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1月8日(日)晴れ
1/5は小寒(少し寒い)だった。ここから1/20の大寒(大いに寒い)までが1年で一番寒い季節。
暦通り、ここ2,3日松本は最低気温がー11℃の日が続く。最高気温も零下の真冬日。
小さいころからの感覚でいうと、いちばーん寒いのが昔の成人の日、1月15日頃。記憶にあるのが中1の成人の日。マイナス15℃だった。
あまり氷点下になったことのない所にお住まいの方に、零下の温度の感覚をお話すると、松本で今朝は寒い!と思わず口に出すのは大体マイナス10℃以下。「言うまいと思えど今朝の寒さかな」
マイナス10℃を超えるとどうなるかというと、歩いていて顔が痛い。そして普段意識することのない鼻の中の水分を意識する。つまり鼻の中の水分が氷り始めるのだ。
そしてマイナス15℃になると、それが霜柱みたいになって(もうちょっと綺麗な言い方をすればダイヤモンド・ダストのようになって)内側から鼻の粘膜に刺さるのです。
(暖かい地方にお住まいの方には想像できない世界?)
さてもう松の内もすんで、とっくにお正月は済んでしまったが、この3連休明けの10日から本格的に新年の仕事が始動するということで猶予を頂いて、もう1つ2つ、新春に相応しい(と僕が思っている)曲を紹介しよう。
今日はベートーヴェンの「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」。
曲の説明の前に、このブログでベートーヴェンの作品を取り上げるのは多分初めてだと思う。
僕にとってべートーヴェンというのは、あまり季節感と関係のない作曲家というイメージがある。
確かにヴァイオリン・ソナタ第5番「スプリング」とか交響曲第6番「田園」とか、いかにも春らしい(あるいは若葉の季節のような)自然描写に優れた曲もある。
しかしそれ以外には、ベートーヴェンの曲というのは、ある意味自然や季節とは関係のないところに成立している音楽ではないだろうか。少なくとも僕はそう思っている。
着想するのが田園の中の散歩の時だったり、森のカッコウの声を描写した音楽を書いていたりしているが、出来上がった作品は非常に人工的なもので、自然よりも人間の営為を強く感じさせる。
つまりある季節が来て、ベートーヴェンの曲が聴きたくなることはあまりなく(全然なくはないが、)生活の中で非常に感激したり、興奮したり、悲しんだり、そういう人の感情の高まった時、あるいは改まった気持ちになった時に聴きたくなるのが彼の作品ではないだろうか。
したがって季節感という点でいうと、自然界にある四季ではなくて、新春とか年末とか、人間が人工的に作った時間の区切りに、人は何となくベートーヴェンの曲が聴きたくなる。
そう考えれば、年も押し迫った年末に日本人がやたらと「第九」を聴いて、越し方この1年を振り返る気持ちになるのも理由があることのように思える。
またその反対に「1年の計は元旦にあり」ということで、今日から気持ちを新たにという気分になったり、またお正月らしい清澄な、荘重な、厳かな気分に浸りたい時に「皇帝」であれ「大公」であれ、ベートーヴェンの曲はどれも合うのではないだろうか。
このことについてここでこれ以上書くと、まさしくベートーヴェンの曲のようにくどく、理屈っぽくなってしまうので、今日はこの辺で止めますが、上記のことはやはり彼の創作の根底に「苦悩を通して歓喜へ」という思想があるからではないかと指摘しておきます。
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さて「ロマンス」である。これはベートーヴェンの比較的初期に書かれた作品で、古典的形式感のある、柔和な、そして優美な旋律の曲である。
特に第2番ヘ長調の旋律というのは大変有名で、(ベートーヴェンの書いた旋律としてはあの「エリーゼのために」くらい有名?)大抵の方はどこかで一度は耳にしているメロディだ。
曲は2曲とも演奏時間7、8分のロンド形式の簡素な小品で、オーケストラが伴奏するヴァイオリン独奏曲。だからヴァイオリン協奏曲の第2楽章(緩徐楽章)が独立した作品と思えばいいでしょう。
書かれたのが1802〜03年、ベートーヴェン32歳位の作品で、作品番号から見て一番近いのが交響曲第2番Op.36。作曲家としては交響曲第3番「英雄」で彼の個性を確立する前の、ハイドン、モーツァルトなどのウィーン古典派の流れを受け継いだもの。
彼の作品としては極めてリラックスして聴け、先程述べた清澄な、清新な気分にさせてくれる佳品で、優美な調べのヘ長調の第2番の方が有名だが、私はどちらかといえば地味だがより荘重さを感じさせる第1番の方が好きだ。
そう、他の曲(Vn協奏曲)に例えると第2番はメンデルスゾーンのVn協奏曲、第1番はベートーヴェンのVn協奏曲という感じだろうか。
また建築物(古代ギリシア建築)に例えると、第2番は優雅なイオニア様式の柱、第1番は荘重なドーリア様式の柱ってイメージかな、僕の場合。
皆さんはどちらがお好きですか?また2つの曲のイメージはどんなですか?
演奏は、僕が持っているのはすごーく古いユーディ・メニューイン(Vn)/フルトヴェングラー指揮フィル・ハーモニア管弦楽団(1953年)(LP:EMI AB-8039)と、かなーり古いアルテュール・グリュミオー(Vn)/エド・デ・ワールト指揮ニュー・フィル・ハーモニア管弦楽団(PHILIPS 17CD-57)しかありません。
ちなみに1982年度レコ芸「ベスト・レコード300選」(古くてすみません)では
ズーカーマン/バレンボイム/ロンドンPO ・・・17点
スーク/マリナー/アカデミー室内O ・・・16点
ハイフェッツ/スタインバーグ/RCASO ・・・16点 と続き、
グリュミオーも14点、メニューインも9点獲得しています。
皆さんイチ押しの「ロマンス」の演奏も、お教え下さい。
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