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「父さん!!父さんの友達を連れて来たよ!!」 少年の家の裏で中年の男が一人畑作業に精を出していた。 「友達・・・?」 少年の父親は手を止めて振り向いた。 「久しぶりだな、ガイル」 しばらく俺の顔をジッと見つめるとガイルの手はワナワナと震えだし、目には涙を浮かべる。 「・・・シ・・・シード・・・将軍・・・ご無事だったんですね。」 ガイルは俺の元へと駆け寄りその足元にひざまずいた。 ガイルは俺を家の中へ招いた。 粗末な造りの最低限の家具だけが置いてある質素な家だ。 ガイルは蓄えの食糧や酒を惜しみなく出し、俺をもてなしてくれた。 「ロイス、このお方はなぁ、ハイランド王国の将軍だったお方だ。ハイランド一の剣士だったんだぞ。」 「へぇ、すごいやおじさん。将軍だったんだ!ねぇねぇ俺の父さんの強かったんだろう!?」 「もちろんだロイス、お前の父さんも勇敢な戦士だったんだぞ。それに俺はおじさんじゃない、シードだ。」 ロイスははしゃいで俺に王家の話や戦の話などをせがんだ。 俺はロイスが目を輝かせて聞いてくるのがうれしくてしばらく昔話をしてやったが、そのうち彼は疲れて眠ってしまった。 「お前の息子いい子だな。」 「・・・ロイスは私の本当の子供ではありません。」 「・・・・・・?」 「あの子は戦争孤児なのです。先の戦で両親を失い、焼け跡で一人泣いている赤ん坊のあの子を拾い今まで育ててきました。」 「・・・そうか。」 俺はグイッとグラスに注がれたワインを飲み干した。 「ところでガイル、さっきロイスが村の子たちにいじめられていた。父親が腰抜けと罵られていたがどういうことだ?」 「・・・少し前のことですが、ハイランド王国を復活させようという元王国兵の残党達が現れて私にも協力の要請があったのです。」 ハイランド王国復活という言葉に俺は固唾をのんだ。 「それでお前は何て答えたんだ。」 「・・・断りました。何不自由ない暮らしとまではいきませんが、ロイスと2人のこの静かな生活に私は今幸せを感じているのです。・・・王国が滅んだ時、私はいっそのこと自害しようかと思いました。あの頃の私は軍人であることに誇りを持っていましたから・・・。そんな時ルルノイエの町外れで一人泣いているロイスを見つけたのです。そばには彼の両親が冷たくなっていました。こんな小さな赤ん坊が生きようとして一生懸命泣いている姿を見たとき、命の尊さを思い知らされたような気がしたのです。そして私はこの子の親代わりになってこの尊い命を守ろうと決めたのです。・・・・・・私に協力の意志がないと知ると残党兵たちは殴る蹴るの暴行を加え、さらに村をも荒らしていったのです。ロイスをいじめていたのは村を荒らされていたことをうらみに思っている人々に吹き込まれた子供たちなのでしょう。」 「そんなの逆恨みだろう。それなのにどうしてお前はこの村を出ないんだ?」 「この村は私の故郷です。私の両親もこの地で眠っている。それに私達親子に親切にしてくれる人もたくさんいるのですよ。」 「そうか・・・」 俺はガイルの話を聞くまで、ヤツのことをハイランド侵攻軍に誘おうと思っていた。
ヤツは俺の思惑を察してこんな話をしたのだろう。 ヤツにはヤツの幸せがある。 俺には俺の・・・・・・ 俺はガイルに見送られながらカレリアへの帰路についた。 |
幻想神殿書庫(小説)
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うわあ〜いいですね妄想小説!確かにハイイースト動乱はいまだ謎のままなので気になりますよ!シードが主役なのもいい感じです(シード大好き)ワタリさんとかもこのあと出てきそうですね(笑)楽しみにしてます
2006/7/9(日) 午後 1:48
水流さん、いらっしゃいませ〜。コメありがとうございます〜(T_T)しかもシードお好きだったとは!!うちのブログはほとんどギリシア神話か西洋絵画目当てにいらっしゃる方ばかりだと思うので、幻水の記事に反応して下さる方が全然いないんですよ〜!それでもしつこく幻水について語り続けますけどね!!これからもよろしくお願いしま〜す☆
2006/7/9(日) 午後 2:34 [ chinami ]