1 ひたすらに君を想えり彦星と
織女がデートの七夕の宵
2 地球とふ星70億の人のうち
君のみ想う七夕の夜
3 天の川に二つの星の相寄るを
偲びつつ眠る独りのベッド
4 雲低く垂る七夕の夜にして
二つの星の逢瀬隠しつ
5 梅雨明けて風爽やかに七夕の
星は優しきおみなの如し
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1 たんたんと書かれし麻痺の人の本
読みて気高きその意志しのぶ
2 麻痺われの荷物を背負うわが妻に
報いるすべの無きぞ悲しき
3 リハビリの老体支え歩ませる
職員の手の細くしなやか
4 下着脱がし全身くまなく洗いつつ
職員は暗き顔一つせず
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* 死ねと言われしこともありしと身障の
重度のおみなふと漏らしけり
* 職員の声あたたかく優しくて
陽もうらうらと施設を包む
* メドレーが流れてリハビリ始まりて
人ら物憂くルームに集う
* 囲碁の組カラオケの組トランプの
組など午後はくつろぐホーム
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* パソコンのネットをややに立ち上げて
時世見回す老いの手すさび
* 久々に友と会いたり車椅子の
影先てて日暮れを帰る
* 川沿いは風のあるらし杉花粉
橋のあたりを彩りて散る
* 色淡く優しき絵を描く老人の
姿もホームに見えなくなりぬ
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* 身障のおみなが持てるハンカチは
リハビリの汗と涙吸いけむ
* やや先に使いし人の熱ならむ
平行棒がほのか温くたし
* 認知症の翁は悲し先立てる
息子の帰宅指折り待つも
* 家族つれ戦中戦後を男生き
老いて施設にぼんやり坐すも
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