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母がぞんざいに字を書く兄に「もっときちんとした字を書きまっし」と助言する。
「ほっといてくれ。字なんか自分がわかれば良いんだ」と反発が走る。
それ以来、誰にも言わず一人歩きながら考える。「字はなぜきれいな方が良いのか」「そもそも字とは何か」「なぜ字がきれいな人とそうでない人がいるのか」
ずっとずっと考えているとはっと思いつく。
「自分が分かるだけでいいものであれば、字が生まれるだろうか。字は自分の思いを他人に伝えると言う必要があったから生まれたのだ。一人にしか分からないものだったら自分の思いを他人に伝えられないではないか。ということは誰にでも分かる字を書くことが字を覚える上で大切なことのひとつなんだ。生まれつき僕のように字の下手の人間がいる。下手はしょうがない。少なくとも読んでもらいたいと言う誠意が字ににじむ様に努力することではないか。それが丁寧に書くことだ。よしこれからはできるだけ丁寧に字を書く努力をしょう。」
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