。今日は5教科だったからカバンが重いや……。


ゴロゴロゴロ………ドカ――――ン!!!!!!!!!!!


キャアアァァ!!!!!!!!!!やだ!かみなり!こわいぃぃぃぃいいい!!!!うわーん!!早くお家に帰りたいぃぃぃ!!!!!ママぁー!!!!!!!!!

あたしの足は自然と速くなっていった。1秒でも、0,1秒でも早く家に帰りたかったから。もう、もうその事しか頭になかった。早く帰って、あの優しいママの所に行く事しか考えてなかった。……そのせいでもあったんだろう。ついさっき通り過ぎた近くの神社のご神木にカミナリが落ちたなんて気がつきもしなかった。このことを知ったのは、次の日の朝のニュースでだった。

次第に、ぽつぽつと降り出した雨は、どことなく乾いた雰囲気をかもし出すこの町をしっとりと濡らしていった。


   *


「っててて……誰がカミナリで起こせっちゅーたんや……ったく、晴明はんももっと優しく起こしてくれはったらええのに……」

ここは神社の境内。周りを多くの木々に囲まれ、町を一望できる場所に位置している。聞こえてくるのは木々の間を飛び回る鳥たちの声や、風に揺れる葉の音ぐらいのものである。今は夕方とはいえ、空一面をすっぽりと覆う雲によって、暗く、不気味な雰囲気になっている。両側に行儀よく座っている狛犬も、今にも動き出しそうな風貌である。そんな沈黙の世界の中に、その圧倒的な存在感を誇示するかのようにそこに構えているご神木からころんと、何か黒い、丸いものが転がり出てきた。

「ここが数千年後の平安京でっしゃろか?……まぁエライ変わってもうたなぁ……」

何もいるはずのない沈黙の世界、誰もいるはずのない無音の境内に響き渡る人の声。どうやら先ほどカミナリが落ちたご神木のあたりから聞こえてくるようだ。ご神木はてっぺんから真っ二つに割れ、だらんと2つになった腕を下げていた。枝の葉はぶすぶすと煙を出し、ご神木に巻かれてあった縄には火がついて燃えてしまっていた。

「………さて、ワイは仕事をしに行きまひょか」

そう聞こえるなやいなや、ご神木から転がり出たそれは黒い羽を広げ、鉛色の空に消えていった。

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