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国際原子力機関(IAEA)は、2月27日、イランの核開発に関する3年間の検証作業レポートを3月6日の理事会を前に、関係国に配布した。同レポートは、イランの核開発が核兵器製造に転用されたことを示す確固たる証拠はないとする一方、不透明な部分は解明されないままであるとまとめている。IAEAが2003年11月に、イランが過去11年間にわたり協定違反を繰り返してきたことを報告して以来、現状はあまり変わっていないように思う。むしろ、2005年8月のアハマデネジャド大統領就任以降、パリ合意(2004年11月)で停止されていたウラン濃縮作業を再開(本年1月)するなど「核の平和利用の権利」の主張を強めている。
2月25日から始まったロシア・イランの核開発交渉においても、基本合意を見たとの報道はあるが、イラン側の核研究の継続、自国でのウラン濃縮の権利の承認等の条件提示により完全合意には至っておらず、再び調整のための会議が開催される(3月1日〜、ロシアにて)。また、訪日したモッタキ外相も小泉首相、麻生外務大臣との各会談において、原子力研究・開発の権利を主張するとともに、その権利の行使において国際社会で差別があってはならず、日本にも公平な開発・研究状況づくりへの協力を要請した。しかし、国際社会はイランに対し、核開発への疑惑を晴らすための責任(説明と査察)を求めている。これはイラク戦争開始前の状況に通じるものがある。
イランが現状、核開発を進める理由として挙げられるのが、自国の経済発展にともない貴重な外貨収入を稼ぐ原油輸出が国内での消費で減少する恐、これを避けるために原子力発電を推進しているというものである。しかし、国際社会はイランが安全保障上、核兵器の保有を望んでいると認識している。このズレがある限り、交渉は平行線のままであろう。コンフリクト(対立)学では、このような時こそ、双方が相手の本音を見極めて、協調ポイントを探ることが重要としている。イラクの苦い経験を繰り返さないために日本ができることは、“対話”や“国際協調”といった抽象論を語ることではなく、具体的な新しい枠組みを提示することだろう。例えば、イラン単独の核開発放棄と引き換えに、湾岸諸国が共有し、IAEAの監視下における濃縮作業施設をイラン国外に建設することなどを提案したらどうだろうか。時に、中東諸国は、同地域を非核地域にすることを提唱しているが、イスラエルの核保有の現状があり限り、これは不可能であろう。それならば、地域に開かれた核の平和利用という第三の道を検討するべきではないだろうか。これにより、核開発協力と武器購入をバーターするようなケースも防止できるのではないだろうか。
IAEAの理事会や安保理でイラン問題の協議はまだまだ続く。双方が権利だけ、義務だけ主張しあっていてもコンフリクト解決の道筋は見えてこない。日本がファシリテーター役となることを期待したい。
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水口さんの意見に賛成です。対話がなによりも大切だと思いますが、ここまで事態が切迫している以上、何らかの具体的な提案をしていくべきだと思います。ロシアが妥協案を出していますが、うまくこれに乗ってくれるかどうか。
2006/3/1(水) 午前 0:15 [ おさむ ]
ご案内の通り、イランはロシアとの間でブシェール原子力発電所の建設協定を結んでいます。しかしこの進捗状況は順調ではなく、イランがロシアに不満を持っているのも確かです。このところイランは中国との関係を深めています(経済、軍事)。この両国を巻き込み多極構造の中で最大利益を勝ち取るべく外交を展開しているようです(さすがペルシャ商人ですね)。
2006/3/1(水) 午後 4:20 [ cigvi2006 ]
はじめまして。ただの主婦です!
基本的な質問をさせて頂いていいですか?
アメリカについてですが、アメリカの原油埋蔵量は現在どの位あるのでしょうか?
2007/11/5(月) 午後 3:20 [ map**65p*ace ]
2005年末時点での米国の確認可採埋蔵量は293億バレル(世界の2.4%)、可採年数は11.8年となっています。ちなみにロシアは、同年末で744億バレル(同6.2%)で、可採年数は21.4年です。こうしてみると、米露の関係において今後のエネルギー面においての力の差が明確になっていますね。
2007/11/11(日) 午後 2:00 [ cigvi2006 ]