|
ヒックスの絵は女性像が秀逸。この絵も、宗教画というよりは女性の絵。エフタは聖書の人物。彼は戦勝を得るため、凱旋する自分を一番に出迎える者を主に献げると誓うのだが、さて、彼を出迎えたのは自分の娘だった。後悔するエフタに娘は、しばし時間が欲しい、山々に出て、処女のまま死ぬことを嘆き悲しみたいのだ、と願う。だから、エフタの娘の嘆きというのは、男を知らなかったことへの嘆きらしい。 |
アカデミズム
[ リスト | 詳細 ]
アカデミズム Academism
アカデミーとは、正規の美術教育や技術習得を目的とする美術学校のこと。美術界に対する権威も付与されていた。
1664年、フランスで王立絵画彫刻アカデミーが創立され、美術学校と公式の展覧会を支配するようになった。18世紀、この例にならってヨーロッパ各国にアカデミーが生まれた。
「アカデミズム」は主に、19世紀半ば、その伝統を墨守した保守的傾向を指す。
新古典派の伝統にもとづいて、高度に完成された様式、特に滑らかな仕上げにより、歴史や神話の主題を道徳的に表現するのが特徴。
同時に、新しい市民社会の趣味に対応したため、浅薄で卑俗な一面も現われるようになり、新古典派の様式、内容は形骸化しつつ残存することとなった。
代表的な画家は、ジェローム、カバネル、ブーグローなど。
|
ヒックスはもともと、こうした風俗画で成功した。ビクトリア朝時代には、家庭のドラマを盛り込んだ、ちょっとセンチな風俗画が人気だったとか。手紙を手に頭を抱える男。すがりついて懇願する女。いくらでも詮索できそうな場面だけれど、当事者にはなりたくないもんだ。 |
|
ジプシーはよくあるテーマの一つ。オリエンタリズムというのとは違うが、どことなくエキゾチックなムード。だから西洋画家はジプシーを好んだのかな。漂泊の民。浅黒い肌、黒い瞳と髪。音楽、踊り、占い、そして盗み。んー、どうも私のイメージは淡白。ジョージ・エルガー・ヒックス(George Elgar Hicks)はイギリスの画家。 |
|
例えば、日常的に字を書くのと同じように、誰もが普通に絵を描くとすれば、字が筆跡を持つように、それぞれの絵は自然と異なる持ち味を出すに違いない。そうなれば、どの絵も各人のセンスで評価されるし、奇をてらう絵は居場所をなくすし、標準偏差の真ん中あたりに位置する絵も凡庸という個性を持つし、絵を描いているという理由だけで自分を特別の存在と自負する輩もいなくなる。良いことずくめ。……駄目かな。 |
|
アンジョルラスの描く女性は、暖色の明かりに照らされている。彼女を包む部屋は、ほとんどその反対色。この色彩の対比のせいか、女性たちは、どうということもない仕種でどうということもない行為に携わっているにも関わらず、どことなくミステリアスなムードがある。いかにも神秘的でなさそうな状況に漂う神秘性って、なんだか神秘。 |



