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自然の恵みと脅威

中東地域でワインを片手にバッカス神殿やパールベックの遺跡について語り、古代の神々に思いをはせる。こうした光景は多くの人が抱く中東のイメージとは少し違っているだろう。しかし、これは、レバノンのホテルでよく見かける一コマである。ワインの発祥地については、グルジアやアナトリア、またメソポタミヤなど諸説ある。しかしフェニキア商人が地中海周辺地域に商品として広めたことは確かである。その積み出し港が、レバノンのビブロス港であった。ワインは、ビブリムとも呼ばれ、古代エジプト、ギリシャが輸入し、その後、各地でワイン作りが始められている。
レバノンでのワイン作りでは、メロワ種がBC3800年まで遡ることができる。レバノンでは5月から6月にかけて雨量が多く、ベイルートで1000mm、山岳地では3000mmにも達するという。そして、雨が降らない7月から9月にブドウが十分に熟する。この時期、同地域では朝の霧、山頂からの雪解けの地下水によってブドウに必要な水分が供給される。また、山岳地で、日照時間が短いことも良いブドウ作りに適している。このような自然環境が、シャトー・ミュザール、クサラ、キフラヤといった世界で名だたるワイナリーを生んでいる。自然環境が豊かなレバノンは、食も豊かである。
しかし、地球規模での環境変化を見ると、温暖化により水問題が深刻になっている地域が増えている。現在、5億人の人々が慢性的な水不足に苦しんでいるが、2050年には、その数は40億人に上るとの推定もある。生活の向上にともなって水の使用量は増す。日本人一人が1年間使用する生活用水は137立方メートルで、カンボジアの27倍である。生活水準が上った湾岸産油国も同様に、水使用量が増している。この対策として、海水から淡水(真水)を作り出す方法がとられている。これには、多段フラッシュ方式(海水を蒸発させ再び冷却して真水を作る)と逆浸透膜方式(海水に圧力をかけ、フィルターを通し真水を作る)がある。これらの造水プラント建設には多額の費用がかかり、産油国ならではの水のつくり方である。
中東では、このように自然環境に恵まれ水の恵を得ている場所や、豊かな石油・天然ガス収入によって渇水を克服している場所もある。しかし、北アフリカのエジプト、スーダンや東地中海のヨルダン、パレスチナなどでは渇水の中で水を入手できない貧困層が存在している。地球温暖化は、このように渇水問題が貧困や飢餓を悪化させている。一方、インド、バングラデシュ、インドネシアなどでは多発する洪水が貧困や飢餓を助長している。留学生の一人から、今年も洪水の被害が心配だと故郷や家族への思いを聞かされた。その日、自然の絶妙なバランスが生んだワインを選ぶ手を止め、自然の猛威にさらされている人たちにささやかな寄付をしてみた。

☆「複眼で見る中東報道」(http://cigvi.exblog.jp)もお読みいただければ幸いです。

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