人工光合成

人工光合成の完成・発達によって人類は動物がもつ「生きる=他の生命の殺し」という宿命から自己解放できる。

書評

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ジャンピング・マウス

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  他人の幸せを作るために生きる、それが最もすばらしい生き方。, 2006/4/7


 桃太郎を聞かされるたびに思ったもの。天下の大悪党の鬼をこらしめるのは大賛成。だがそのあとがいただけない。金銀財宝を持ち帰って幸せになりました。泥棒のうわまえをかすめたに過ぎない。こんな結末に何の意味があるのか。どうしても分からなかった。それに犬や雉、猿には何の分け前も与えないのは、欲が深すぎませんか、桃太郎さん。使うだけ使ってぽいをする男はいやだね。見下げたやつだ。

 白雪姫・シンデレラはかわいいだけで、何にも社会に貢献していない。かわいいだけが成功の唯一の要件の童話は気がめいる。王子様という親の権威と財宝だけを頼りに女をあさっている男と所帯を持ったらろくなことにならない。めでたしめでたしと言われても、言っている人のおつむがめでたいだけでしょうと思っていたものです。

 ジャンピングマウス君には衝撃を受けました。死に行くものに、苦難の旅に絶対に欠かせない両方の視力を与えてしまう、この精神の大きさに驚嘆しました。生きていく上に欠かせぬものを、死に行くものを前にして逡巡せずに与えきることが果たして私にできるのか。ジャンピングマウス君はまだまだ若い。野牛や狼さんは十分世渡りをして老い先短かそうだ。自分の視力を与えて、果たして与え甲斐があるだろうか、などと考えて、どうしても逃げの姿勢をとりそうだ。こんなすごい突きつけをされたのちは前に進めない。ジャンピングマウスの大きさと私の小ささが交錯して苦しい。聖なる山を探しての苦難のたびを続けることさえすさまじいのに、それなしには生きる意味がないとさえ思えるものを惜しみなく与えて他の生命を救うことの意味を追求したい。
いいや答えがここにあるのではないか。生きるとは他人の幸せを作ること。他人の幸福を作って初めて永遠の生命を獲得し、世界の全てが見通せる位置と力を手にできるのではないだろうか。そんなことを教えてくれる力強い書です。解題は全く不用です。

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  多数の利益のために少数者の利益を犠牲にすることは本当に許されるの?, 2006/9/15


 どの顔も輝いている。

 みんな、おちついたほほ笑みをなげかけている。

 安心感があふれている。

 生命の躍動にみなぎっている。

 ほとんどがお年寄りなのにくったくがない。
 
 笑顔がとってもとってもすばらしい人間の宝であることを教えてもらいました。

 毎日毎日自分の力で生きている人々の姿があります。

 ずっとずっと昔の先祖からいただいた貴重な田んぼ、畑、山々、あぜ道、村道、小川、潅漑用水、つり橋、犬、猫、鳥、うさぎ、とんぼ、ちょうちょう、納屋、動物小屋、母屋。そのすべてに先祖の一人一人の全歴史がつまっている。その安心感が背後にある。その人々への感謝の気持ちが奥にひそんでいる。
 
 自分の毎日のつらい労働が、その先祖の財産に、1つも2つも新たな財産を追加してきた充実感があふれている。

 つらい労働という人間同士の連帯感でなくなった先祖とつながっている。村のみんなとつながっている。

 そんな写真集でした。
 
 この人たちを追いやり、自殺者まで出しているという事実としっかり向かいあわなければならない。

もうそろそろ、「少数者を犠牲にした多数の幸福」という構図から脱却していいほど、私たちは豊かになり、賢くなっていいのではないでしょうか。

信貴山縁起絵巻

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 巻く舌は一枚や二枚ではすまない。, 2006/9/18


 著者の美術史に対する造詣の深さのおかげで至れり尽くせりの本に仕上がっている。

 信貴山縁起絵巻を鑑賞するうえでまたとない解説書である。

 人間の慌てふためく姿をたしかな筆で活写する芸術的力量に驚く。
 12世紀にかくも豊かに喜怒哀楽を表出する人々がいたことに驚嘆しつつも嬉しくなる。それをみごとに描いた名人の技に万雷の拍手をおくりたい。

 特に、山崎の長者の顔がいい。最初の2景での驚く顔の壊れぐあいと、米蔵がみごとに飛んで空を滑空することを見極めたあとの落ち着いた顔の変化にはビックリ。どんな事態が次に発生しても受け止めようという度量の大きさを感じる。安堵感と感嘆が同居している。

 どの男性も帽子をかぶっておしゃれだ。

 底辺で社会の基礎を支えている庶民の姿が豊かに描ききれているのが気持ちいい。苦しい労働で社会を支えているもののおおらかさ、屈託のなさがうまく出ている。

 たしか孫悟空は雲に乗って、じっと動かず如意棒を握って行く手を眺めていた。ここに出てくる「剣の護法」は雲に乗りつつ走っている。
 アインシュタインの説によると、光の先端に乗って光を出しても光以上には速くならない。
 「剣の護法」はいらぬ悪あがきをしている。

 でも、「剣の護法」は走っている動作ですごいスピード感を生みだしている。F1のシューマッハ、かつての超音速のコンコルドをこえるでしょう。そんな迫力を感じます。たぶん、「スピード」という感覚が全くなかった時代に、時代をはるかに越えた絵師の才能を感じる。

