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涼を継ぐ 日光天然氷物語<6>オンザロック 冷たさ持続 至極の一杯
琥珀(こはく)色の液体が注がれて、氷が潤いを増した。一口含むと、グラスの中で氷が回り、「カランカラン」と澄んだ音色を響せた。
国内最古の西洋式ホテルとして名高い日光市の「日光金谷ホテル」。その一角にあるバー「デイサイト」は地元産の天然氷を使う。六年前、ホテル顧問を務める放送作家の小山薫堂さんが提案した試みだ。 「氷は酒を冷やすためのもの。オンザロックにぴったりです」。バーテンダーの福田敏之さん(36)がほほ笑む。製氷機の氷と比べ、硬く溶けにくい天然氷は冷たさが持続する。ゆっくりと溶けるほどに酒の味わいをまろやかに変化させ、至極の一杯に仕上げていく。 日光ならではのぜいたく。国内外から訪れる宿泊客は残った氷を「もったいない」と部屋に持ち帰るとか。子どもから大人まで誰もが楽しめるかき氷に比べ、オンザロックは大人だけに許された極上の天然氷の楽しみ方だ。 グラスは明治、大正時代からホテルに伝わる年代物。日光の天然氷造りと同じ長さの歴史を持つ調度品が、優しく氷を包み込む。福田さんは「氷を造る人がかける手間と時間、そして真心を、お酒と一緒に届けたい」と語る。 店内に響くジャズと、客のひそやかなささやきが混じり合う。昼間の喧騒(けんそう)を忘れ、ゆっくりと更けゆく夜は、まさに真夏の夢のよう。大人たちの時間に、乾杯−。 |

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