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このお話、僕の身の回りの環境があまりに急激に変わってしまい、現地取材が出来なくなってしまいました。
再開の見込みがないのですが、最終回のみ出来上がっているのでなんとか仕上げたいとおもっています。
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こんにちは、ゲストさん
明石小説「特急 はまかぜの詩」
詳細
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このお話、僕の身の回りの環境があまりに急激に変わってしまい、現地取材が出来なくなってしまいました。
再開の見込みがないのですが、最終回のみ出来上がっているのでなんとか仕上げたいとおもっています。
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(透はここで新幹線を作っています。)
仮設の店舗は稼働を始め、明夫、直子とひろ子3人の「はまかぜ」は明石の本町商店街
から再スタートを切った、
明石電車区や明石駅。大久保駅の弁当は思った以上に元通りに近い注文をもらい、
ここはやはり直子の顔で切り抜けた感じである。
明夫は親父さんの大事に使っていた明石焼きの鍋を手に持ち、わずかな油を塗ると
深呼吸をした、「この鍋だけ残すなんて・・親父さん、オカミさんはこれだけは大事に抱えていました。わあ・・この意味を、この街でずっと考える事にしました。
わと直子をどうか見守っていて下さい、親父さんの明石焼きは、わがしっかり引き受けました。きっと明石の代表的な店になるように、がんばります」
目を開けた時、一人の客が入って来た。
「持ち帰りで3つ頼むわ・・・」「はい、ありがとうござい・・透さん!」
長田からオカミさんの息子の透がやって来たのだ。
「ようやく再開やな、直子さんは配達か?」
「はい、駅や車庫の方は直子やひろ子ちゃんでないと、苦情がくるのですよ(笑)」
透は出されたコーヒーをすすると明夫に言った
「今日は夜勤明けで、明日俺は休みなんやけど、久しぶりに長田でどうや?おごるし・・出来たら男同志がええな」
嬉しそうに手で「一杯」のゼスチャーをする透は少し疲れていたようだが
声は元気だった。
翌日、事情を察した直子はひろ子にまかないの用意をしながら快諾し、明夫は電車にのり新長田に向かった。
「どこか良い店があるんですか?ぐおッ!水がッ!」
「そこ・・噴水やから・・気をつけて・・」
地面からじわりと噴き出す噴水をよけながら南のロータリーを歩き、地下鉄に乗り換え
苅藻に向かうとそこにある小さな居酒屋に案内された
そこは明夫の知る神戸とは違った、どちらかと言うと懐かしい感じのする街並みであった、元工員の明夫にとって不思議な位、波調の合う街だ。
「ここは俺の仲間内でよう来る店や、そうやな、隠れ家・・かな?」
1本50円の串カツはここの所疲れた明夫にとって嬉しい物であった。
「おいしいですね・・」透は明夫を見て静かに笑うとジョッキを置き、切り出した
「なあ、明夫君・・・どうして残った?」
明夫は質問の意味が分からなかった。「はい?」
「俺なら逃げ出すで・・今のお前の状況・・」
明夫は求められてる回答を探すより、思った事を話すのがよいと思った・・
シイタケとしし唐、キスの串カツを眺め呟いた「負けたからだと思います・・・」
透はそのまま回答を引き出すように黙っていた。
「僕が明石にやって来た時、仕事を失い、妻とも別れてほんの一瞬ですが失望して死をイメージしていました。
直子の父親には「国宝級のアホ」と言われる位、関西に転入した動機は幼稚です。
直子と出会って、透さんの親父さんに面倒見てもらい、それからなんでも上手く行って
僕はまるで自分一人で勝利したような気持ちでいたと思うのです。
今回の出来事は本当に参ってしまいました、まさか元の女房に放火されるなんて・・
でも直子や僕達がお世話になった人達は僕達や明石焼き「はまかぜ」を見捨てませんでした・・失業、離婚、借りた店を放火される、僕ははっきり言って「敗者」です。
世の中、勝つと見えなくなるけれど、負けると見えてくる物ってありませんか?
