クラシック歳時記in松本 (あるいはモーツァルトとともに1年を)

今春発売の内田光子/テイトのCDでようやく好きになれました・・・モーツァルト ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」

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5月31日(火)雨のち晴れ

 今年の5月は本当に天気がよかった。暑すぎず、終始さわやかで、初夏であり続けた。そんないい季節に限って仕事が多忙を極め、いろんなところにも出かけられず、そしてブログも書けず。1年でも最もクラシックを聴くのに適した時季だけに、本当はもっと紹介したかった曲もいっぱいあった。でも泣いても笑っても今日が最後。覚悟を決めて1曲紹介しよう。

 選んだのは、やっぱりシューマン!このブログを書いてみて、改めてこの時季になるとシューマンが聴きたくなるし、またなぜシューマンが5月の作曲家なのかを、突き詰めて考えることができた。(5月16日記事参照)

 端的にいうと、シューマンの特にクララとの恋愛、結婚、幸せな家庭生活から迸る、あるいは突き上げてくる「生(せい)の歓び」が化したような音楽が、花の咲く4月以上に、日々成長する若葉に生命力を感じる5月という時季に合っているのだろう。また同じ双子座で、たぶんB型で「猪突猛進」「直情径行」型の血が共鳴するんだろうな。(そういえば日本史では織田信長、高杉晋作が好き。極端なラディカリストが好きだ。)

 シューマンもある意味極端な人だった。ピアノ曲一辺倒だった彼がクララとの結婚の年、1840年に歌曲を書きまくった「歌曲の年」。そしてその2年後は生涯作った室内楽のほとんどをこの1842年に書いてしまうという「室内楽の年」に当たる。今日のピアノ五重奏曲はその中の一つで、弟子のブラームスのそれと並んで、このジャンルの傑作として知られている。

 引き続いていたクララとの幸せな結婚生活が反映している曲といって「間違いない!」。曲の冒頭から喜びが爆発している。物憂げで思索的な第2楽章をはさんで、スケルツォの第3楽章は再びすさまじい推進力で、音楽が生きていることの歓びを表現している。僕の聴いているアントルモンとアルバン・ベルクのカーネギーホールでのライブでは、ここで思わず拍手が起きている。

 しかしこの曲の欠点も正直に告白しよう。それは、「曲のクライマックスが曲の冒頭に早くも来てしまっている」ということだ。

 通常というか、理想的には一つの曲のクライマックスが曲の終結、第4楽章のフィナーレに来るのが一番望ましい。そういう楽曲が最大の演奏効果をあげ、聴衆に最大のカタルシスをもたらすからだ。作曲家が特に苦心するところである。

 しかし「言うは安し」で実際にそんな理想的な作品はめったにない。交響曲の世界でも、ブラームスの2番やブルックナーの8番や5番など数えるほどしかない。いずれも推敲に推敲を重ねた慎重居士の、その中でもわずかな曲に限られる。

 「直情径行」型のシューマン(シューベルトやモーツァルトもこちらの側に入るだろう)はそういう曲の構成に不得手というか、彼の頭には最初からそんな人為的ことには関心がない。身体の内側からほとばしる音楽の泉を、その勢いをそがずに表現することが彼の最大の関心事であったろうと思われる。

 とにかく、ちょっと毒気にあてられないよう気をつけながら、このシューマンの「生きるって素晴らしいね。人を愛するってなんて魅惑的なことなんだろう」という生のメッセージに耳を傾けてほしい。残り少ない若葉の季節に。

   「逝く春を近江の人と惜しみけり」(芭蕉)

 演奏は前述のフィリップ・アントルモンのピアノとウィーン・アルバン・ベルク四重奏団の1985年ニューヨークのカーネギー・ホールでのライブ録音が一押しです。(EMI 27 0447 1, CDはA-CC33-3686)

閉じる コメント(10)

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シューマンは五指に入るくらい好きな作曲家です。若葉の5月と結びつける発想、すばらしいと思います。私もこれから、この季節が来るたびにシューマンを聴きなおしましょう。今日から6月ですね。こちらの『音楽歳時記』今後も楽しみにしています。

2005/6/1(水) 午前 10:51 Cutty

シューマンすばらしい!6月になっても聴きましょう! 私は一年中聴いてます(頭の中がずっとシューマンの感じる春なのかしら・・・^^;)

2005/6/1(水) 午後 3:40 [ gnadejp ]

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Cuttyさん、とても嬉しいお言葉デス!僕も今回、自分はこんなにシューマンが好きだったのか、と自分でもびっくりしてます。

2005/6/1(水) 午後 9:46 gustav

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ローレライさん、そうですね、まだまだ「子どもの情景」とか「クライスレリアーナ」とか紹介したい曲ありますね。でもローレライさんはシューマン歌ってるんですよね。すごい!一度貴女の「君に捧ぐ」聴いてみたいです。(^O^)♪

2005/6/1(水) 午後 9:52 gustav

シューマンはふたご座なんですね〜。ちさと一緒だ。シューマンは音楽が「詩」そのもの。愛もいっぱい。『人為的ことには感心がない』その通りな気がします。きっと頭に流れてくるメロディを書き留めているだけなんでしょうね。まさに天才的な音楽の詩人です。

2005/6/4(土) 午後 11:46 ちさ

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ちささんもふたご座?僕もふたご座です。だからシューマンに魅かれるのかな。やっぱり星座って根拠があるんでしょうか?

2005/6/5(日) 午前 0:19 gustav

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早いもので,5月も今日で終わりですね.
こちらのほうは朝から雨が降り続いており,梅雨入りが近いことを感じますが,信州のほうはいかがでしょうか.今年は梅雨の時期が長いということなので,大した被害がでなければいいなと思います.
シューマンは食わず嫌いというか,どちらかと言うと苦手な部類に入るのですが,ピアノ協奏曲だけは別で,特に第1楽章の出だしのところは数多くあるピアノ協奏曲の中でも特に好きです.あと2,3曲ピアノ協奏曲を残してくれていたら印象が変わったかも知れないのですが・・・

2008/5/31(土) 午後 6:22 [ sir*n*21* ]

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確かにシューマンのピアノ協奏曲の出だしはvividというか、鮮烈な印象がありますね。協奏曲ではありませんが、ピアノのための「幻想曲ハ長調作品17」も、いかにもシューマンらしい卓越したロマンティシズムを感じます。(ポリーニのピアノで聴いています♪)

2008/5/31(土) 午後 10:07 gustav

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ごめんください。
ピアノ三重奏曲、印象深い第一楽章が終わり、静かな第二楽章。
ヘッドフォン耳にあてています。うつむいて歩いているところへ、容赦なく孤独の風が吹きつけてくるような感じの楽章です。でも、最後まで平和は保たれていて、作曲者が充実した日々を送っていた頃の作品らしいです。
ご指摘の「欠点」など、意識しながら聞くと、また違った発見がありそうです。

2008/7/16(水) 午後 8:37 [ - ]

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kazuさん、こんばんは。改めてこの曲は、クララとの結婚から2年目。まだ精神の変調の兆しもなく、シューマンが非常に幸せな状態で作曲した「幸福な音楽」という感じがしますね。それと多少こじつけかも知れませんが、ピアノと弦楽四重奏の「幸福な結婚」というイメージの曲でもあります♪

2008/7/16(水) 午後 9:07 gustav


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