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いやはや、やっとまとまった時間ができて新八的「新選組!」の更新ができます。
このままじゃ、とてもじゃないけど年内には書き終わらないなぁ・・・(-。−;)
第17話 はじまりの死
○会津本陣金戒光明寺で容保公に拝謁する壬生浪士組。新八は前から4列目の左端、その前が斎藤、後ろが井上、右隣が藤堂。
容保「予には長州の連中のすることが解せぬのだ。彼らは事あるごとに御公儀にたてつく。しかし、上様を軽んずることは上様を将軍に任ぜられた天子様をも軽んずこと。何故それがわからんのか。」
「芹沢。」
芹沢「はっ。」
容保「予はそちたちを頼もしく思うぞ。」
芹沢「ありがたきお言葉。」
容保「尽忠報国の志のもと、精進するように。」
芹沢「かしこまりました。」
容保「他の者もよろしく頼む。」
○今日の街中を歩いている近藤達5人。隊列は、
井上 斎藤
近藤
藤堂 新八
平山と新見が通りかかり、呼び止める。
平山「おい!どこ行くんだ?」
近藤「市中の見廻りに行ってきます。」
平山「芹沢先生の御了解は頂いたのか?」
近藤「いや。」
平山「じゃあ先生に一言言ってから行け。」
新八「何故言わねばならんのだ。」
平山「精忠浪士組は芹沢先生のもんだからなぁ。」
井上「精忠?精忠になったんですか?」
平山「看板見てねぇのかぁ!」
近藤「我々には上も下もない。好きにさせてもらいます。」
※近藤を睨みつけて歩み寄る平山
新見「平山。」
「京都守護職のお達しがあるまで目立った動きはしないほうがいい。」
近藤「一回りしてくるだけです。ずっと屋敷にいると体がなまってしまいますので。」
※平山、近藤の頬を叩きながら
平山「あんまり勝手な真似するんじゃねぇぞぉ。」
※平山に掴みかかろうとする斎藤を抑える近藤
近藤「それでは行ってまいります。」
※新見、平山に向かって
新見「行くぞ。」
○【お多福】に近藤・斎藤・井上・新八・藤堂。座り位置は、
近藤 斎藤
■■■■■ 井上
藤堂 新八
井上「では、お汁粉を五つ。」
まさ「はい。」
斎藤「あ、俺は。」
近藤「遠慮するな。」
斎藤「甘いものは・・・。」
井上「甘くないものはありませんか?」
まさ「ここ、甘いもん屋さんどすから。」
斎藤「表にいます。」
※席を立って表に出て行く斎藤
まさ「お汁粉に塩入れて辛いの作りまひょか?」
※表で佇む斎藤
藤堂「先生、正直申し上げてよろしいですか?」
近藤「いいよ。」
藤堂「私は些か拍子抜けしているのです。こっちに来たら、もっとなんというか、上様を御守りして不逞浪士を捕らえ、御公儀のために尽くす毎日を想像していました。それなのに・・・。」
井上「平助。」
近藤「今、だからこうして見廻りをしている。」
藤堂「見廻りといっても町内をぐるっと廻ってこうしてお汁粉を食べて帰るだけではありませんか。」
新八「騒動が無いということは良い事だ。」
藤堂「上様の為、近藤先生の為に尽くしたいのです。」
近藤「大丈夫だ。いずれ眠れなくなるほど忙しくなる時がやってくる・・・と思う。」
※何者かから逃げているお幸を見かけた斎藤が店の中に入って、
斎藤「女が逃げている。」
※無言で頷く近藤
※斎藤が店の前を通りかかったお幸を店内に連れ込む、
近藤「いったい何があったんですか?」
お幸「どうか助けておくれやす。」
※近藤の背に隠れるお幸。4人の武士が店内に入ってくる。
武士壱「その女に用がある。」
近藤「その訳を伺いましょう。」
武士壱「その女、俺の肩にぶつかっておきながら謝りもせず逃げたのだ。」
お幸「急いてたもんですから。」
近藤「謝ったらどうですか?」
お幸「謝りました。」
武士壱「土下座して詫びよ。」
新八「お主ら情けないとは思わんのか、肩があたったくらいで。」
武士壱「その女を引き渡せ!」
武士弐「引き渡せ!」
新八「思わんのなら仕方ないなぁ。」
※近藤を見やる新八。頷く近藤。
《 殺陣 》____________________________________
新八、背後の武士壱の腹部に座ったまま左肘を突き込み、体をくの字に折った武士壱の頭部に左裏拳。倒れこむ武士壱。
それを見て新八の背中に掴みかかろうとした武士弐の右手を掴み捻りあげる井上、「落ち着きませんか。」と声をかけながら外へ連れ出す。
その横で斎藤は武士参を席に投げ飛ばし、手刀を叩き込む。
外では井上が「乱暴はやめませんか。」と武士弐を突き放す。「おのれ!」と掴みかかろうとする武士弐の右手を右に払い、武士弐の右首筋に手刀を2回叩き込む。
店内では武士肆が刀を抜く。鞘身のまま刀を手に提げた近藤が近づき、武士肆が斬りかかってくるところを鞘で撥ね上げ、もう一度斬りかかろうとするところを鐺で突き、倒す。
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まさ「強いなぁ。」
近藤「もう大丈夫です。あなたも急いでいたとはいえ、もっと注意して歩かれ・・・・・・。」