反省と言うよりも、今度は勝ちたい・・って物凄い力が湧くものなのですね、
僕は今はそんな事を考えているのです」
透はジョッキをもう一つ頼むと明夫の方を見て話し出した。
「お前の言う『勝ち』ってなんやねん?」
「そうですね・・目標を達成させる事だと思います。自己満足かもしれませんが、この
状況から立ち直って、店がまた軌道に乗り、直子と結婚式ができれば・・それは僕の中では「勝ち」なんです。僕は絶対勝ちたいのです。」
透は遠くを眺め、そのまま話し出した
「俺は、明石焼き屋になるのが嫌で家を飛び出した、親父の理想は俺が店を継ぐ事やったようやけど、俺には俺の進みたい道があったからな、でも心の片隅に俺の両親はどうなるんやろ?という気持ちはこれでもあったんやで、でも何故かそこにお前がやって
来た、勝手に飛び出して置きながらもお前や直子さんを自分の子供の様に接している
親父やお袋をみて正直複雑やったわ・・でもな、今は違う、親父が死んだ時にお前に
言った事が俺の本心や、俺が自分の道を進みながらもお袋があの家で元気でおれるのもお前のおかげや」
透は明夫の方を向いて改めた
「明夫君、あの土地と家、買ってくれないか?お袋は恵美子がなんと言おうがいずれ
俺の家に呼ぶ、それが俺の出来る親父への謝罪や、それにあの土地に明石焼き屋が
残れば俺は物凄く楽に過ごせるような気がするんや・・」
心の片隅にある父親への気持ちは、明夫も透も同じ様だった・・
「そうですか・・分かりました!透さん、二人で勝ちましょう!
よろしくお願いします!」
その頃、明石の直子はひろ子を送り出すと歩道から空を眺めた・・
「あたしはこの店、絶対に大きくする、それがあの女に対する勝利や・・」
そんな直子の後を野良猫が後ずさりする姿を見て歩道の通行人は姿勢を正すので
あった・・この日、神戸と明石で「はまかぜ」の進路は決まったのである。
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夜の2国を黒のビクスクが塩屋の渋滞を横目に明石に向かっていた、
「おい田辺っ!俺を須磨駅に呼び出して、今度は明石まで送れって・・
お前!俺のなんやっ!!」
「かんにんやで・・快速が須磨で抑止、そうなったら頼れるのん、長田の吉田はんしか
おらんし・・大事な事、はよナオちゃんに知らせなあかんのや!」
「まったく・・ガソリン、また身体で払うか?!」
「どうしよ・・でもBカップはアカンのやろ?」「しばくぞ!明日、吉川と船の掃除やっ!」
明夫と直子は更地になった「はまかぜ」の前にやってきた。
「よし・・明日、さっそく本町のおっちゃんのとこ、挨拶やね、弁当も再開や!」
「明石焼きも再開だ、俺も腕がなまったかもしれね・・道具もまたそろえないと」
こんな時間の明石銀座には人通りはない、更地を眺める2人は一見異様だが
今日は何故か結婚式が明日のような不思議な気持ちになっていたのである。
明夫が直子の手を握った時、バイクの音は歩道に止まった
「ナオちゃん!」ビクスクから飛び降りたミカは直子の肩を持って声を張り上げた
「これ見て!最新情報!」
吉田が降りてきて明夫の所にやってきた「まったく・・大事な事って・・」
直子が読み上げた
「え?キハ181、置き換え決定?新型「はまかぜ」のキハ189が完成したって?」
吉田が叫びだした
「お・・おいっ!田辺っ!用件ってそれか?!・・メールで済む事やろっ!」
「はあ・・それもそうや・・」
「こ・・このお・・ちょっと来いっ!」
「ぎゃ〜〜でも、吉田はんの歳でこんな若い子バイクに乗せるなんてそうは無いやろ?」
「若いって誰やっ!よういかんわっ!!」
明夫はたまらなくなり笑い出した・・「2人ともありがとうございます!さあ、うちで何か
食べていってください!」
明夫と直子の思い出のキハ181「はまかぜ」はついに翌年の11月に引退する事になったのである。直子は一旦目をつむると明夫を見た、「なあ、あたし達のはまかぜも、新しゅうなる、そう言う事やろ?」
