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7月31日(日)晴れのち曇り
夏の一番暑い時間帯に涼しさを感じさせてくれる音楽として、まずバッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタとゴルトベルク変奏曲(弦楽版)を紹介しました。便宜上、これらを午後1時の音楽、午後2時の音楽としておきましょう。
汗を拭きふきお昼を食べて、涼を求めてヴィオラ・ダ・ガンバを聴く。そうこうするうちに眠くなってきて、ゴルトベルク変奏曲とともにgolden slumber(お昼寝)… zzzzz。
小1時間ほどしてふと目覚める。気のせいか暑さも一段落したようだが、そうはいっても…。
そんな時シューベルトの五重奏曲「ます」はいかがでしょう。
シューベルトのバイオリン・ソナタや弦楽四重奏などの室内楽は、春、それも4月に集中して紹介した訳ですが、同じ室内楽でもピアノが入ると夏向きなんですな。
「ます」とピアノ三重奏曲第1番、第2番は皆この時季のお薦めです。3曲とも特にピアノが溌剌としていて、その音色が氷砂糖のようなクリスタルな響き(?)で涼しさを呼びます。
ピアノ五重奏曲「ます」はシューベルトが22歳の1819年の夏、フォーゲルという親友のバリトン歌手(親友といっても29歳も年上で、シューベルトを弟のように可愛がり、彼の歌曲を世に紹介するのに協力を惜しまなかった)と一緒に北オーストリアのシュタイルを旅した時にできた曲である。
シュタイルはフォーグルの故郷であり、風光明媚な山あいの町だった。シューベルトはここの自然を大変気に入り、町の人もシューベルトがフォーグルの友人ということで、皆親切にしてくれた。
とりわけ町の資産家で鉱山業者のバウムガルトナーはシューベルトを歓待したが、彼はチェロや管楽器の演奏を得意にする音楽愛好家で、特にシューベルトのリート「ます」が好きだったという。
このバウムガルトナーがシューベルトに作品を所望し、それならばと「ます」の旋律を第4楽章に織り込んだこのピアノ五重奏曲を書いたという経緯は結構知られている。
ちなみにここでいう「ます」というのは日本でいうそれと違い、清らかな清流に住む淡水魚で、日本の姫鱒と鮎のあいのこのような魚だそうだ。
この五重奏曲は普通と違い第2バイオリンがなく、代わりにコントラバスが入っているのが特徴で、レコードを聴いてもコントラバスの低音域がかなり強調されていて、それが高音域のピアノの音と対比的に聞こえる。
またピアノが普通の五重奏曲以上に活躍し、ピアノVS弦楽器という感じで協奏曲的様相も見せている。
第1楽章アレグロ・ヴィヴァーチェ。冒頭いきなり、清流の中の魚のようにピアノの音がはねる。それに対して弦のグループはどちらかというと合いの手のようだ。この曲の主役はピアノで、それが「ます」をイメージさせる。
このように歌曲「ます」の旋律の登場を待たずして、全楽章ピアノが「ます」を表現し活躍する。その姿はまさに「若鮎がピチピチはねるように」溌剌としている。
シューベルトのこの北オーストリアの山村への親しみと、彼と彼を取り巻く人々の暖かい心の交流を反映するように、幸福感に充ちた曲である。
それだけに第2楽章アンダンテ中間部で、ヴィオラがしみじみと奏でる短調の旋律は非常に印象的で、シューベルトにしか書けない美しさを持つと思う。
演奏はアルフレッド・ブレンデルがピアノを担当し、クリ−ヴランド弦楽四重奏団と組んだ1977年録音のものが定評がある。(LP:PHILIPS X-7843)(CD:PHILIPS PHCP20362)
それはピアノが他の弦楽器全体とがっぷりと対等に渡り合うという、この曲の性格にぴったり合っているからだろう。ブレンデルが巨匠でありながら、若い弦セクションのメンバーに張り合うように若さを感じさせた演奏をしていることに尽きる。何よりも聴いていて楽しい、愉悦あふれる演奏だ。
もうひとつ、オリジナル楽器演奏の先駆者コレギウム・アウレウム合奏団とイェルク・デムスのハンマーフリューゲルのレコードを紹介します。(harmonia mundi ULS-3179-H)
こちらはいつものキルヒハイムのフッガー城糸杉の間で録音された音の美しさ、とりわけフランツ・ヨーゼフ・マイアーのバイオリンを始めとする、羊腸弦のオリジナル楽器を弾く弦セクションの夢見るような音色を楽しみたいですね。
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夏にバッハのガンバ・ソナタですか!確かに涼しそう*「ます」は夏にもってこいの曲ですよね☆ピアノがきらきらした感じがします♪
2005/7/31(日) 午後 9:50 [ sum*us*i1*6 ]