米国を見る目

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現在、中東和平問題は、イスラエルにリクード党党首ネタニヤフを首班とする政権が誕生して以来、大きな進展がない。その中、7月24日、クリントン米国務長官は財政難に陥っているパレスチナ自治政府を支援するため2億ドルを供与すると発表した。これは、今年3月にエジプトで開催されたパレスチナ支援国会議で、同長官が表明した9億ドルの援助の一部である。この点から見れば、オバマ政権はパレスチナ国家樹立を支援する姿勢を明確にしていると言える。

このオバマ政権は、これまでに医療保険改革案や教育改革案(「トップへの競争」)と経済再建案を提示し、改革推進に努めている。これらはどれも難しい改革であり、国民にもそれなりの負担を求めるものであるため、最近の世論調査では支持率が50%を切るようになっている(7月20日発表のワシントン・ポストとABCニュースの合同調査、7月25日までのゾグビー社によるインターネット上の調査など)。

一方、外交に関しては、核兵器廃絶やイスラム理解についての発言や姿勢が国際社会で高く評価されている。7月24日に発表された米調査機関ピュー・リサーチ・センターの国際世論調査(25カ国、2万7000人対象)によると、オバマ大統領を信頼するとの回答はドイツとフランスでは9割を超えている(ドイツ93%、フランス91%)。しかし、中東・イスラム圏ではブッシュ大統領よりも大幅に上昇したもののパキスタン13%、パレスチナ自治区23%、ヨルダン31%、トルコ33%、エジプト42%、レバノン46%と低い。さらに、米国に好感を持っているとの回答は、トルコ14%、パレスチナ自治区15%、パキスタン16%と低迷している。

同調査報告では、中東・イスラム地域での反米感情はオバマ大統領の「カイロ演説」をもってしてもあまり大きな変化が見られないことが示された。それは、歴史的に中東地域が欧米社会と対立関係にあったことが同地域の人々の意識に植え付けられているからかもしれない。この歴史意識の上に、中東和平問題でこれまで米国がとってきたイスラエル寄りの政策、対イラク政策、米国の自由化・民主化政策などが重なり、中東・イスラム圏の人々の嫌米・反米感情が根強く存在しているのだろう。2001年9月11日、世界貿易センタービルの崩壊のニュースに喜びを隠さなかった一部のパレスチナの人々の姿はその象徴だった。

オバマ政権の中東政策は、こうした過去の負の遺産を受け継いで船出せねばならなかった。この負の遺産の清算は、パレスチナへの支援金拠出だけでは難しいだろう。また、演説に定評のあるオバマ大統領が10回のスピーチを行っても大きな進展は望めないかもしれない。むしろ、イスラエルの入植地を停止させるという1回の行動の方が重要であろう。オバマ大統領が、10回のスピーチとともに、少なくともこの1回の行動を実施できる人物であって欲しいと願う。

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