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2月29日夜半、コロンビア軍が隣国エクアドルで軍事行動をとり、コロンビアの反政府勢力のコロンビア革命軍(FARC、麻薬、誘拐等犯罪性が強い組織)のラウル・レジュンス司令官と約20人の部下を殺害した。コロンビア政府はその時に押収したラップトップ型パソコン(3台)から、1992年頃からのFARCとベネズエラのチャベス大統領の関係や、同大統領が最近FARCに3億ドルの資金提供を行った証拠を握ったと公表した。報道によると、コロンビア政府はチャベス大統領を国際刑事裁判所に告発することを検討し始めているという。
反米的立場をとるチャベス大統領は、2006年9月に国連総会でブッシュ大統領を「悪魔」と呼んだことで世界の注目を集めた。また、2007年11月にはイベロアメリカ首脳会議の席上で、スペインのアスナール前首相を批判する発言を行い、カルロス・スペイン国王から一喝されたことは記憶に新しい。
ここで注目されるのは、この個性豊かな政治家が、コロンビアの行動に対して越境されたエクアドルが3万人の兵士を国境に配備させたことにあわせて、ベネズエラ軍6000人、戦車部隊10個大隊を国境に集結させ、戦争もありうるとの警告を行っていることである。3月5日付ワシントン・ポスト紙は、この危機が戦争に発展する可能性はほとんどないと報じ、むしろチャベス大統領とFARCの関係を知ったアンデス地域の各国国民のショックの大きさについて伝えている。
同大統領は、石油収入を利用し、キューバ、ボリビア、ニカラグアを巻き込み、米国主導の米州自由貿易地域(FTAA)に対抗する中南米の経済統合化構想(米州ポリパル代替統合、ALBA)を提唱している。また2007年1月にはイランのアハマディネジャド大統領と反米ブロック形成のための開発途上国支援基金の設立に合意した。チャベス大統領は恐らく、コロンビアがエクアドルに侵攻した理由として挙げているFARCから50kgのウランを購入し汚い爆弾を製造する計画があったとの点は認めないだろう。そして、同大統領は、コロンビアのウリベ大統領が米国との関係に鑑みて、国際刑事裁判所への告発を本気で考えていると読むだろう。
こうしてみると、コロンビアとエクアドル間の緊張は、米州機構の努力もあって緩和に向かいつつあるが、コロンビアとベネズエラ間の対立の収束は時間が掛かりそうだ。チャベス大統領自身はこの危機を利用し、国内経済の悪化や2007年12月2日の憲法改正案に対する国民投票での敗北(国民が独裁に向かうことを懸念)などによる政権離れのムードを変え、求心力を高めようと動いている可能性もある。
原油生産の据え置きを決めた3月5日のOPEC総会の動向とも絡めて、産油国ベネズエラを取り巻く環境が、今後の原油価格をさらに上昇させる要因ともなりそうだ。

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