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1月5日(木)曇りのち晴れ
皆さま、新年明けましておめでとうございます。(相変わらずのスロー・スターターでごめんなさい!こんな私ですが)今年もよろしくお願いいたします。
さて記録的な寒さと雪の中で迎えた2006年新春ですが、皆さんは何か良いことありましたか?私は新年早々車のボディを擦ってしまい、奥さんに怒られてしまいましたが、それでも2つ位は良いことが…。
1つは12年前に東信(長野県の東側)地方の学校を卒業した教え子達の同級会に出て、久しぶりに懐かしい顔を見れたこと。結婚して、子どももできた方が多く、これから30代という仕事でも家庭でも充実した時を迎える彼ら彼女らの姿が清々しく、こちらが大いに元気をもらったこと。
もう1つは息子の付き合いで入った古本屋で「立花隆のすべて」という単行本に出会い、改めてこの「知の巨人」の人となりと仕事に触れ、読んでいるこちらも知的好奇心を刺激されたこと。
そんなこんなで気がついたら正月5日になってしまいましたが、まだ松の内ということでお許し下され。
それでは私がお正月に聴きたくなる曲を3曲ほど紹介していこう。
まず第1弾は近代フランスの作曲家エルネスト・ショーソン(1855〜1899)の唯一の交響曲を。
ショーソンは7/1に雨に似合う曲として、「ピアノ、ヴァイオリン、弦楽四重奏のための協奏曲(コンセール)」と「ピアノ三重奏曲」の2曲の室内楽作品を紹介したことがあるが、彼の大規模な作品の紹介は多分これが最初で最後になるだろう。
以前にも紹介したが、彼はフランクの弟子にあたり、歌曲を中心とする彼の作品は全部合わせても40そこそこしかない寡作家だ。
その理由は2つ。1つは彼が25歳でパリ音楽院に入学した遅咲きの音楽家で、しかも44歳の若さで死んでしまったこと(なんと自転車事故で頭部を強打して)。もう1つは彼は弁護士の資格を持ち、いわば日曜作曲家であったこと。
決して多作とはいえぬショーソンだが、私は彼の作品の殆どが好きだ。「詩曲」「終わりなき歌」「愛と海の詩」とても自分と相性のいい作曲家だと思っている。
一番好きな作曲家は?と聞かれたら多分モーツァルトと答えるだろうが、一番好きな作品の割合が多い作曲家は?と聞かれたら断然ショーソンと応えたい。
それは私の大好きなジャンルの一つ、19世紀後半近代フランスの作曲家たちの作品の中で、ショーソンの音楽が、ドイツ後期ロマン派とりわけワーグナー風の官能美と、フランス音楽の洒脱さいわゆるエスプリとのバランス感覚を一番感じさせる、センスの良いチャーミングな作品だと思うから。
さてそんなショーソンの交響曲を新年第1曲目にご紹介するのは・・・やっぱり自分の好きな人の作品を大勢の方に知ってもらいたいから、という気持ちはもちろんあります。
で実際のところは、この曲の出だし、第1楽章の序奏の荘重な感じが何となくお正月の厳かで改まった雰囲気に合うかなぁ、なんて言ったら「なんだ、それだけの理由か」って怒られるかな?
でも確かに冒頭の数小節はまるで「君が代」だよ。某FM番組の「よく聴くとどこか似ているかもコーナー」なんぞに出したら、案外受けるかもしれない。
第1楽章。その荘重な序奏の後、弦が弾んで、意外にも軽く明るい主題がアレグロ・ヴィーヴォで始まる。この対比というか、先ほど言った程良いバランスが、ショーソンの音楽の魅力じゃないかな。
この曲全体が有名な、師フランクの交響曲ニ短調を意識した、似た雰囲気の作品であることは間違いない(曲冒頭の旋律や第1楽章の主題が、曲全体に顔を出すいわゆる循環形式を用いていることなど)
が、ドイツ人よりドイツ的といわれるフランクの交響曲の渋さ韜晦さに比べ、ショーソンのそれは明らかにラテン系の明るさ、軽さ、そしてフランス風の洒脱さが感じられる。
「非常にゆっくりと」と指示された第2楽章、緩徐楽章でも、それは変わらない。
第3楽章。アニマと指定されたフィナーレは、オーケストラが華やかに、しかし短調で乱舞する。だが先程の冒頭の荘重な響きがそれを静かな終息へと導いて行く。ここにもショーソンらしい心地よいバランスの妙を見ることができる。
演奏はミッシェル・プラッソン指揮トゥールーズ・キャピキャピ・・・じゃなかったキャピトル(市立)管弦楽団。(1976年)(LP:仏EMI 2C069-14086)(日本盤だとEAC-40184)
他に古いところではアンセルメやミュンシュの演奏もあるようだ。
(ところでこの作品の1891年の初演は失敗といわれ、あのドイツの大指揮者アルテュール・ニキシュ(フルトヴェングラーの前任のベルリン・フィルのシェフ)が1897年にパリで演奏して、初めて喝采を浴びたというエピソードもあるそうだ。意外にそう遠くない時代のことなのだ。)
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