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3月21日、国連安全保障理事会のイラン核問題に関する2回目の非公開協議が延期された。その理由は、中国・ロシアが歩調をあわせ、議長声明に盛り込まれる「核兵器と生物・科学兵器の拡散は国際の平和と安全に対する脅威になりうる」との文言の削除を求めたからだと報じられている。
このロシア・中国関係では、プーチン大統領が同21日から2日間の日程で中国を訪問している。そこでは、イラン問題、北朝鮮問題の協議に加え、エネルギー協力、宇宙開発協力の強化・拡大が検討されている。中でも、エネルギー分野では、東シベリアと西シベリアからの中国への天然ガス供給パイプライン建設計画が合意され、ロシアが年間600〜800億㎥の天然ガスを供給することとなった。このような両国関係と対照的に、中国外務省は、米国の「国家安全保障戦略」(3月16日発表)に対し、無責任な指摘との反駁を行っている。急増するエネルギー需要から見れば、中国がエネルギー安全保障の観点からロシアを戦略的パートナーと捉え、政策を展開するのは当然だろう。
ここで注目されるエネルギーは、ロシアのイルクーツク平原部の地下にあると推定される莫大な埋蔵量の石油・天然ガスである。これを中国と結ぶルートとしては、イルクーツク州コヴィクタのガス田を中国北東部につなぐパイプライン建設とモンゴル共和国の領土を通るルートが考えられた。このうち、モンゴル・ルートについては、距離が短くコストが低く抑えられるためロシア等は推進を検討したのだが、モンゴルを自国領とみなす中国の一部の政治指導者の反対で進展を見なかったといわれている(2004年10月のプーチン訪中では合意できず)。未確認ではあるが、今回合意のアルタイ・ガスパイプラインが報道で伝えられるようにモンゴルの領土を通るものであれば、中国の政策転換として注目されるものとなる。さらに、もう一つのSiberiaパイプラインでは、エネルギー供給源が問題となる。中央Siberia東部の生産力は潜在的には大きいが、現状では、タイシェト=ナホトカ間の本線(日本)と大慶への支線(中国)の両方への供給はできない。中国は、大慶ルートの先行をロシアに求めており、日ロ平和条約が結ばれていない中、中国の動きが気がかりである。中国は、エネルギー供給源として、その他にもカザフスタンとの石油・天然ガス・パイプライン計画を有している。しかし、このようなパイプライン計画には巨額の費用がかかる。また、天然ガスの市場価格も上昇している。この現状から、中国は、スーダンでの人権問題、イランでの核開発問題等でも国際秩序形成より国益優先の資源外交を展開している。中国が人治国家から法治国家となったのは20世紀末である。今後、この国がどのような資源外交を展開するのか、大いに注目されるところである。
☆「複眼で見る中東報道」(http://cigvi.exblog.jp)もご興味があればお読みいただければ幸いです。
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極端には大きくならない資源エネルギーのパイを中国は急速により大きいシェアーを獲得しようとするのですから、当然気ががりな問題ですね。中国の資源外交は基本的に内政不干渉のスタンスを採っているので、今後ますますアメリカとの利害衝突が増えるのではないでしょうか。
2006/3/25(土) 午後 11:50