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シュテファン・ルキアン(Stefan Luchian)も近代ルーマニア絵画の代表的画家。やはりパリへと渡った彼は、フランス印象派から大きな影響を受けたという。が、彼の絵はどちらかと言うと、ポスト印象派に見られる、象徴主義的な雰囲気が目立つ。近代ルーマニア絵画の三大画家に数えられる、グリゴレスク、アンドレエスク、そしてルキアンのなかで、一番近代的な画風の画家は、このルキアンのように感じる。 |
写実派
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写実派 Realism
対象の美醜に関わらず、現実をありのままに表現するのが特徴。
率直な主題を、理想化せずに、また形式論に追従せずに描いた。また、現実に対する関心から、農民や労働者の像、身近な風景などをモティーフとした。
社会的背景に、産業革命による物質生活や自然科学の進歩、資本主義社会の成熟、それらの反面として、労働・社会問題の深刻化、などがある。
現実に対する姿勢は、印象派に影響を与えた。
代表的な画家は、コロー、ミレーなど。
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アンドレエスクはこういう、スカーフを頭に巻いた農婦の絵をよく描いている。スカーフというのは、農村の女性特有のスタイルなんだろうか。トゥールーズ=ロートレックが、モデルの赤毛を描きたくて、わざわざこういうふうに表情の隠れた横顔でモデルを描いたという話を聞いたことがある。この絵も、黄色いスカーフにスポットを当てて描きたかったのかも、と邪推できるのだが、それくらいパートカラーのスカーフが印象的な農婦。 |
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イオアン・アンドレエスク(Ion Andreescu)も近代ルーマニアの代表的画家の一人。絵の修行のためにパリへと渡り、グリゴレスクに刺激されてバルビゾンで絵を描いた。貧困と病弱に付き纏われていた彼は、孤独な生活のなか、絵と対話しながら制作する類の、感受性の強い人だったのかも知れない。彼の絵はバルビゾン派の多くと同様、リリカルで、自然の造形に対する彼の興味と愛着を感じさせる。帰国した翌年、結核で死去。享年32歳。 |
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グリゴレスクはルーマニア独立戦争の際、画家として従軍。前線のルーマニア兵や、敵国トルコの捕虜たちの姿を描いた。こういうところも、彼がルーマニアで国民画家として評価されている理由の一つなのだろう。いわゆる歴史画とは異なり、戦争画というのは全然ドラマチックではない。そして絵がこうしたテーマを取り上げなければならなかったこと自体が、深く悲しい。 |
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この絵のモデルは、同じくフランスに渡り、バルビゾンで絵を描いたルーマニア画家、イオアン・アンドレエスク。輝く外光に抱かれた同郷の仲間を描いたこの絵は、あの頃のバルビゾンの森を描いたにしては溌剌としていて、モデルは思い出のなかにいるみたい。実際、アンドレエスクは、若くして世を去っている。 |