 馬が必ず出てくる。必ず歩いている従者が従っている。これじゃ徒歩旅行とスピードは変わらない。
 その上、長旅には食料の調達が大変。馬は大食漢。宿場制度が整備されていない時代。2人の従者が運んでいる背中の荷の大半は馬の餌ではなかったか。
 それでも馬を使う理由はなにか?
 信貴山に行くことが困難な事業であることを視覚的に表したかったのではないか。ここにも絵師の創意と工夫を見いだす。
 

わが心の大伴家持

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歌を忘れたカナリアが本当にいた!!!, 2006/10/29


 万葉集の最終的編集責任者にして、最大の歌を残した奈良朝最高の歌人大伴家持。

 まぎれもなく日本歌壇史上に燦然と輝くうたびとがなぜ筆を折ってしまったのか。

 それ以後26年も因幡、薩摩、伊勢、多賀城と武人として生き抜き、官僚として政務をこなしながら、一句だに歌っていない。

 私なりの推測をここに仮説として提起してみたい。

 まず、 歌人として万葉集の編纂をもって精根傾け尽くした。史上最高の歌集を作り終えた満足感で1杯であった。柿本人麻呂もなしえなかった最大数の歌を万葉集に残した。歌人として、これに勝る名誉は考えられない。防人の歌も載せ、完ぺきな歌集に高めたという、自負があった。

 第2に、編集し終えた万葉集は、編集者である自分の歌が最大になった。他の歌人、貴族、政治家からのやっかみ、批判が雨、あられと家持に降り注いだことだろう。

 3番目に、「海ゆかば」で最大の長歌をささげ、天皇に最大級の賛美の歌を捧げたにもかかわらず、大仏開眼という日本の歴史上最大の晴れやかな行事に参列しながら、このうたびとは口をつぐんだまま、語る言葉を持たない。すでに政治的に歌を利用することを放棄しているのである。「海ゆかば」で、一方的な、底抜けの天皇への盲従を鮮明にしてしまった以上語る言葉が見つからなかったのではないだろうか。賛美が激しかったがゆえに落胆・絶望・悔しさ・情けなさだけが募り言葉を失ったのではないだろうか。

 それに加え、大伴一族への風当りが日増しに厳しくなっている。大伴一族のかなめとして、自分の言動1つで、いつ暗殺、拷問による虐殺の災難が降り かかるかか分からない。

 大仏開眼以後、歌に「憂い」が入ってきた。命芽ぐむ春の日に「霞」を見ても「群竹」の音を聞いても、「雲雀」あがるをながめても、心悲しむのは、もはや歌の世界の悲しみではない。生きることそのものに気力を喪失している。この謎はさらに追及していきたい。

城山三郎「価格破壊」

城山三郎の「価格破壊」を読み終わり,深い絶望感にさいなまれています。

ここで描かれている男は戦争から何を教訓化したのでしょうか。
戦争を戦後の平時の一般流通過程に持ちこんでいるだけです。
 敵と見たてた製薬会社,零細小売業者,専門店の良心的な人々が負けていく。
 文字通り死んで行くのに何の感慨も持たない。仕入れ業者が1円で苦しんで値上げを要求しても飲まない破廉恥漢に成り下がっている。
 札束という大砲より,機関銃よりも有効に人を殺せる武器を振りかざして次ぎから次ぎと相手を殺していく。そして共に戦っている仲間とも言える仕入れの人々さえ,切り捨てる。

 おぞましい限りの殺人図である。戦争中でさせ,倒れている戦友がいたら自分の生命の危険も顧みず肩を貸し,手を携えて逃げるのが勇気ある行為ではなかったのか。この主人公は戦争よりひどい悪逆非道を平時に平気で行っている男である。

 製薬会社は本来消費者の敵でしょうか。消費者を喜ばせるという目的だけで買い叩いていいものでしょうか。

 すさまじいほどこの小説には生産者の創造性と新薬製造にかける研究者のひたむきな努力に対する尊重。またその基礎における野口英世が自宅に帰っても台所で試験管を振り続けたような情熱と真摯な態度に対する人間的な尊敬が微塵もありません。
 唾棄すべきひどい主人公です。
 こんな人類の敵とも思える人物像を描ききった城山氏はすごいといえるのでしょうか。ここから読者が正確に否定すべき人物として受け止めることができれば偉大なる文豪でしょう。しかし文庫版に出ている小松伸六氏は主人公の矢口を「情熱の権化」の「救済者」と肯定している。創作者の力不足か、あるいは評論家の太鼓持ち根性の現れか,あなたはどう取りますか? 私は両方とも妥当だと思います。

 筆者の城山氏はこの人間をこの主人公を否定的に捕えきれないで描いてしまった。すなわち商品の生産される創作過程での人間的営為に対する尊重から始まるべき正当な価格とは何か、という問いかけは主人公からも書き手の側からも一回も発せられない。明らかに筆者の視野の狭さの現れである。

 殺された零細規模の小売商店,専門店の苦悩の出し方が弱い,消費者が実は大量消費の愚かな罠の中に取りこまれている現実に筆は進まない。目玉商品にだまされて「安い」背後ですざましい利益を献上し,この殺人機械を助け・助長してしまっている矛盾には言及がない。筆者の人間を見る幅の小ささに唖然とする。

 戦後のアメリカから始まった大量生産・大量消費のこの無残な「戦争」は今の日本では都市構造の破壊、社会の破壊,「もったいない」「安物買いの銭失い」という美徳・賢い生き方の破壊を経て、人間の破壊に行きついたと思います。その根底には流通過程のあらゆる場面でのスーパーの無法を放置したことに大きな責任があるように思えてなりません。町の零細の小売・専門業者は公正な競争の埒外におかれ殺されたのです。

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