全体表示

[ リスト ]

7月1日、アフリカ連合(AU)がガーナのアクラで首脳会議を開催した。その席で、リビアのカッザーフィー大佐は再度、「アフリカ統一政府構想」を持ち出した。
カッザーフィー大佐は、1969年9月、イドリース1世に対し、軍事クーデタを起こし、革命評議会議長の座についた。そして、「ジャマーヒリーヤ」という、イスラムとアラブ民族主義と社会主義を融合した、ギリシャの直接民主制に近い仕組みを生み出した。同大佐はその後、議長をはじめとする公職から退いた。しかし、現在も革命の指導者として国家運営に関与している。その理念は『緑の書』(1976年刊)と題する本にまとめられている。カッザーフィー大佐はこの理念の延長で、アフリカの統合を考えているのだろうか。
アフリカ諸国は、植民地時代に国家として領土を分割された地域の人々が、人工的に引かれた国境の変更を行うことなく如何にして国民国家をつくるかという課題に取り組む一方で、1963年にアフリカ統一機構(OAU)を設立している。その後、OAUは2002年7月にAUへと発展解消した。そして、EUをモデルに司法制度や議会を作り上げようとしている。また、経済的にも、中央銀行の設立や通貨の統一に向けて動き始めている。
注目されるのは、AU内の平和安全保障委員会である。同委員会は15カ国で構成されており、域内での虐殺行為や戦争犯罪の抑止を目指している。この委員会の活動いかんでは、世界最大の悲劇といわれるダルフール問題の進展が見られる可能性もある。現在、スーダンでは紛争解決の糸口を見出せずにいる。アフリカ地域では、今後、資源の争奪戦が起きる可能性が高くなっており、同委員会の役割が期待される。
リビアのカッザーフィー大佐は、石油収入による援助力でアフリカ地域への影響力を拡大しており、2000年のOAU首脳会議ではアフリカ諸国の連帯を強く主張し、AUへの改組を導き出した。同組織がモデルとしている、EUは確固たる国民国家(現27カ国)の連合体を形成しつつある。しかし、国家帰属意識が薄いアフリカ諸国において、EUと同様の「統一体」がつくれるかということについては、疑問が残る。カッザーフィー大佐のAUへの思いは、むしろ、アラブ首脳会議においてサウジアラビアをはじめ西アジア諸国との対立で、リビアが孤立感を深めている中、「汎アラブ主義」から「汎アフリカ主義」へと政策の重心をおこうとしていることの現われと見るべきかもしれない。それは、パレスチナの内部分裂、対イスラエル政策での温度差などに象徴される「アラブの統一の夢のほころび」の一端ともいえそうである。

☆「複眼で見る中東報道」を更新しました。http://cigvi.exblog.jp/ 

開く トラックバック(1)


.
cigvi2006
cigvi2006
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事