宮坂啓象ブログ〜真の「美しさ」とは〜

真の「美しさ」とは何かじっくり考えてみましょう

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 白鳥映雪さんは父母の役割を教えてくれています。
 日本画家の最高峰の白鳥映雪(えいせつ)さんは先月6月15日95歳で亡くなられました。この方は信州佐久地方のご出身で、多くの作品は故郷の美術館に所蔵されております。
 白鳥さんの描く女性像の魅力と、隠退して住んでいる私の故郷と近い佐久地域出身ということが重なって、これまでも親近感をもっていました。

 白鳥さんは長期の立派な画業に加え、4年前に脳梗塞で右半分の身体能力が著しく低下し、右手では絵筆がもてないという大変な状況に置かれながら、翌年には絵筆を左手に持ち替えて以前に変らない作品を残されました。
 この絵の制作についてのドキュメントは平成16年NHK長野放送局で製作され、全国放送されました。
 
 この白鳥さんの絵画制作への不屈の精神力に全国の人々は衝撃を受けました。
 特に、後遺症になやむ多くの人々に白鳥さんは頑張って生きる勇気を与えたのです。
その時に描かれた「霧の女」には霧の中に立つ若く美しい女性の上半身が描かれています。

 画業以外のことで白鳥さんに胸を打たれた言葉があります。
 それは当時九十歳を越えた白鳥さんが、「母には抱いて貰いたかった」、「父には褒めて貰いたかった」と云われたことです。上のNHKのドキュメントで語られた言葉です。

 これは一歳のときに母が亡くなり、さらに若くして父親を失った白鳥さんの境遇が言わせた言葉ですが、これを九十歳を越えた方が言われたことに、心を打たれたのです。
 
 「母に抱いて貰いたかった」という意味は、「自分が母親に抱かれていることを認識し、記憶できる年齢で抱かれたかった」、ということでしょう。
 抱かれたことは間違いないのですが、あまりに幼な過ぎて記憶になかったのです。
 母に抱かれることは子にとってなによりも大切なことなのだ、母に抱かれることが何にも代え難い幸せだ、ということを白鳥さんは告白されているのです。

 「父には褒めて貰いたかった」も、志を果たし、多くの人に賞賛され、まさに業なり名遂げた白鳥さんでも「父」に褒められることにこだわられたことに、心を打たれるのです。

 この九十歳を越えた白鳥さんの母と父への思いを表した言葉から私が受けた最大なものは、親の役割について大切なことを教えてくれている、ということです。

 実は、親との縁が短かった私には、親を慕う白鳥さんの言葉はよく理解できます。しかし、それを白鳥さんのように他人に語ることには、かなり大きい抵抗がありました。その理由は、よい大人になってそれを口にすることは、何か女々しいことのような感じをもったからです。
 しかし、白取さんはテレビの番組でそれを堂々と語られたのです。これこそ天真爛漫という言葉の意味することだ、と思われます。

 親の子供に対する役割は、つい「しつけ」にだけ向けられる傾向があります。
 しかし、それだけではなく、子供が十分に大人になって頑張ったときに、「よく頑張ったな。おめでとう、と云ってやること」もまた大切な親の役割なのだ、と白鳥映雪さんは教えてくれました。それが可能になるためにも親はできる限り長生きしたいですね。

 白鳥映雪さんの画業に改めて敬意を捧げるとともに、九十歳を過ぎてもなお、後遺症からの鬼気せまる立ち直りをされたその強い精神力が、一方では早く逝ってしまった母や父をひたすらに慕い続け、それを隠そうともしない優しくしなやか人柄に裏打ちされていたことに、驚くとともに、本当に惜しい方をわれわれは失ったことを改めて思います。

 心からご冥福をお祈りいたします。近いうちに佐久の美術館をお訪ねしたいと念じています。

 ちなみに、白鳥映雪さんの代表的な絵はインターネットの検索で無料で容易にみることが出来ます。

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