明夫は空を見上げた、「そうか・・寂しいけど、そう言う事だな・・」
モミ合う吉田とミカを眺めながら、2人は新たな決意をさせてくれたこの2人に感謝するのであった・・
翌日の日曜日、例の直子の同級生ヒロシ、出っ歯、イトキン、マルモット4人組がやってきて本町の仮店舗の用意をする事が出来た、
ミカは車掌区の仲間を連れてやってきて、独身の男達のテンションは上がりまくり
大変効率よく仕事が進んだ・・
「みなさん、今日はありがとうございました!沢山食べて、飲んでいってくださいね!」
明夫は吉田に魚の調理をお願いしてあったので、それを仲間に振舞おうと挨拶をしたかったのだが、独身の出っ歯やイトキンが女性車掌相手に頑張っているため中々タイミングがつかめない
「あ・・あの・・」
ひとりの女性が入り口に立つ、直子は叫んだ・・「ひ・・ひろ子!」
はまかぜの従業員だった菅原ひろ子だった、直子はひろ子を抱きしめると
「はあ〜よかった〜あんた、阪南に帰って、もう来おへんと思っとったから・・
ええがいに来てくれはったほんま!また一緒にやってくれはるのやろ?」
「はい・・地元も短期の仕事ばかりやし、それに、ウチ、明石焼きが好きやねん」
次々に集まって来る仲間を見て、明夫はうすら涙を浮かべるのである、
「・・わあ・・この人達と、ずっと一緒に居たい、よし!やるぞ!」
店は建て替え、オカミに住んでもらい、いずれはその部屋を貸せるような造りにし
明夫はなんとか長田に住んでいるオカミの息子、透をたててやっていきたいと考えていたのである、それは直子も同じ考えであった、明夫達は塩屋の直子の実家に入りそこから店に通ってたてなおす事にしたのである、明夫は青森の母に徹底的に逆らう形になり
正直気が滅入るのだが自分の希望はなんとしても店をたてなおして直子と一緒にこの明石で明石焼き店を成功させる事であった、そうしないと本当に後悔する・・
もう一人で彷徨うのは耐えられない、これは自分が決めた事・・明夫はここに集う大好きな仲間達を前に新たな決意をするのであった。
新「はまかぜ」は多くの人達の助けによって、かなり早い時間でよみがえる事になります。
翌日、ミカと吉川は長田港に呼び出され、特に吉川は状況がよく分からないまま漁船の
掃除をさせられたのであったが、何故かこの二人はあの日から
船釣りが趣味に変わっていたのである。吉田曰く「フグとヒラメのカップル」の先行きは
まだまだ不透明である(笑)
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(この物語では、ここにショットバーがある設定になっています。)
星の美しい夜であった、海岸を歩く明夫は空を見上げていた、
「他人がやった事・・・かあ・・・」
なるほど、しかし本来の当主であるオカミがそう捉えてくれている事が明夫にとって
最大の救いになった。
直子が身を投げようとした明石港の採石置き場にでると足をとめた、
「あの時は明夫さんが手を引いてくれた・・」
以前、直子はそう言ったが明夫は久しぶりにここに来て改めて感じたものがあった
「そうかもしれね、でも、一緒になってからは、
わあ、お前に手を引いてもらってばかりじゃ」
なんとなくここに出たのは、直子があの店「シュベールクラフト」に向かっている事を
不思議な位、実感したからである。意味は良く分からないが今日は携帯電話で連絡を取りたく無かった、お互いそう感じている事を店で確認したかったのだ。
「いらっしゃい・・・」マスターは明夫を見てもあえてそれだけしか言わなかった
明夫が店に入るとカウンターにはまだ誰も居なかった。
「メーカーズ、ですか?」「はい・・・」マスターは黙ってシングルをロックで
作り始めると静かに語りかけた、
「明夫さん・・大変でしたな・・今日、直子さんは?」
「はい・・色々心配かけました、直子はちょっと・・」
「なんか、新快速も普通列車も信号機故障で運休になっているらしいですよ」
「そうですか・・」マスターは明夫の表情を見るともうそれ以上話しかけなかった
