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2月24日、オバマ米大統領は上下両院合同の本会議で初の演説を行った。就任演説の時もそうであったが、「We」という単語を多く用いて一人一人の「責任」について国民に訴えた。
マケイン氏やクリントン氏が大統領に就任していたら、このような演説はできなかったのではないだろうか。仮に、できたとしても、米国民のみならず世界の人々にこのようなインパクトを与えられなかったのではないかと思う。オバマ氏は、スピーチを通して「信頼」や「希望」の念を人々の心に萌芽させることができる卓越した能力を持っていると言わざるを得ない。 今回のオバマ大統領のスピーチの中で、特に日本政府に参考にして欲しいと思ったのは、「1期目の終わりまでに財政赤字を半分に削減する」という部分である。同大統領はさらに、既に無駄および効率の悪い政策を予算から排除する作業に取り掛かっていると言及している。そして、それを行わねばならない理由は、負の遺産を未来の世代に負わせないためだと演説の終わりの方で述べている。 日本の平成20年度の財政状況は、家計に例えれば、月収57万7000円で73万1000円を支出し25万3000円の赤字を出している、という状況である(月を年に、万を兆に置き換えれば国家財政である)。このような赤字(公債残高)がなんと約553兆円に膨らんでいる。日本の次回の衆議院選挙では、少なくともこの553兆円を4年(任期)以内にどのようにするのか、そして、それを踏まえた上でオバマ政権のように直面する経済危機や医療、年金、教育などの課題にどのような対策を打ち出すのかを争点にすべきである。当面の危機は回復しても、その付けが膨大であっては、日本の次世代やその次の世代は、その政策を価値あるものだとは評価しないだろう。 日本国民の多くは、定額給付金について次世代への負の遺産の拡大という観点で見ており、より効果的に次世代の発展と結びつく人材の育成や研究プロジェクトなどへの支出を望んでいることは確かであろう。また、生活支援を欲している人々のためには、一時的な定額給付金ではなく、しっかりとしたセーフティーネットの確立が急務だと考える国民が多いのではないだろうか。 オバマ米大統領の民意の生成を促す演説のニュースが世界に流れた後、まもなく、日本の国会が反対意見を調整することもできず、“国民不在”と言われる状況のまま衆議院での再議決に踏み切るニュースが、世界に配信されることになる。報道の中で衆議院の優越性について説明すればこれは理解されることだろうか。その衆議院の優越性は、参議院と異なり解散があり、任期が短いことで民意を反映できることが根本にある。在日外交官や外国のメディアは、全ての世論調査で多数が反対と回答しており、直近の選挙が行われた参議院で否決された法案を、現在の衆議院が優越性を理由に再可決した場合、そこに矛盾があると受け取られないだろうか。また、政党が党議拘束をかける手法をどのように見るだろうか。 そして、同じ内容の法案を衆議院で賛成して、参議院が否決したから再議決で欠席もしくは反対するのは不自然であるとの意見や、今の時期に反対するのは遅すぎるとの意見など、自己を正当化する人々もいる。しかし、民意は、衆議院可決後の状況変化や参議院での審議内容などにより変化する事はありえる。したがって、再議決においては、賛成するにせよ反対するにせよ、新たな観点で民意を汲み取って行うことが代議員の役割ではないだろうか。過去の行動や近く行われるであろう選挙に捉われすぎるのではなく、国民とともに、次世代のためにベストと思われる判断をすることが正当な行動であろう。 |
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