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4月19日、広島大学の科学技術振興機構の研究チームが鉄鋼の2〜5倍の強度を持ったプラスチックを開発したと発表した。また同日、東北大学と京都大学の研究者らが人の皮膚や骨髄の中から人体のさまざまな組織に成長する新たな幹細胞を発見したとの発表があった。
この2つの発表は日本の大学の研究レベルの高さを示す嬉しいニュースである。
その一方で、日本の大学間には大きな格差があると感じずにはいられない。
この格差は、国立大学と私立大学、大規模大学と小規模大学の間で見られている。
例えば、大学への公的資金を見ると、国立大学に対する運営交付金と私立大学に対する経常経費補助金を比較すると、学生一人当たりに換算して国立が私立の約11倍である。
政策選択でしばしば指摘される点であるが、小規模なものや弱者に配慮するという基準で政策を立案すると、結果的には大規模なものや強者に有利な状況が生まれることがある。日本の大学政策もそうした状況になっているといえる。
国立大学や大規模大学は、有利さから得た資金によって教育施設や教育内容をさらに充実させ、これまで以上に「(一般的に)優秀」といわれる学生を集めている。
日本の大学教育における問題点として、国立大学や大規模大学ではこうして生まれた優位さを授業で生かせているかどうかである。
多くの大学では、受講者が50名を超える講義形式の授業が中心となっている。また、国際化(英語での授業、外国人教員、カリキュラム内の海外留学)が大幅に遅れている。
今や大学は全入学時代、激烈な競争の時代にあり、“企業経営”のセンスが問われているといわれる。
しかし、大学は国民の貴重な税金が投入されている公共性の高い部門である。したがって、国立大学や大規模大学の運営が一般企業の経営と同様に存続をかけたものとなることは回避されねばならない。
各大学が建学の精神に則り、投入される公的資金の額に応じて研究、教育分野における公的役割を果たさねばならない。
こうした観点からも、冒頭に書いた2つの大学の研究成果は、大変意味のあるものである。
小規模の私立大学に籍を置く身ではあるが、日本の未来のために投入されている公共財に応じた教育効果、研究成果を挙げているのか。わが身を振りかえさせられたニュースでもあった。
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