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ソ連の崩壊から約20年、旧ソ連圏諸国では共産主義時代を知らない若者が増えている。その若者が、国づくりのためにどのような観点で政治参加しているのかに注目してみる。
一例としてポーランドを取り上げる。
7月4日、ポーランドでは、4月9日の航空機事故で亡くなったレフ・カチンスキ大統領の後任を決める選挙が実施された。その結果、市民プラットフォームのコモロフスギー氏がレフ・カチンスキの兄で前首相のヤロスワフ・カチンスキ氏(法と正義党)を破って大統領に就任した。
このカチンスキ氏の敗北について報道では、市民が、共産主義と闘争する政治指導者との正統性よりも、現在の雇用問題、労働条件、医療サービスといった問題を解決する能力を重視したことによるとの分析が見られている。また、「法と正義党」の伝統主義、外国嫌いといった特徴を若い世代が敬遠したためとの報道もある。
たしかに、現在、ポーランドの公的債務はGDP比55%に達し、保健制度改革、公務員改革など歳出削減を余儀なくされている。
こうした状況では、若者も含めたポーランド国民は、選挙において過去や情緒を基準に選択するよりも、合理的志向で対応せざるを得なかったのだろう。
その一方、選挙によって国内で世代間、都市と地方間、東西間などの区分が明確になりつつある。
EUに加盟したポーランドでは、若者世代は愛国心やカトリック教徒としての節度などのテーマや、共産主義の復活を求める主張は否定的に受け止められ、むしろ個人の生活の質を高めることを基準に政治選択をしているようだ。
仮に、このような分析が正しいとすると、ポーランドの民主化は移行期であるが、良い方向に進んでいるといえるのではないだろうか。
ポーランドは地政学的に見ると、ロシア、ドイツを牽制する大国として、21世紀の中ごろから台頭してくるとの見方があるが、確かに着実に変貌をとげつつあるように見える。
しかし、このポーランドとは対照的なのがキルギスをはじめとする中央アジアのイスラム諸国である。キルギスで6月に起きたキルギス人によるウズベク人の民族浄化ともいえる事件を見ても、その前途は多難といえそうだ。
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