カウンターのキャンドルがナチュラルメークの直子の美しい横顔をてらした・・
明夫はこういうタイプにめっぽう弱い・・
そんな出来事からもう2年、車掌を辞めて明石焼き屋になり、手が荒れても、疲れても、
直子は何時も綺麗でいた・・明夫の飲むメーカーズマークの氷が音をたてた、
グラスを眺めると、直子の表情が一通りよぎり始めた、泣いた顔、キレた顔、笑った顔、
明夫がすべりまくって呆れた顔・・
「情けない話だけど、今一番の恐怖は、直子を失う事だ・・店はなんとかなる」
明夫は小さくつぶやいた
マスターはあえて聞き返す事はせず、店の外に出た、
「なるほどね、直子さん、そろそろ来はるやろ・・」
マスターは「closed」の札を持ってしばらく外に居た、フェリー乗り場のトイレの裏側を
小走りにやってくる直子をマスターは確認した「ビンゴ!直子さん!はよう!」
マスターは手招きをすると、直子は走る速度を上げた。
マスターがドアを開けると、直子は店に入り黙って飲む明夫の背中を見つめた
「明夫さん・・・何しとう?」
何故かそんなわざとらしい言葉しか出なかった、
明夫が振り返ると直子は隣に静かに座った、
「思い出すな・・」明夫が切り出した、「ここで初めて飲んだ夜の事?」
直子にも黙ってメーカーズマークが出された、
「あたしはそれまでバーボンなんて飲んだ事無かったわ」直子はグラスを目線の高さに
持ち上げた、
「なあ・・」2人同時に切り出した、「ここは俺から言わせてくれないか?」
直子はいつも以上に真剣に明夫の顔を見つめた
「わは確かに約束した、直子ば幸せにすると、したばって状況は危機ば通りこして最悪だ、お前に嘘つきだと言われてもなも言い返へね、でも、その約束がほんまに守られたかどうかは、お前が死ぬ時に判断してくれねか?わ達は夫婦だ、ましては商売ばやってら、これから何が起こるかは誰にも分からね、良い時も悪い時もある、だばってらお前がわの後に死ぬ時に「幸せだった」と思える様にするって約束にするよ、だばってら、暫くの間、
わと一緒に苦労してくれねか?わはお前がいなければ、この状況は乗り越えられね」
直子は笑いだした「プ・・なんやそれ?普通は苦労させへん、って言うんやで」
グラスを置いた直子は明夫の方を見て改めた、「あたしな、逃げよ・・そう思った」
やはり・・明夫は黙って直子の顔を見た、
「でも、もし逃げたら、明夫さん廃人になるやろ?あたしも負けるのは嫌やから、
一緒に居てあげますわ・・ぷ・・怒った??」
明夫は溜息をついた「それは、わも同じじゃ・・あの金置いて明石を出ようとした・・」
マスターが自慢のピザを差しだした。
「はい!ここでお互い殴り合えば、「走れメロス」そのものやね!明夫さん、太宰治の流れ
に持って行くところが流石、青森県人や!終了!」「はあ??」
明夫と直子はそのまま固まった「じゃ、店再開しますわ・・もうお客いれてもええやろ?」
「は?マスター・・店閉めとってくれはったの?」
「ええ、明夫さん、明石にこれ以上シャッターの開かない店出したら・・許さんで!」
明石には多くの味方が居る、明夫は母に今一番そう言いたかった・・
「・・・そう・・この店で失望と決意をくりかえして・・それでええねん・・」
マスター、今日も良い仕事してます。
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(雰囲気は良いのですが、夜釣りのおじさんのラジオが・・笑) 明夫はその後、夜の魚の棚商店街を歩く、この時間ここは
ただの道路になり、店をしめた鮮魚店のシャッターを両脇に眺めゆっくり
歩く途中、明夫の電話が鳴った。それは直子ではなく、青森の母であった。
「明夫、結婚式の事を・・・」
明夫は実は青森の母や弟にはまだ話をしていなかった、事情を聴いた母は激怒した
「明夫!お前なしてそったら大切な事ば黙ってらんだ!親ば何だと思ってらんだ!」
「かっちゃ・・すまねじゃ・・・」
