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8月27日(土)晴れ
またまた1週間のご無沙汰になってしまった。
実は前回の21日の翌日から涼しい日が続いて、「ンン、これは季節の変わり目?」と思っていたら、どうやらこれは台風11号の影響で、しかもこの台風が超スローペースだったものだから、この1週間ずっと雨模様、台風模様で困った。「台風の時のクラシック音楽」って浮かばなくて…。考えたこともなかったナァ。
で今日は久しぶりの晴天。それも台風が置いていった熱気でムンムンの残暑。「ミーンミーン」と蝉も最後とばかりに大合唱。
ということで、まだもう1日夏の快適音楽をお届けしても良いでしょう、ということで、私のとっておきの1枚をご紹介しましょう。
それはコレギウム・アウレウム奏するモーツァルトのセレナード第5番。
コレギウム・アウレウム(黄金の楽団の意)は既に何回か紹介してきた1962年創設の古楽器の合奏団。
最近は、特に1980年代以降(私の実感としてはホグウッド指揮エイシェントCO以降かな)、続々と古楽器演奏の団体が増え、今や古楽器を用いるだけではダメで、当時の演奏スタイルに忠実に演奏する、古楽器・古楽演奏が一般的になってきた。
そこで古楽器演奏としては走りだが、古楽器を用いてるだけで、当時の演奏スタイルをとっていないコレギウム・アウレウムの演奏は、「中途半端」「偽古楽」の一言で片付けられて、もはや過去の人達という評価を一般には受けているらしい。
BUT! 私は思うのです。
過去の音楽作品が、作曲された当時はどのように演奏されていたのかを学問的に追究して、それを忠実に再現するということは、確かに重要なことだろう。
また今日の古楽器・古楽演奏で名演奏として、多くの人を感動させる演奏も確かにあるだろう。
しかしそのことと、その演奏が音楽的に素晴らしく、また美しく、人を感動させるということとは、また別の次元の話ではないか。18世紀の音楽をその当時の楽器を使っていない演奏だからすべてダメとか、19世紀的なロマンティックな演奏法をしているものはすべて聴く価値がないとか、それって何か教条主義的で、私には了見の狭い藝術の聞き方に思える。
事実、私にとってはモーツァルトのセレナードやディヴェルティメント演奏で、最高に美音に酔い、うっとりとさせ、聴いている中、幸せな心地にさせてくれるのは、このコレギウム・アウレウムの演奏だ。
羊腸弦で奏でるため、刺激音がなく柔らかい音色の弦楽器。古めかしく、どこか優しく懐かしい響きの木管楽器たち。それらをたっぷり響かせる、ゆっくりめの19世紀ロマン主義的な演奏のテンポ。
それらが相俟って、聴く者にこの上ない安らぎを与えてくれる彼等の演奏を、古臭いと聞かずじまいの人は「もったいない」と思ってしまいます。
こちらは死ぬまでずっと聴いていたいし、もし戦争がおきて空襲になったら、彼等のLPレコードだけは庭に穴を掘って埋めよう。そして再びそれらを聴ける日が来ることを祈ろう。
(昔、第二次大戦の末期、吉田秀和は所蔵のSPレコードのうち、最後までメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番とどちらにするか迷ったあげく、フォーレのピアノ五重奏曲第2番のレコードを庭の穴に埋めたという。「私の好きな曲」(新潮文庫)より)
最近コレギウム・アウレウムのモーツァルトやバッハ演奏がCDで再発売されたという。
一時の魔女狩りの時期が過ぎ、ようやく落ち着いて聴くことによって、彼らの音楽の美しさや素晴らしさがまた懐かしくなった人が増えたということだろうか。
再販された彼等のCD、すべてお薦めしたい。特にモーツァルトの全て、バッハの多く、シューベルトの八重奏曲などは特にお薦めだ。詳しくはhttp://www.bmgjapan.com/dhm/
さてコレギウム・アウレウムの演奏するモーツァルトのセレナードで、私が最も愛するのは第5番ニ長調KV204です。(LP: TEICHIKU KUX-3251-H)(残念ながら上記の再販CDリストには入っていませんでした。)
(2006年、言わずと知れたモーツァルト・イヤーに、コレギウム・アウレウムのモーツァルトCDがまたまた再販され、この第5番も3枚組のセレナード集に収められています。(BVCD-38143〜45))
モーツァルトのセレナードは第7番「ハフナー」、第9番「ポストホルン」、第10番「グラン・パルティータ」、第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と名曲が目白押しですが、この5番、隠れた名曲です。
第1楽章。小気味よくリズムが弾む、軽快、快活なアレグロ楽章。旋律を弾く羊腸弦の弦楽器の柔らかな音色。そこに入る、鄙びて高雅な木管楽器の合いの手。
第2楽章アンダンテ・モデラートの緩徐楽章。この楽章から2,3,4楽章とバイオリンのソロとオーケストラの掛け合いがあり、さながらバイオリン協奏曲の風情。この曲を作った同じ年にバイオリン協奏曲1番から5番まで書いたということと、大いに関係がありそうだ。
コンサート・マスターのフランツヨーゼフ・マイヤーのバイオリンは1789年製ニコラウス・ガリアーノ。とびきりの美音は現代楽器のアルバン・ベルクSQのギュンター・ピヒラーと双璧!?カデンツァは小粋なウィーン風なフレージングで聴かせてくれる。