「さっきの人は?」
まさ「裏から出て行きました。」
近藤「素っ気ない。」
○会津藩公用方と壬生浪士組が壬生狂言見物に集まる。
新八は浪士組の二列目、粕谷の後ろ。右隣沖田、左隣平山。
土方「芹沢先生、表の看板なんですが、壬生浪士組に戻しておきました。」
※壬生浪士組の看板を取り出す新見
芹沢「随分と釘を無駄にしたようだな。」
阿比留「やっぱり体の調子が悪いので失礼します。」
井上「お大事に。」
※阿比留と入れ違いに久が饅頭を持ってやってくる。
久「原田。」
原田「なんだ、ばあさん。」
久「食いなはれ。」
※原田に饅頭を渡す久。
原田「へぇっ?俺だけ?どういうこと?」
※源之丞と為三郎が舞台に現れる。
源之丞「皆様、本日はようこそおいでくださりました。私、八木家当主源之丞、これは息子の為三郎にございます。そもそも壬生狂言と申しますのは、」
平山「講釈はいいから早く始めろ!」
源之丞「あ、さよか。」
○壬生狂言を見ている会津公用方と浪士組。うたた寝して饅頭を落とす原田。あくびをもらす平山、席をはずす。
平間「おい、平山!」(小声)
※それを見ている斎藤。
○壬生狂言を見ている会津公用方と浪士組。席を外していた斎藤が戻ってくる。又三郎がやって来て土方に耳打ちする。土方、席を立つ。
○壬生狂言を見ている会津公用方と浪士組。土方が戻ってきて近藤・芹沢に耳打ち。両名とも席を立つ。
○壬生狂言のあとの、会津公用方との酒宴。新八は沖田の左隣。
源之丞「普通の狂言と違うて、壬生狂言には一切の台詞がないのが特徴でございましてな。」
広沢「私が知っている牛若丸の話とは違いましたな。」
源之丞「はい、皆様おなじみの話では千本の刀を集めてるんは弁慶ですけど、この【橋弁慶】では牛若のほうが千人斬りをやってるんどす。」
秋月「どうしてまた、そういうことに?」
源之丞「なんででございますやろ。」
芹沢「あれじゃないかな。御伽草子の天狗の内裏にも確か牛若の千人斬りの話が出てくる。弁慶の千本の刀の話は義経記だから、流れが二つあるんじゃないのか。」
源之丞「いや、これはこれは。」
秋月「さすが芹沢殿、博識ですな。」
芹沢「いや・・・まずは、一献。」
新見「おい、酒が足りないぞ。どんどん持ってこい。」
又三郎「ただいま。おい、何やってる。早よしろ!」
※土方、山南に向かって、
土方「参加しろ。」
山南「そう言われても・・・。」
○酒宴のあと居残って飲んでいる土方・山南・斎藤・藤堂・沖田・新八・原田・井上。
新八「芹沢という男、意外に物知りなんで驚いた。」
井上「ああ見えてあの方は、水戸の由緒ある神社の出だという話ですから。」
山南「そういえば、牛若の千人斬りの話はジゾリ弁慶という御伽話にも出ていたなぁ。」
土方「そんとき言えよ、そういうことは。」
山南「かたくなっていたんだ。」
藤堂「しかし、面白いですよね。御伽草子だと弁慶と牛若は五条の橋で出会うのに義経記だと橋が出てこないんですから。」
土方「もう今話しても遅いんだよ!」
○八木家の一室に集まる近藤達。配置は、
土方 沖田 原田
近藤
山南 新八 斎藤 藤堂
山南「どこへ行くつもりだったんでしょう。」
土方「大阪だろ、どうせ。」
近藤「夕べ私に言った言葉は嘘だったのか。」
※井上が手紙を持って入ってくる。
井上「あの、これが表に。」
土方「殿内か?」
※手紙を読む近藤。
○八木家の一室に集う壬生浪士組。新八は沖田右横、斎藤の左横。
近藤「既にお聞きの方もおられるでしょうが昨夜殿内義雄君が殺されました。その下手人は不明です。」
粕谷「ちょっと待ちたまえ。誰が殿内を斬ったか明白ではないか。言わないだけでここにいる誰もが知っている。」
近藤「奉行所の話によれば不逞浪士の仕業ではないかと。」
粕谷「近藤さん、その男が殿内を斬るとはっきり言ってるのをあなたも聞いているはずだ。」
近藤「今はその下手人の捜索を全力で全力で行っているとのことです。」
粕谷「待ちなさい。これこそ誰が見ても仲間内の諍いではないか。」
土方「粕谷さん、言葉が過ぎますよ。」
粕谷「どういうつもりだ、近藤さん。」
近藤「以上です。」
粕谷「私はこれを懼れていたのだ・・・抜けさせてもらう。」
近藤「粕谷さん。」
粕谷「人が集まるということは、様々な意見が生まれるということ。志を異にするものを除去したところでそれは無駄だ。逆らうものは必ず出てくる。そのたびにあなたは力で押さえつけるのか。はっきり申し上げる。その先に待っているものは地獄のみ。ごめん。」
※粕谷、立ち去る。
沖田「粕谷さん!」
根岸「わしらも抜けさせていただく。」
※根岸、立ち去る。
芹沢「さて、と。飯でも食いに行くか。」
※芹沢、立ち去る。
近藤「本当にこれでよかったのか。」
※近藤、立ち去る。
土方「俺は決めた。二度とあいつにこんな思いはさせねぇ。憎まれ役は俺が引き受ける。
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