シャッターの閉まった店の並んだ商店街の景色が急に吹雪の道路に変わった。
母親は続けた
「お前かっちゃの言う事さ良ぐ聞け、お前そったら遠くで暮らして、いざとなったらだれも味方は居ないのだよ、良く分かっただべ?お前、青森に帰って来い!そうなったら
直子ちゃんとそんで暮らすなんてうだで出来ないだべ?」
確かにそうだ、直子とはもうここで暮らせない、それは今の明夫の一番上辺にある感情であった。
「お前、しあわせの絶頂でなも見えなかっただけだ、お前がそったら遠くで暮らせる訳が無い、お前は青森県人なんだ!青森さ帰って来い!」
意味が分からないのは青森の母の言う事では無かった、
母のその説得の後によぎったのは・・
今、目の前に親父さんの幻想が見えたのと、車掌時代の直子の笑顔を
思いだした事であった
「かっちゃ・・結婚式は当然延期じゃ・・でも今日はこれくらいにしてけろじゃ・・」
電話を切り、明夫はそのまま明石市役所に向かい、海を眺めた・・
光輝く明石海峡大橋のライトを眺め、涙を流した、明石、この街にやって来たのは
「計画された訪問」ではない、明夫はあの夏の日を思い出した。
「わあ・・何故関西に?神戸に?明石に来たんずな?」
遠くに聞き覚えのある列車のタイフォン(警笛)が響いた、「この時間は6Dか・・」
明夫はこのフェンスによりかかり、何度も髪を結び直す車掌時代の直子を思い出した、
「・・・まだOKはだせへんで」
徹底的に弄ばれつつ、しかしそうであっても惹かれあった2人、明夫にとってはここで感じた事が真実でありすべてだと今は心の底から感じていた、
「親父さん・・わあ達を試してるのだべか?この街に味方が居ないなんて嘘だ・・」
明夫の目に映る明石海峡大橋の輝きは明夫の心をこの街と直子から引き離す事は無かった
この海で誓った事は絶対に守らなければ、今度こそ不幸になる、心の中に生き続ける
親父さんの面影が明夫をそう言った気持ちにさせたのだろうか?
「かっちゃ・・・わあ、直子が好きなんじゃ、この明石が好きなんじゃ、
かっちゃすまね、わあ・・あの店、直子となんとしても復活させる、
わかってくれじゃ・・」
直子は師範とそのまま道場に向かい乱取を繰り返していた。
「ちょ・・久しぶりに再会して、なんでしばかれなあかんねん・・」
しかし直子の胸の鼓動は兵庫最強の女子高生時代に戻っていた、
師範の技の早さはとても50代の物では無かった、どうしても1本取れない
「あんた、『逃げよ』そう思ったやろ?」「・・・・!!」
その通りだ、直子は乱れた道着の自分を鏡に見た、どうして自分がこんな目に合わなければならないのか?ほんのすこしそう思った、師範は続けた、
「夫婦は一心同体や、夫婦である以上なんでも共有せなあかん、いまのあんたのとこはそうあるケースでは無いけど、でも起こったからには2人で乗り越えな、これから何があるかわからへんで、さあどうする?それに、あんたたちの明石焼きを待つ人、
どうする?」
また投げられた、「あんた達次第や・・あんた達は絶対幸せになれる・・」
何故か師範から1本取らないとそうならないような気がしてきた、
私を振った王子様、駄目な男と遠くに行った友達、車掌区の嫌な女達、何故だ?
今になって色々思い出す。燃えあがる「はまかぜ」を見て、
死んでしまった母親を思い出したのが一番つらかった、
「あの女・・・絶対許さん・・・」直子の心のベクトルはそうは言っても
まだあちこちに散らばって向かっていた、しかし、直子に何かが話しかけた
「おかあちゃん?」
いまだ! 「あたしは・・・兵庫最強やっ!!!!」
直子の一本背負いはあの時と同じ勢いで決まった
道場を後にした直子は2国の暗い歩道を歩く・・・
明夫は明石市役所前の広場を歩く・・
2人の携帯電話に、オカミさんから同時にメールが届いた
「2人とも良く聞きなさい、あれは、他人がやった事です」
何故だろう?2人は同時にあの店に向かったのである。
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