クラシック歳時記in松本 (あるいはモーツァルトとともに1年を)

今春発売の内田光子/テイトのCDでようやく好きになれました・・・モーツァルト ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」

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2月28日(火)雨

 この週末、あわただしく出発したイタリア旅行から帰ってきた。

 そもそもこの旅行、職場の同僚が3年間の担任を終え、生徒は自宅研修で卒業式を待つばかりの2月。4月からは中学の勤務に戻ることが決まっていて、(そうです、職場はHigh Schoolなのでした!)

 彼の奥様の「あなた、中学に戻ったらもうこんな優雅な時間はないわよ。今のうちに海外旅行でもしたら?」と山内一豊のお内儀のような涙の出るような言葉がきっかけ。

 格安pack tourを探したところ、台湾がいつの間にかイタリアということになり、一人では心細いということで、私もお相伴に与る(同行する)ことになった次第。

 職場の皆様のご理解とご協力で実現した、とにかく急転直下の話でした。

 さて型どおり、ミラノ、ヴェローナ、ヴェネツィア、フィレンツェ、アッシジ、ローマと駆け足で駆け抜けたのですが、まずお天気は地理の教科書の通り(イタリアに代表される地中海性気候は夏暑いが乾燥していて、冬は比較的暖かいが雨が多い)冬の雨、また雨。

 唯一雨でなかったのはヴェネツィアだけ。だから一番印象深いのは「水の都」ヴェニス。海の向こうに、まるで蜃気楼のように揺らめき立つ、おそらく世界で二つとないuniqueな街。

 プラトーから船に乗って、ヴェネツィアに近づく時、期せずしてあの(ミラノの貴族出身の)ルキノ・ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」の冒頭、朝靄の中をマーラーのアダージェットとともに船が現れるシーンが目に浮かんだ。

 いつか再訪して、あのリド島の海辺で、あの美少年タジオの面影を求める日々を過ごせたら・・・などと現実味のない夢想に耽った。

 (なお余談だが「ベニスに死す」のトーマス・マンの原作では主人公アッシェンバッハは美術史か何かの教授という設定になっていたのを、ヴィスコンティは真のモデル、グスタフ・マーラーを思わせる音楽家(指揮者)に代えた脚色はさすがだ。

 それでこそ、最後に死化粧したアッシェンバッハがタジオを求めながら海岸で死んでゆくラストシーンが生きる。アッシェンバッハにとってのタジオは音楽家マーラーにとってのモーツァルトなのだ。

 マーラーが死の床で最後に言った言葉は「モーツァルト・・・」だったという。この世では求めても得られない美そのもの。)

 期待していたフィレンツェとローマでの自由行動日は、ひたすら雨。しかしウフィッツィ美術館、アカデミア美術館、ヴァティカン博物館、コロッセウム、フォロ・ロマーノと雨の中を歩いて、

 世界史の教科書に出てくる古代ローマとルネッサンスの絵画や遺跡は、ミラノのサンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会にあるダ・ヴィンチの「最後の晩餐」以外は、殆どこの目で見ることができたのが、何よりの収穫でした。

 ボッティチェルリ「春」「ヴィーナスの誕生」、ミケランジェロ「最後の審判」「アダムの創造」「ダヴィデ像」「ピエタ像」、ラファエロ「アテネの学堂」…。

 (期待以上だったのが、フィリッポ・リッピの「聖母子と天使」ジョットーの「小鳥への説教」と同じくフランチェスコ教会の「夕陽のマリア」。)

 とにかく、今まで「見てきたような嘘」を授業で喋っていたのが、これからは多少は「見てきた本物」の話ができるということになります。

 またミラノでは思いがけずスカラ座の内部の客席をガラス越しではなく、生で見渡すことができたのも感激もの。ちょうどオーケストラが練習の音出しをしているところを…。

 それも含めて、これからは「等身大のイタリア、等身大の西洋文化」を語ることができるように思う。過度に誇張(崇拝)もせず、またいたずらに過小評価もせず。

 簡単に書くつもりが、日付が変わってしまいました。

 これからの「クラシック歳時記」の中で、また触れることもあると思うので、今日はこの辺にしておきます。

 おやすみなさい。zzzzz…。
 

 P.S. でも正直に告白しよう。はるばる東洋からやって来て、自分にとってのルネッサンスの象徴であるボッティチェルリの「ヴィーナス」の前で、僕はさめざめと泣けてしまった…。

 

 

 

 
 
 

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