第3楽章アレグロ。「ハフナー・セレナード」でもそうだったが、愉快なアレグロ楽章はモーツァルトのセレナードの華!カデンツァの独奏バイオリンは思いっきりロマンティックに耽美に徹し、音楽に、音そのものに陶酔させてくれる。
第4楽章と第6楽章の2つのメヌエットに挟まれた真ん中、第5楽章アンダンティーノの緩徐楽章。後半のクライマックスだ。
素朴な鳩笛のような、オカリナのような音色のギュンター・ヘラーのフルート(1790年製)、本当の鳩の「ホウホウ」というような低ピッチのクラウス・ボツキーのファゴット(1748年製)、そして鄙びた音色が心地よいけだるさを感じさせるクリスチャン・シュナイダーのオーボエ(1790年製)と交替していく管の独奏に、虹を掛けるように合わせる羊腸弦の弦楽器たちの音色の競演。もうまるで天国に遊ぶ心持ちだ。
最終の第7楽章は、優雅なアンダンティーノと快活なアレグロが交錯する珍しい形のフィナーレ。最後、第1楽章、曲の出だしの雰囲気が戻って、曲も終わる。まるで長かった全曲が、実は一瞬の夢のできごとであったかのように…。
18世紀の宮廷に遊ぶ想い…とは宇野功芳のレコード評。
それはコレギウム・アウレウムの奏者たちが「偽古楽」の批判を怖れず、思いっきり19世紀的なロマン的な演奏をしてくれたからこそ、現代人にとっての本当の意味での癒しの音楽になったのだ、と僕は思う。
墓場まで持っていきたいレコードだ。
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ホグウッド以降が大好きな私としても、教条的な押付けには勘弁。コレギウム・アウレウムは未体験ですが、購入リストに入れておきます。同じような不遇な扱いを受けているパイヤールも好きな団体。皆一様に“古楽的でフレッシュな”演奏が多く、さすがに行き過ぎと感じないでもない今日この頃。
2005/8/27(土) 午後 10:17
パイヤールもいいですね。パイヤール室内管弦楽団の方が一般的かも知れませんね。一度生でバッハの管弦楽組曲第1番を聴いた時、最初の一音を聴いた瞬間、ワーッと涙が溢れてきました。あんなことは後にも先にもあの時だけでした。
2005/8/27(土) 午後 10:32
あはっ (⌒▽⌒)お久しぶりです。お邪魔しま〜す♪
2005/8/28(日) 午後 4:03
ちゃめぼーさん、お久しぶり。昨日NHK-BS1でBSドキュメンタリー「地獄(ヂグク)沖縄戦最後の33日」というのを見ました。中で照屋林賢が歌っていた父から受け継いだ曲聴いて、涙が止まらんかったよ。今度沖縄行く時はしっかり壕とかも見ようと思いました。
2005/8/28(日) 午後 4:12
「古楽器をつかえば感動的な演奏になる」とはいかないところが、藝術の謎であり、幅広さでしょうか。
2005/8/30(火) 午前 10:50
かろやんさん、遅ればせながらお帰りなさいませ。これからもよろしくお願いします。
2005/8/31(水) 午後 8:11
おや、ここでも「かろやん」になってしまいましたか(笑。こちらこそ、どうぞ、よろしくお願いします。というか、記事をたのしみにしています。
2005/8/31(水) 午後 11:48
まぁ昔の楽器を使うことが必ずしも「美しい」わけではないですよね。あまりにもかけ離れていると問題かもしれませんが、どうしても現代のピッチに音が慣れている現代人には中々なじめないところがあったりもしますから、多少のアレンジは必要なのかもしれませんね・・・。その人が聞いて「良い」と思えば、その前に理屈なんて太刀打ちできませんよね〜。そこが音楽の面白さでもあるのかな〜。
2005/9/3(土) 午後 7:05
かろやんさん、勝手に「かろやん」にしてしまってすみません。貴方と「ふじさん」のやりとりがとても楽しそうなので、つい真似をしてしまいました。こういうのを「偽関西弁」というのでしょうか。お許しを。
2005/9/4(日) 午後 8:46
いえいえ、最初は、整髪料みたいだなあとおもいましたが、慣れました。私、偽関西人ですので、全然かまいませんよ。ふじさんも怒らないでしょう。
2005/9/8(木) 午前 0:49
ちささんの意見と自分もほぼ同じ考えだと思います。で僕の場合、最もしっくりきて共感できるのが、モダン楽器ではブルーノ・ワルターの指揮、古楽器ではコレギウム・アウレウムです。どちらも19世紀的なロマンティックな解釈で、たっぷりと旋律を歌い、ゆったりとした気持ちになれるからでしょうか。
2005/9/8(木) 午後 10:49
ここでもカロやん定着!!やったー!と喜んでいられない!というのも、セレナーデ5番のCDがないんです!ヴェーグ盤、まだ安くで出てるかなぁ。一方コレギウム・アウレウム、ますます聞きたくなってきます。まあしかし中古家業、気長に待ちますよ。1番聞きたいのはob四重奏曲の入ったCDです。
2005/9/9(金) 午後 5:45
セレナード5番はいい曲(モーツァルトのケッヘル200番台は軽くてチャーミングな曲が多いですね)なのにLPもCDも少ないですね。ob四重奏曲のは廉価盤で出てます。(BVCD-38050〜1)
2005/9/18(日) 午前 7:28