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ここ数ヶ月の国際情勢を見ると、ギリシャ経済危機、朝鮮半島問題、イラン経済制裁問題、そしてタイ情勢など、世界にリスクを拡大するような出来事が続いている。
また、ソマリア沖の海賊問題、イラク、アフガニスタンでのテロと、国際協力の現場でも厳しい対立局面が続いている。
その中で、「民主主義」という欧米社会が秩序維持を図るために用いてきた制度が軽んじられるようになりつつあるのではないか、と気にかかる。
5月19日、タイでは軍隊が反政府抗議者の選挙地区を強襲し解放した。この流血が続く状況を、赤シャツ派(タクシン派)や黄シャツ派(民主市民連合派)に属さないタイの一般市民は、どのような思いで見ているのだろうか。
一方、経済破綻をし、EU諸国から経済支援を受けるギリシャにおいてデモを行っている公務員を、同国の一般市民はどう見ているのだろうか。
「民意」の反映としての選挙で多数をとり政権を運営する政府が、最大多数の幸福を目指して合理的思考で政策形成を行おうとしても、「合理性」には限界がある。
だからといって、一部の政治エリートが政策形成をすれば、一般的に、そのエリートたちが帰属している集団の利益を優先するようになる蓋然性は高いといえるだろう。
タイの場合、自分自身は外国にいて支持者たちに犠牲を払わせているタクシン氏のような政治リーダーが再帰したとしても、国民の間に民主主義への信頼を取り戻すことは出来ないだろう。
また、選挙の洗礼を受けない限り、イギリスで教育を受け(イートン校、オックスフォード大学)、民主制度の理解者としての高い資質を持つといわれているアピシット首相でも、民意の代表者にはなりえない。
これらの点に鑑みれば、タイ問題の解決には、国際的なコミットメントグループ(国連を中心に5カ国程度)のもと、①抗議行動の停止、②選挙実施のための暫定政権樹立、③国際社会の監視下での選挙実施という道をたどる必要があるのではないだろうか。
世界では、政府に対する抗議行動参加者が暴徒化し、自らの意志が通らなければテロ活動へとエスカレートする状況がしばしば見られている。反対に、平和裏に行っている抗議行動を政府が武力で鎮圧し、参加者を弾圧するという事態も目にする。
民主主義とは、単純に多数決により政策を選択するという結果重視の仕組みではない。公議を尽くし、合意形成をはかっていくプロセスが重要なのである。
東アジア、東南アジアには中国と関係が深い北朝鮮やミャンマーのように独裁制が強い国家が存在する。
これらの国には他のアジア諸国とは異なる、欧米的思考から生まれた民主主義を受け付けない社会空間の特性があるのだろうか。どうも、そこには東アジア、東南アジアの民主化、自由化の進展を望まない勢力の影が見え隠れしているようにも思える。
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国際関係・国際協力
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