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ニューヨークタイムズ、ガーディアン、フィナンシャル・タイムズなどの英米メディアで、英米軍のイラクからの出口戦略に関する報道が増えている。米国中間選挙がいよいよ終盤を迎える中で、ブッシュ米政権のイラク政策が重要な争点になっていることが関係していると思われる。これらの報道で注目すべき点は、イランやシリアを含むイラク周辺諸国の協力を取り付けて、イラク国内の抗争を止めようとのアイディアに言及されていることである。そのアイディアを実現するための動きは、既に見られているのだろうか。
米国は現状、イランとシリアに対し経済制裁を実施しており、このアイディアを実現するためには、米国には両国との交渉というプロセスが必要になると思われる。しかし、直接交渉がもたれたとの情報は今のところ聞かない。一方、間接的な交渉として、イランも加わり、本年9月、ジェッダでイラク周辺8カ国会議が開催されている。同会議には、イラクをはじめサウジアラビア、ヨルダン、バハレーン、クウェイト、エジプトのアラブ諸国およびトルコ、イランの内務省関係者が出席し、協議を行った。国境管理、テロ組織への資金援助問題、密輸防止などがテーマであった。同会議では、イラク情勢は周辺諸国の治安と深く関係することを再確認している。
このような隣国の協力体制の構築とは別に、サウジは自国の治安対策として、イラク国境においてフェンス建設を発表している。サウジのテロ対策は、これまでテロリスト名簿の公表や治安体制の強化を実施しており、成果を上げている。しかし、イラクでの武装闘争経験者の侵入による治安の悪化の危険は依然として高い。国境フェンスは、両国国境814kmに及び建設される予定で、有刺鉄線を張り巡らし、監視カメラなどを置く他、約40ヶ所の関し基地を建設する予定である。費用総額は120億ドルと見積もられており、建設期間は来年から5〜6年を要するといわれている。なお、サウジは同様のフェンスを、2004年からイエメンとの国境沿いにも建設中である。このように、イラク問題はテロの脅威という観点から、地域の安全保障への協力体制やサウジで見られるような自国の治安体制の強化を促している。しかし、それによってイラクからの武装闘争が飛び火するのを防ぐには十分ではないかもしれない。
さらには、英米軍のイラク撤退に地域の安全保障協力をからめるには一つ大きな問題がある。それは、イランと、エジプトやサウジをはじめとする他のアラブ諸国との友好関係が増進できるのかという点である。レバノンでのイスラエル・ヒズボラ紛争時に顕在化した、ヒズボラを賛美したシーア派が政権を握るシリア、イランと、ヒズボラに批判的であったスンニー派のエジプト、サウジとの溝は果たして埋められるのだろうか。
米国が検討している、イランとシリアを巻き込むという対イラク政策の変更アイディアには、こうした大きな不確定要素があることも見逃せない。

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